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[報告] みちびき7号機の機体公開

2026年02月02日

※本記事は、みちびき5号機打上げ(2025/12/22)の約3週間前に行われた「みちびき7号機の機体公開」の紹介記事であり、5号機の運用を前提とした内容を一部含みますが、当日の説明内容をそのままお伝えするものです。


鎌倉製作所の外観

三菱電機株式会社は、打上げに向けて準備中の準天頂衛星システム「みちびき7号機」の機体を2025年12月1日、鎌倉製作所で公開しました。

みちびき7号機

公開されたみちびき7号機の機体(高さ約5~6m、幅約2.3m、奥行約2.36mで太陽電池パドルを展開すると両翼端間は約19m。打上げ後は準静止軌道に投入される)

記者説明会の様子

報道機関を集めて行われた説明会には、三菱電機のほか、内閣府、JAXA(宇宙航空研究開発機構)、NEC(日本電気株式会社)の担当者が出席しました。

三菱電機の市川事業部長

冒頭、まず三菱電機 宇宙システム事業部の市川卓事業部長が、「弊社は7機体制の構築、自律測位の確立を通じて、日本の安定した高精度測位社会に貢献してまいります」と挨拶して始まりました。

内閣府の三上参事官

続いて内閣府宇宙開発戦略推進事務局の三上建治参事官(準天頂衛星システム戦略室長)がみちびきの概要と7機体制について解説し、現在5機が運用中のみちびきは、今後5号機、7号機が打ち上げられることで、GPSなど他国のシステムがなくてもみちびきだけで測位が可能になる7機体制を構築し、日本上空を周回する衛星の数が増えて信頼性が向上すると述べました。

図版-1

さらに将来的なバックアップ強化のために11機体制に向けた検討・開発にも着手している点に触れ、11機体制になれば測位可能なエリアが広がり、より信頼度も増すと説明しました。みちびきは高精度測位(CLAS/MADOCA-PPP/SLAS)や信号認証サービス、災危通報(災害・危機管理通報サービス)などGPSを超えるサービスを提供しており、日本においてスマート社会を実現するためのインフラになるとアピールしました。

JAXAの松本氏

JAXA高精度測位システムプロジェクトチームの松本暁洋プロジェクトマネージャは、みちびき5・6・7号機によって実証が行われる新機能「高精度測位システム(ASNAV)」について解説しました。ASNAVは、JAXAが内閣府から受託して実施する事業で、従来のみちびきのシステムに衛星間測距(ISR)システムと衛星/地上間測距(PRECT)システムを追加することによって、より正確にみちびきの機体の位置と時刻を特定し、測位精度を向上させる新機能です。

図版-2

ISRによって衛星同士の距離を計測することにより、衛星を見かけ上の監視局とすることで軌道位置の推定精度を向上させると共に、PRECTにより時刻誤差に起因する衛星と地上間の距離誤差を打ち消すことで軌道時刻推定精度を向上させることができます。将来、すべてのみちびきの機体にこの機能が搭載されると、スマートフォンなど一般的な受信機の測位精度が現状の5~10mから1mまで向上する見込みです。
みちびき7号機には、このASNAVを実現するためのISR信号用及びPRECT信号用のアンテナを搭載しています。みちびき5号機から送信されるISR信号を、すでに投入されている6号機及び今後打ち上げられる7号機が受信することによりASNAVの実証を行います。実証運用期間は、みちびき7号機打上げ後の3年間を予定しています。

NECの西尾氏

続いてNECスペースプロダクト総括部の西尾昌信プロジェクトマネージャーがみちびき7号機の測位ミッションペイロードの概要を紹介しました。7号機の測位ミッションペイロードは、従来通り測位信号を生成する「測位ペイロード」と、ASNAVのISR及びPRECTの機能を有する「高精度測距システムペイロード」で構成されています。

図版-3

測位ペイロードは、従来号機(初号機後継機~4号機)よりも安定度が良い原子時計に対応するタイムキーピングユニットを新規開発し、衛星基準クロックの安定度を向上させると共に、複数信号の変調器を1台の変調器に統合化してリソースの削減を実現しました。さらに衛星測位信号の異常時に軌道上で信号の品質を監視する「オンボードインテグリティ監視機能」も実装しました。
高精度測距システムペイロードは、衛星間及び衛星/地上間の距離を精密に計測するために衛星内部で生じる遅延時間やその変動量を高精度に管理しており、遅延時間の測定を10のマイナス10秒レベルで行えます。みちびき5号機から送信された電波を6号機及び7号機で受信することによりISRを実現します。

三菱電機の小渕氏

最後に、衛星本体を製作した三菱電機鎌倉製作所 宇宙インフラシステム部の小渕保幸サブプロジェクトマネージャーが、みちびき7号機の概要を説明しました。準静止軌道に投入される7号機の質量(燃料を除く)は約1,800kgで、衛星バスは既存機と同様に標準プラットフォーム「DS2000」を使用しています。

図版-4

7号機には、JAXAが実証を行う衛星間測距信号用のISRアンテナ、及び衛星/地上間測距信号用のC帯アンテナ、メッセージ通信用のMCP-S帯アンテナのほか、測位信号用アンテナとして直径約1.8mのL帯アンテナ、L5Sアンテナなどが搭載されています。

7号機のアンテナ部分

ペイロード部は638kgで、機能向上に伴って既存のみちびきに比べて質量がもっとも重く、消費電力は6号機と同じく3.1kWとなっています。燃料(軌道遷移・制御のための推進薬)と合わせると打上げ時の質量は約4,900kgとなります。5・6号機と同様に質量増加にはロケットの打上げ能力増と推薬解析の精度向上により対応し、電力増には太陽電池パドルの発電効率を高めることで対応しています。
三菱電機は11機体制の実現に向けたDS2000衛星の取り組みとして、衛星2機分をロケットフェアリング内に収納することでロケット1台での打上げが可能となるデュアルローンチが可能な衛星バスを研究開発中です。

展示-1

今回の機体公開には新聞社やテレビ局など多くの報道関係者が集まり、衛星工場内の機体を撮影しました。その方々に向けて説明会の会場内に展示コーナーを設け、みちびき7号機の模型やASNAVの仕組みを解説するジオラマ、みちびき7号機に搭載されたペイロードとしてL帯変調器(MOD)や時刻保持ユニット(TKU)、測位信号受信機(NAV-RX)などを展示しました。

展示-2
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