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[報告] 農業エレクトロニクスをテーマにトラ技と共同オフ会を開催

2026年04月13日

準天頂衛星システムサービス株式会社は2026年3月9日、CQ出版社の専門月刊誌「トランジスタ技術」とみちびきコミュニティによる共同オフ会「農業エレクトロニクス×日本版GPSみちびき」を東京・日本橋のX-NIHONBASHI BASEで開催しました(共催:トランジスタ技術、事務局:一般社団法人クロスユー)。
このイベントは、トランジスタ技術が2026年2月号で行った農業エレクトロニクスの特集をもとに、みちびきとの共同研究会(連携オフ会)として企画されたものです。トランジスタ技術とのコラボによる共同オフ会の開催は、自律走行ロボットをテーマに取り上げた昨年に続き2回目となります。
当日は内閣府による講演や、トランジスタ技術編集部の司会によるセッション、みちびきを活用した新製品や新サービスの紹介などが行われました。

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内閣府宇宙開発戦略推進事務局の三上建治参事官(準天頂衛星システム戦略室長)は冒頭、自身の幼少期からの電子回路との関わりを振り返り、当時は「トランジスタ技術」を始めとする電子関連の出版物を愛読しており、大きな影響を受けたと謝辞を述べました。そして、ここ数年は同誌に掲載された衛星測位の特集記事をきっかけに内閣府との交流が始まり、イベントに参加するなど関係が深まった経緯を紹介し、この日の盛会を祈念すると挨拶しました。

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続いて同じく準天頂衛星システム戦略室の齊田優一技術参与が登壇し、みちびきについて説明しました。齊田技術参与は、みちびきが現在5機で運用しており、昨年12月に5号機の打ち上げが失敗したことを振り返ったうえで、「我々は手を休める気は一切なく、技術革新を進めながら11機体制を目指していきたい」と今後への決意を表明しました。

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さらに3月上旬に都内で開催された「MGA(Multi-GNSS Asia) Conference 2026」において行われたイベント「RPD (Rapid Prototype Development) Challenge」についても紹介しました。
これは、チームで協力しながらアイデアを短期間でプロトタイプとして開発するハッカソンで、タイやインドネシア、マレーシアから大学生や高校生、若手研究者合わせて15名が参加したほか、日本からも長岡工業高等専門学校や慶應義塾大学、神奈川大学から5名が参加し、内閣府やトランジスタ技術のスタッフも講師やサポーターとして参加しました。
スポンサーにはトランジスタ技術のほか、受信機を提供したセプテントリオや、秋葉原の電子部品販売店として知られる秋月電子通商や千石電商も加わりました。

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RPD Challenge当日の会場には、短期間で開発するために必要な体験キットとしてみちびき対応のGNSSモジュールや開発ボード、電子部品、秋葉原の買い物マップ、必要知識や手順をまとめた開発の“虎の巻”などが用意され、開発ボード用のサンプルソースコードも提供されたとのことです。
ハッカソンは、国別に5つのチームに分かれて(日本人は各チームに1名ずつ参加)、初日は「輸送」または「災害」をテーマに社会課題解決のアイデアを議論し、チームごとに自分たちが考えたアイデアを発表しました。ここで発表したアイデアをもとに、2日目はGNSSモジュールの使用方法を学習したうえで、各チームでデバイスのプロトタイプ開発に取り組みました。最終日となる3日目は各チームでAIなどを駆使した内容の濃いプレゼンテーションが行われ、みちびき賞やMGA賞、トラ技賞など様々な賞が授与されました。
齊田技術参与は、「2日目の段階では開発できるか不安がありましたが、参加者は宿泊先でも開発を続けたようで、翌朝にはきちんと動くものを作ってきて、ガッツがあるなと思いました」と競技の様子を振り返りました。

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その後のセッションでは、トランジスタ技術編集部の及川健氏が司会を務め、様々な発表が行われました。

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最初に行われたのは、施設園芸や植物工場に関する環境制御システムや生産システムなどの研究を行っている近畿大学の星岳彦教授の講演です。
星教授は、施設の不均一環境に適応して自律的に移動する“モバイル植物”の理論を解説したうえで、IoT(モノのインターネット)による自律分散型の環境制御システム「ユビキタス環境制御システム(UECS)」を発表し研究会を立ち上げて社会実装を進めていると説明しました。

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続いて1月に同じX-NIHONBASHI BASEで行われた「みちびきの災危通報を活用したハッカソン」に参加した豊田高専チーム(写真左から川上彰斗さん・貝渕蒼馬さん・徳満有哉さん)が登壇し、そこで開発したみちびき対応デバイス「MICHIBIKI GUARDIAN TAP(みちびきガーディアンタップ)」を紹介しました。
なお、同チームは1月のハッカソン以降、筐体の画面表示等に改良を加えてアップデイトしており、今回はその最新型システムにてプレゼンを行いました。

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これはスマートフォンで制御できるスマートコンセントタップで、みちびきの災危通報を受信するか、または地震の強い揺れを検知することでコンセントが自動的に遮断し、ディスプレイに警告が表示され、アラームで避難を促します。

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緊急時にはコンセントを遮断し、画面に警告を表示する

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通電されている平常時(上)とコンセントを遮断した緊急時(下)を実演

平常時は大きなデジタル時計として使用でき、内蔵されたみちびき対応受信機及びIMU(6軸ジャイロセンサー)で地震を常時監視します。ウェブアプリによるスマートコンセント機能を搭載しており、農業にも活用することが可能です。ビニールハウスに導入して倒壊時の漏電や火災を防ぐために電源を自動遮断できるほか、農業ロボットやソーラー電源を搭載した圃場の見守り警報設備などに活用できる可能性があります。

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セッションの最後には、みちびき関連の製品やサービスを開発・提供する参加者5名(紺屋 根本氏、B&B Lab. 眞崎氏、構造計画研究所 菊田氏、AITOYA 町村氏、moegi 片寄氏)によるショートプレゼンテーションが行われました。

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各プレゼンテーションの合間には参加者からの質問が寄せられました。また、イベントの最後にはネットワーキングの時間も設けられ、登壇者や参加者との間で活発な交流が行われ、イベントは盛況のうちに終了しました。

集合写真

(取材/文:片岡義明・フリーランスライター)

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