コンテンツです

[報告] 第3回ドローンサミットで展示・講演・飛行デモを実施

2024年11月18日

2024年10月1、2日の2日間、第3回ドローンサミット/北海道ミライづくりフォーラム2024(主催:経済産業省、国土交通省、北海道)が札幌市内にある札幌コンベンションセンターで開催されました。内閣府宇宙開発戦略推進事務局は会場に展示ブースを出展すると共に、10月1日に会場内で開かれた「北海道航空・宇宙カンファレンス2024」(主催:一般社団法人北海道産学官研究フォーラム)で講演を行いました。また、屋外展示場にて、みちびきの信号認証サービスに対応したドローンによる自動配送のデモンストレーションも実施しました。

会場外観

会場となった札幌コンベンションセンター

会場風景-1

展示会場の様子

国や自治体、関連事業者が一堂に集い、ドローンやDXに関する展示や事例発表、セミナーなどを行う「ドローンサミット」は2022年から毎年行われており、第1回が神戸市、第2回が長崎市で開催され、今回の札幌市が3回目となります。展示会場は「ドローン/空モビリティゾーン」と「北海道Society5.0ゾーン」の2エリアに分けられ、ドローンメーカーやドローンを活用したソリューションを扱う企業のほか、ドローンスクールや大学、自治体、事業者団体など産官学の幅広い分野からの出展がありました。

会場風景-2

体験型コンテンツ

エントランスホールでは体験型コンテンツとして「空飛ぶクルマのVR体験」(株式会社AirX)や「空飛ぶクルマのシミュレーター」(一般社団法人MASC)、「ドローン操縦体験」(株式会社ドリームベース)などが用意されたほか、道内外から10チーム以上が集って「北海道知事杯ドローンサッカー大会2024」も開催されました。

会場風景-3

ドローンサッカー大会

登壇者-1

吉田参事官

初日の「北海道航空・宇宙カンファレンス2024」には内閣府宇宙開発戦略推進事務局の吉田邦伸参事官が登壇し、「我が国の宇宙政策の方向性について ~リモートセンシング・測位を中心に~」と題して基調講演を行いました。
吉田参事官は、UAV(ドローン)及び人工衛星のリモートセンシングへの活用事例を紹介し、少子高齢化による生産年齢人口の急減に対応するため、リモートセンシング等のデジタル技術を活用して効率化を図ることが重要だと訴えました。リモートセンシング技術は、人工衛星で広域にスクリーニングした上でドローンやヘリコプターによる調査を行うといった形で、各方法の特性を踏まえた適切な組み合わせが有効であるとしました。
さらにドローンを制御する技術としてみちびきの高精度測位にも言及し、みちびきの概要や8の字軌道などの基本事項を説明した上で、SLAS(サブメータ級測位補強サービス)やCLAS(センチメータ級測位補強サービス)などの測位補強サービスを紹介しました。また、山間部などの携帯圏外エリアでも高精度に位置が分かることを活かし、CLAS対応ドローンが点検・測量サービスなどに活用されている事例も挙げました。みちびきは今後、2025年度にかけて追加の衛星を打ち上げて7機体制となる予定であり、「みちびきを様々な分野で活用していただければ」と利活用の拡大を促して講演を締め括りました。

講演風景-1

パネルディスカッションの登壇者

吉田参事官はカンファレンス後半のパネルディスカッションにも参加し、他のパネリストから、既存のGNSS制御の農機などでみちびきの高精度測位を実現する方法について問われると、「CLAS受信機は以前に比べ大幅に小さく軽くなって、コストも下がっており、外付けとして取り付けるだけで高精度測位を利用できるようになる」と回答しました。

講演風景-2

パネルでの討議。右前机の中央が吉田参事官

カンファレンスの最後に北海道航空・宇宙研究会の副会長を務める池内和正氏が挨拶に立ち、航空と宇宙、そしてドローンを含めた連携に向けた大変有意義な会合になったとした上で、「いろいろな業種の方々が宇宙事業に興味を持っており、自治体とも連携していく必要がある」と今後の方向性を示して閉会しました。

登壇者-2

池内氏

デモフライト-1

屋外展示場で行われたデモフライト

10月1日と2日の両日、札幌コンベンションセンターの屋外展示場にて株式会社コアのCLAS及び信号認証サービスに対応した受信機「Cohac∞Ten++」を搭載したドローン「ChronoSky PF2-AE」による自動配送のデモフライトを行いました。

デモフライト-2

コア山本氏によるみちびきの概要説明

冒頭、コアGNSSソリューションビジネスセンターの山本享弘センター長(常務執行役員)が見学者に向けてみちびきの概要説明を行いました。今回のフライトは、ドローンの自律飛行による配送を想定し、目的地まで物資を運んでいる途中にスプーフィングによる妨害を受けたことが信号認証サービスによって検知され、輸送を中断して離陸ポイントに戻る、というシナリオで実施されました。なお、スプーフィング信号の放射は法令違反となるため、このデモでは実際にスプーフィング信号を放射せず、スプーフィングを受けた状況を再現した形で行われました。

デモフライト-3

デモフライトの様子

離陸後、設定された目的地に向けて飛行し始めたドローンは、スプーフィング信号の検知がアナウンスされると途中で引き返し、CLASの高精度測位により離陸した地点へ正確に着陸することができました。

デモフライト-4

荷物を運ぶドローン

デモフライトの実施後、初日は内閣府宇宙開発戦略推進事務局の三上建治参事官(準天頂衛星システム戦略室長)、2日目は和田弘人企画官(準天頂衛星システム戦略室)が挨拶し、次のようにコメントしました。

「GPSの誤差がテニスコートくらいの大きさであるのに対し、本日紹介したCLASを使えばテニスボールほどのサイズの誤差で高精度に測位できます。みちびきはすでに信号認証サービスの信号を発しており、これはみちびきだけでなくGPSやGalileoの信号にも対応しています。ぜひ皆さまに国産の衛星測位サービスとして使っていただきたいと思います」(三上参事官)

内閣府コメント-1

三上参事官

「物流事業者にとって、信号認証サービスの導入は『正当な衛星の信号を使って測位した経路で物を運んだ』という位置の信頼性を担保する情報の一つとなり、正しい経路を辿ったことを証明するサービスとしても利用できます。非常に一般化するサービスと思いますので、ぜひ導入をお考えください」(和田企画官)

内閣府コメント-2

和田企画官

みちびき展示-1
みちびき展示-2

来場者でにぎわうみちびき展示ブース

内閣府によるみちびき展示ブースでは、コアのCLAS対応ドローン「ChronoSky PF2」のほか、CLAS対応受信機としてコアの「Cohac∞ Ten」と「Cohac∞ Ten++」、ビズステーションの「RWX.DC」と「RWS/RZSシリーズ」を展示しました。
来場者にはドローン関連の事業者も多く、みちびき対応製品の最新情報を知っていただく機会としても好評でした。また、みちびきを知らない方に対しては、GPSとの違いや高精度測位など、みちびきの様々な特徴をご案内しました。屋外でのフライトデモを見た後にみちびき展示ブースに訪れた方は、CLASの高精度測位のみでドローンがピンポイントに着陸できたことを知り、測位精度の高さに驚いておられました。

みちびき展示-3

コアのドローン「ChronoSky PF2」(左)、CLAS対応受信機「Cohac∞ Ten」「Cohac∞ Ten++」(中央)と「RWX.DC」「RWS/RZSシリーズ」(右)

登壇者-3-1

OST水上氏の講演

登壇者-4-1

エゾウィン大野氏の講演

10月2日に会場内で行われた北海道179自治体向け地域課題解決型ピッチイベント「UPDATE179」では、オーシャンソリューションテクノロジー株式会社(OST)の水上陽介代表取締役とエゾウィン株式会社の大野宏CEOの2人が、みちびきの高精度測位を活用した取り組みを紹介しました。
OSTは、昨年のみちびきを利用した実証事業において、SLAS対応のIoT機器を船舶に設置して船の航跡を取得し、その航跡をもとにAIを活用して操業情報の解析に取り組みました。エゾウィンは、CLAS対応のGNSSロガーを活用した農作業支援システム「レポサク」を提供するスタートアップ企業です。

登壇者-3-2

水上氏

登壇者-4-2

大野氏

OSTは展示会にも出展しました。自社ブースにて「トリトンの矛 ─ RESCUE」(みちびき対応の小型デバイスを活用し、海難事故が発生した際に転落者の位置を追跡するシステム)のプロトタイプなどの製品を展示しました。

OSTの展示

OSTの展示ブース

トリトンの矛-RESCUE

参照サイト

関連記事