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[WTP講演](4)Tokyo2020に向けた位置情報の貢献(東京大・柴崎氏)

2016年07月12日

個々のデータを統合して全体像を見渡すことが重要

── 東京大学 空間情報科学研究センター 教授 柴崎亮介氏

5月27日、ワイヤレス・テクノロジー・パーク(WTP)2016のセミナー「ロケーションサービス~準天頂衛星、屋内測位、位置情報利用~」の基調講演で、東京大学空間情報科学研究センター教授の柴崎亮介氏が「Tokyo2020に向けた位置情報の貢献」と題して東京オリンピック・パラリンピックに向け位置情報が貢献できることの見通しを講演しました。以下、その概要を紹介します。

「人がどこにいて何をしているのか」を把握する

東京大学 空間情報科学センター 教授 柴崎亮介氏

東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年に向けて、今後、外国人観光客の増加が予想されますが、日本の公共交通機関は「迷宮」と呼ばれるほど入り組んでいるため、何らかのガイダンスが必要になります。また、大勢の人間が集まるということは、迷子以外にもさまざまな問題が発生します。また、7~8月の開催なので熱中症や熱射病などの急病人が増えると考えられ、そのための予測や対応も求められます。ある医療関係者は「いつ来るか分かっている災害」と表現したぐらいです。

オリンピックに限らず、大勢の人が集まるイベントに共通するのは、「人がどこにいて何をしているのか」という情報を把握する必要がある点です。混雑の状況を把握するには、イベント会場とその周辺で集められる個々のデータをインテグレーション(統合)しなければならないでしょう。

講演風景

「天気予報」のように断片的なデータを集約

参考となるのは、ロンドンオリンピックで作られたTCC(Transport Coordination Center)です。このセンターは、強力な組織が強制的にコントロール(Control、制御)するのではなく、個々の事業者が持っているデータを持ち寄って全体のマップを見ることができるようにコーディネイト(Coordinate、調整)することを目的としています。TCCでは交通機関からの情報とチケットによる入退場の情報だけでしたが、モバイル端末が広く普及している現在であれば、もっと精度の高い情報が集められるはずです。そのための実証実験も少しずつ行っています。

東京大学 空間情報科学センター 教授 柴崎亮介氏

断片的なデータを集めて利用することは、天気予報に似ています。天気予報では各地からの観測データを集め、数値解析によってデータのない部分の天気を推測して全国の天気を予測します。同じようにJRなどの交通機関からのデータを集めて解析し、仮説の最適化を行いながら「人の流れの天気予報」を行って全体像を見渡すことが重要です。すでに災害発生時の人の動きを推測する試みや予測の実証実験などが行われています。2020年を良いきっかけとして、こうしたシステムや組織を作ってみてはいかがでしょうか。

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