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[報告] 札幌にて「みちびき講演会2023 in 北海道」を開催

2023年09月04日

2023年7月20日、北海道・札幌市内のイノベーション拠点施設IKEUCHI LABにて準天頂衛星システム「みちびき」に関する最新動向と利活用事例を紹介する「みちびき講演会2023 in 北海道」(主催:準天頂衛星システムサービス株式会社、共催:池内グループ/高精度衛星測位サービス利用促進協議会/一般財団法人宇宙システム開発利用推進機構、協力:内閣府宇宙開発戦略推進事務局)を対面とオンラインのハイブリッド形式で開催しました。当日は来場者70人とオンライン視聴者170人の計240人が参加し、盛況なイベントとなりました。

会場の様子

目次:

冒頭まず準天頂衛星システムサービス株式会社の石橋海・代表取締役社長がオンラインにより開会を宣言しました。続いて、今回の講演会のために会場を提供いただいた池内グループの池内和正・代表取締役社長が登壇し、「昨年10月にオープンしたこのIKEUCHI LABを、ぜひ北海道における宇宙技術開発の拠点としてご利用いただければ幸いです」と挨拶しました。

石橋社長

ビデオで開会宣言した石橋社長

池内社長

池内グループの池内社長

── 内閣府 和田企画官

和田企画官

内閣府 宇宙開発戦略推進事務局の和田弘人企画官が登壇し、みちびきのサービスの特徴を紹介すると共に、みちびきの提供サービスを活用した事業化への支援として、アイデアソン開催や「みちびきコミュニティ」によるユースケース創出、公募実証事業、事業者マッチングイベントや展示会への参加などに取り組んでいることを紹介しました。また、みちびきが今後提供を開始する予定の信号認証サービスや、MADOCA-PPP(高精度測位補強サービス)による海外の利用促進、災危通報(災害・危機管理通報サービス)の拡張機能などについても説明しました。

講演資料

信号認証サービスは2024年度に開始予定(講演資料より)

── NECソリューションイノベータ 神藤氏

神藤氏

続いて、準天頂衛星システムサービスの委託先であるNECソリューションイノベータ株式会社の神藤英俊主席プロフェッショナルが、みちびき事業の概要と利用拡大活動に関する最新状況を紹介しました。農業や土木・建設、海上、鉄道、ドローンなど多様な分野において実証事業に取り組んでいること、そして展示会や講演会などを通じて行っているみちびきのプロモーション活動についても報告しました。さらに自動車やドローン、車載器、水上タクシー、ゴルフウォッチ、サイネージ、測量機器など、みちびきに対応した製品や受信機の最新状況も解説しました。

講演資料

多様な分野で実証事業を実施(講演資料より)

── 北海道大学 野口教授

野口教授

北海道大学 農学研究院の研究院長を務める野口伸教授は、CLAS(センチメータ級測位補強サービス)を活用した電動ロボットによるスマートぶどう栽培システムを紹介しました。電動ロボットに防除や草刈り、農薬散布、運搬、収穫などの機器を搭載することで自動化し、見回りにはドローンを使用して、遠隔でロボットの作業を監視する仕組みです。山間部では地形が複雑な起伏を含んでおり、ネットワーク環境の脆弱さも大きな課題となっているため、野口教授は、みちびきをベースに様々なセンサーを組み合わせて電動ロボットやドローンの測位システムを構築すれば、安定性の高いリモート農業が可能となると解説しました。

講演資料

EVロボットの走行制御(講演資料より)

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── 国土交通省 北海道開発局 小野寺氏

小野寺氏

国土交通省 北海道開発局の小野寺敬太氏(事業振興部 機械課 機械施工専門官)は、みちびきの高精度測位を活用した除雪装置の自動制御をテーマに講演しました。北海道開発局では産学官のプラットフォーム「i-Snow」を推進しており、その一環としてみちびきのCLASを活用したロータリ除雪車の除雪実証実験を進めています。この除雪車は、高精度3次元地図とCLASの高精度位置情報を組み合わせた運転支援ガイダンスと、シュート(投雪)作業の自動制御システム、安全確認のための周辺探知技術を搭載しており、小野寺氏は、この仕組みを導入することでオペレーターの担い手不足対策として従来の2名体制を1名体制にすることができると説明しました。

講演資料

みちびき対応のロータリ除雪車の自動制御の仕組み(講演資料より)

関連ページ

── 岩見沢市 情報政策部 黄瀬部長

黄瀬部長

岩見沢市 情報政策部で情報政策部長を務める黄瀬信之氏は、産官学連携による地域DX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みの一環で実施している、みちびきを利用した農機の自動操舵システムと除雪車ガイダンスシステムの実証実験を紹介しました。この2つのシステムは、それぞれが別のシステムでありながら同一の機材を使用しているという点が特徴で、黄瀬氏は、異なる季節において同じシステムを共用することでシステム導入や運用のコストを低減できると説明しました。

講演資料

除雪車ガイダンスシステム実演の様子(講演資料より)

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── KIS 西村部長

西村部長

最後に株式会社KIS 公共・クラウドソリューション事業部 水道ソリューション部の西村泰徳部長が、自社で手がけるみちびきのSLAS(サブメータ級測位補強サービス)を活用した水道メーターの位置情報収集システムを紹介しました。これは、SLASに対応した腕時計型デバイスと検針用のスマートデバイスを連携させて、検針と同時に水道メーターの高精度な位置情報を取得して登録できるというシステムです。西村氏は、みちびきを活用することで位置情報整備のコストを低減でき、検針作業の引き継ぎを効率化できると共に、水道メーター取り替え業者への説明の手間も軽減できると、システムの利点をアピールしました。

講演資料

水道メーターの位置情報収集システム(講演資料より)

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講演後にはネットワーキングの時間が設けられ、講演の聴講にとどまらない双方向のやりとりが参加者同士で活発に行われました。

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