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[報告] 第2回宇宙×G空間ワークショップ(福岡)

2016年04月14日

内閣府宇宙戦略室(4月より宇宙開発戦略推進事務局に名称変更)は3月4日、福岡市内で第2回「宇宙×G空間ワークショップ(つながる防災対策、スマート林業・地方創生等)」(福岡会場)を開催しました。本ワークショップは2月22・23日に開催した和歌山会場に続くもので、第1部の開会挨拶と基調講演に続き、第2部「つながる防災対策」と第3部「スマート林業と地方創生」では、1)和歌山会議の概要報告、2)現状報告・先進事例等の紹介、3)パネルディスカッションの3パートに分けた構成で実施しました。

第1部:「開会挨拶」と「基調講演」

内閣府宇宙戦略室・守山宏道 参事官

開会挨拶を行った内閣府宇宙戦略室の守山宏道参事官は、日本がシンガポール陸上交通庁から「衛星測位課金システム(ロードプライジング)の次世代型の自動料金収受システム(ETC)」を受注した例を挙げて、このような新技術を使った先端的な取り組みで世界の課題に貢献していきたいと述べました。

九州大学大学院工学研究院附属アジア防災研究センター・三谷泰浩氏(教授)

次いで、九州大学大学院工学研究院附属アジア防災研究センターの三谷泰浩氏(教授)が「宇宙×G空間情報~災害時の衛星情報・地理空間情報の連携・利活用に向けて~」と題して基調講演を行いました。三谷氏は、同センターが中心となって行う「九州地理空間情報ポータル」について、JAXA(宇宙航空研究開発機構)が災害時に観測画像等を提供するサイト「だいち防災WEB」と連携している事例を紹介し、宇宙インフラを「あると便利なもの」から「なくては困るもの」へ変えていくことが重要だとアピールしました。

第2部:「つながる防災対策」

京都大学防災研究所・畑山満則氏(准教授)

第2部では、まず京都大学防災研究所の畑山満則氏(准教授)が「自治体におけるICTを活用した防災対策の現状と課題」として、実際に行った那須烏山市の自治体支援活動等を紹介しました。その上で、災害時は、市町村等は活用できるリソース(人材、技術等)が限られる中で迅速に対応する必要があり、その状況に応じて情報システムも再構築が必要なこと、衛星通信などの宇宙のシステムが加われば、より堅牢な防災対策になることについて解説しました。また、和歌山会議で挙がった防災・減災に関する議論のポイントも報告しました。

続いて、防災対策に関連した各分野から4氏が登壇し、宇宙インフラ、クラウドサービス、位置情報の活用例、G空間情報等を活用した現状と先進事例の報告を行いました。

(左から)内藤氏、小田氏、田中氏、亀山氏

(左から)内藤氏、小田氏、田中氏、亀山氏

報告されたのは、JAXA衛星利用運用センターの内藤一郎氏(センター長)による「リモセン技術を用いた防災等への取り組み」、株式会社セールスフォース・ドットコムの小田幸弘氏(プリンシパル ソリューションエンジニア)による「クラウドで『つながる』 防災情報共有システム」の紹介、ヤフー株式会社の田中真司氏(メディアカンパニー Yshoo!天気・災害サービスマネージャ—)による「Yahoo!防災速報」、株式会社ビッグツリーテクノロジー&コンサルティングの亀山大吾郎氏(マネージャー)による「『G空間社会における山岳遭難防止対策モデル構築事業』及び山岳関連情報を活用した今後の事業展開について」の計4件です。

その後、京都大学防災研究所の畑山氏が司会・とりまとめとなり、先進事例を報告した4氏に、九州大学大学院の三谷泰浩氏、一般財団法人リモート・センシング技術センターの山本彩氏(主幹研究員)、人吉市長の松岡隼人氏がパネラーに加わり、次の5つの観点から「つながる防災対策」の実現に向けて必要なことや改善点についてパネルディスカッションで議論しました。

1)防災・減災に不可欠なサービスの連携
2)準天頂衛星、リモートセンシング、IoT、ビッグデータ等の組み合わせによるリアル
タイムな情報把握の実現、これを通じた現場対応力の向上
3)平時とのデュアルユースを進める全国的なモデルの構築を通じた防災対策の持続性の向上
4)地方公共団体等における衛星インフラや地理空間情報技術の“使える化”、部門横断
的に情報を収集・活用できる人材の育成
5)データの標準化・二次利用の促進を図るルールと体制の構築

その結果、みちびきやリモートセンシング等を活用したリアルタイム性の高い防災・減災対策への期待が高まる中で 、宇宙インフラは「なくてはならないもの」に変化を遂げる必要があると結論づけました。

第3部:「スマート林業・地方創生」

株式会社野村総合研究所・井上泰一氏(ICT担当部長)

第3部では、まず株式会社野村総合研究所の井上泰一氏(ICT担当部長)が、2月22・23日に開催した和歌山会議の概要報告を行いました。

続いて、林業関連企業等の8氏が登壇して事例紹介を行いました。

(左から)杉岡氏、堂園氏、速水氏、塩沢氏
(左から)野村氏、中村氏、高橋氏、蒲谷氏

(上段左から)杉岡氏、堂園氏、速水氏、塩沢氏、(下段左から)野村氏、中村氏、高橋氏、蒲谷氏

紹介された事例は順番に、1)有限会社杉岡製材所の杉岡世邦氏(専務取締役)による「林業の生産性 問題提起」、2)鹿児島県・宮崎県木材輸出戦略協議会の堂園司氏(会長)による「木材輸出戦略協議会の取り組み」、3)株式会社森林再生システムの速水亨氏(代表取締役)による「スマート林業、地方創生」、4)株式会社アドイン研究所の塩沢恵子氏(取締役)による「森林3次元計測システム『OWL』—ロボット技術の活用—」、5)株式会社ワイス・ワイスの野村由多加氏による「合法木材100%、国産材70%使用したオリジナル家具」、6)株式会社ウッドインフォの中村裕幸氏(代表取締役)による「木材流通の活性化につながる情報システム」、7)株式会社グリーン&ライフ・イノベーションの高橋文宏氏(技術開発部長)による「函館発 リモートセンシングデータを利用した水産海洋情報提供サービス『トレダス』の紹介」、8)フューチャアグリ株式会社の蒲谷直樹氏(代表取締役)による「小型ロボットが創る未来—地域の機能と雇用を創造する—」の計8件。林業、農業、漁業、ロボット等、幅広い分野からの多岐にわたる事例が紹介されました。

パネルディスカッションでは、野村総合研究所の井上氏を司会・とりまとめとして、事例紹介を行った登壇者8氏と、人吉市長の松岡氏がパネラーとなり、次の7つの観点から今後の課題を乗り越える方策について議論しました 。

1)林業の川上~川下までのバリューチェーン全体の統合化・連携
2)林業生産を支援する関連システムを統合したプラットフォームの構築
3)木材流通トレーサビリティ・システムの普及
4)森林情報・GIS等をはじめ統合・連携のための標準化・クラウド化
5)環境配慮等森林の多面的機能の推進
6)国際的な視点の重要性
7)人材育成

最後は、内閣府宇宙戦略室の守山参事官が、さまざまな観点から林業と防災を議論した今回のワークショップを振り返り、宇宙、G空間、地理空間情報をキーワードに新産業を創出していく上で「つながる」ことの重要性を強調。今後は、S-NETの中に分野ごとに分科会を作り、関係省庁と連携していきたいと述べて、閉会しました。

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