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[講演] LBJ2019で位置情報のスポーツへの活用をテーマにした基調講演

2019年06月20日

千葉・幕張メッセで6月12~14日に開催された「ロケーションビジネスジャパン(LBJ)2019」では、位置情報のスポーツへの活用のテーマが基調講演に取り上げられました。

ロケーションデータがスポーツにもたらすインパクト

ラグビーワールドカップ2019日本大会の開幕100日前を迎えた6月12日には各地で関連イベントが開催されましたが、LBJ2019でも元ラグビー日本代表主将の広瀬俊朗氏と、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科(慶應SDM)の教授であり、このLBJ2019の実行委員長を務める神武直彦氏の2氏が、「位置情報のスポーツへの活用」をテーマに講演を行いました。

選手の背中にGNSS受信機を装着(画像提供:日本ラグビー協会)

選手の背中にGNSS受信機を装着(画像提供:日本ラグビー協会)

ラグビー日本代表チームでは、前回のワールドカップから今大会に至るまで、練習の際に選手の背中にGNSSトラッカーを取り付けてスピードや移動距離、移動軌跡などをデータとして記録し、さまざまな分析を行ってきました。それまでは「速い」「スタミナがある」といった個々の選手への評価を漠然と行っていましたが、衛星測位技術を導入したことで、上位チームの選手が走る距離や加速の回数と自チームを比較するなど、データに基づく練習プランなどの検討ができるようになりました。また、疲労度に応じてトレーニング量を的確にコントロールすることも可能になりました。

GNSSログ(左)と映像(右)との比較

GNSSログ(左)と映像(右)との比較

日本代表で主将を務めた広瀬氏

日本代表で主将を務めた広瀬氏

「フィジカル面で強いチームに追いつくために、どれくらい練習しないといけないか具体的に見えるようになったのはGNSSのおかげです。上位チームにすぐに追い付けなくても、過去のデータと比較すれば『自分たちが成長している』と確認できます。自分たちの取り組みを、データを見て信じられるようになった点で、ロケーションデータには勇気付けられました」(広瀬氏)

また、衛星測位で、2015年の前大会から今大会へと進化した点としては、機器の値段が下がったことや測位の安定性が向上したこと、練習後すぐに自分のデータをチェックできるようになったこと、映像に速度表示を重ねるなど、映像とのリンクが可能になったことなどを挙げました。

慶應SDMの神武教授

慶應SDMの神武教授

一方、神武教授は、複数のGNSSを受信して精度を向上させるマルチGNSSに言及し、大学ラグビーなどでも高精度な軌跡ログを活用することで、映像だけによる分析よりも正確な分析が可能となり、練習や試合後に最高速度やダッシュ回数などをすぐに確認できるようになってきたと語りました。

また、こうしたスポーツデータの活用で、ケガの予防や監督・選手間や選手同士のコミュニケーションの誘発、コンディション管理、各選手に対応したパーソナルトレーニングの実施、戦略立案などさまざまな面で効果があると語りました。

東京での測位実証、GPS単独とマルチGNSSの測位を比較(画像提供:東京海洋大学 久保信明教授)

東京での測位実証、GPS単独とマルチGNSSの測位を比較(画像提供:東京海洋大学 久保信明教授)

(取材/文:片岡義明・フリーランスライター)

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