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[報告] 筑波宇宙センター特別公開にみちびきも参加

2026年01月19日

※本記事は、みちびき5号機打上げ(2025/12/22)の約1カ月前に行われた「JAXA筑波宇宙センター特別公開」の紹介記事であり、5号機の運用を前提とした内容を一部含みますが、当日の開催内容をそのままお伝えするものです。


宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2025年11月8日、筑波宇宙センターの特別公開を実施しました。同センターの特別公開は、JAXAの取り組みを一般の方々に直接伝えるイベントとして毎年開催されており、今年は内閣府と準天頂衛星システムサービス株式会社も、JAXA高精度測位システム(ASNAV)プロジェクトチームと共に参加してみちびきやASNAVについて紹介しました。当日は朝から晴天となり、子どもから大人まで幅広い年代の多数の来場者が訪れました。

会場風景-1

特別公開の当日、広報・情報棟で行われたASNAVプロジェクトチームの講演会には、JAXA第一宇宙技術部門 高精度測位システムプロジェクトチームの松本暁洋プロジェクトマネージャと、内閣府宇宙開発戦略推進事務局の岸本統久企画官(準天頂衛星システム戦略室)が登壇しました。

松本氏

JAXAの松本氏は、衛星測位の基本的な仕組み、みちびきの特徴や機能、打上げ・運用の歴史など紹介した上で、ロケットへの搭載作業やH3ロケットによるみちびき6号機打上げの動画を投影して解説を加えました。みちびきが7機体制に移行すると日本から常に4機以上のみちびきが見えるようになり、みちびきの信号だけで測位が可能になる点も説明しました。
また、みちびきを高度化するASNAVについては、従来のみちびきのシステムに衛星間測距機能と衛星/地上間測距機能を加えることで、従来よりも正確にみちびきの位置と時刻を特定でき、スマートフォンのような一般的な受信機でのユーザー測位精度を従来の約10mから1m程度に向上させることができると解説しました。
講演後の質疑応答では、みちびきの機体寿命や、みちびきの追加衛星の配置など来場者から様々な質問が寄せられました。

岸本企画官

内閣府の岸本企画官は、まず衛星測位システムの世界の動向を解説しました。衛星測位システムの市場は年々拡大しており、米国やロシア、欧州、中国、インドなど各国でGNSSの整備・高度化が進展しています。韓国も独自のシステムを開発中で、トルコや英国も将来GNSSの保有に関心を持っています。日本のみちびきは2025年2月に打ち上げられた6号機が同年7月からサービスを開始し、現在は5機で運用中です。
岸本企画官は、7機体制になった場合の衛星の軌道と、バンコクやシンガポールから見た天空図を紹介し、衛星数が増えることによるDOP(Dilution of Precision)改善の効果を解説しました。また、測位・時刻サービスの安定供給を目的としたバックアップ機能の拡大や利用可能エリア拡大のため、将来の11機体制を見据えて3号機後継機と8号機の開発に着手している点も補足しました。
みちびきは7機体制になることで、みちびきだけによる測位が可能となり、ASNAVにより測位精度も向上します。さらにMADOCA-PPP(高精度測位補強サービス)において、これまで課題だった初期収束時間を短縮させるための多周波・他衛星補強を可能とする「Global PPPサービス」を提供すると共に、6号機と7号機から地域固有の電離層補正情報を送信する「Fast PPPサービス」も提供すると紹介しました。事前の実験では、これまでよりも多くの測位衛星の信号を取り込むことで最終精度は10cm級、初期収束時間は300秒に改善したのに加え、オーストラリアやフィリピン、インドネシアの協力により当該地域で電離層誤差補正を行った結果、最終精度は5cm級、初期収束時間は150秒に改善することも分かりました。
講演後の質疑応答では、測位信号の周波数やみちびきの機体サイズ・質量、8の字軌道にした理由などの質問が寄せられました。

会場風景-2

総合開発推進棟の館内には「『アスナブ』を知ろう!」と題した展示ブースが設けられ、測位に関するクイズラリーも行われました。受付ブースにASNAVの概要が分かるジオラマを展示し、クイズの正解者には景品としてみちびきとASNAVのステッカーを配布しました。他にも、みちびきとASNAVプロジェクトの概要を紹介するポスターや、測位衛星の配置が分かるアプリケーションが映し出されたディスプレイ、みちびきに対応したソニーのGNSS受信LSI「CXD5610」の評価ボード、小型マイコンボード「Spresense」用のGNSSアドオンボードなどが展示され、多くの人で賑わいました。

会場風景-3

折り紙体験の様子

みちびきに興味を持っていただくために、みちびきの折り紙体験も実施しました。展示ブース奥のテーブルに専用のスペースを設けて、スタッフがサポートしながら多くの子どもたちにみちびきの折り紙を作っていただきました。

会場風景-4

参照サイト

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