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[報告] 相模原市立橋本小学校でみちびきアイディアソンを開催

2026年02月24日

※本記事は、みちびき5号機打上げ(2025/12/22)の約1カ月前に行われた「みちびきアイディアソン」の紹介記事であり、5号機の運用を前提とした内容を一部含みますが、当日行われた内容をそのままお伝えするものです。


相模原市は2025年11月19日、市内の橋本小学校体育館にて同校6年生の児童がみちびきの利活用アイディアを考えて発表する「準天頂衛星『みちびき』の利用拡大に向けたアイディアソン」を開催しました。これは相模原市が内閣府と日本電気株式会社(NEC)の協力を得て実施したもので、同市より委託を受けてイノベーション創出促進拠点運用業務を行うJR東海とFAN+TECH LABO(ファンタステックラボ)が運営を担当しました。

発表風景-1
利活用アイディアの展示

児童が考えた利活用アイディア

アイディアソンに先立つ11月6日、オリエンテーションとしてみちびきの概要を説明する動画の上映と、NECによる解説授業が行われました。児童はこれをもとに約2週間かけてみちびきの利活用アイディアを考えてアイディアソン当日に臨みました。

講師写真-1(名久井教諭)

名久井教諭

アイディアソンには橋本小学校の6年生163名が参加し、同校の名久井祐哉教諭による司会進行のもと、ゲストとして内閣府の細田聡史参事官補佐(宇宙開発戦略推進事務局 準天頂衛星システム戦略室)、相模原市の角田仁氏(環境経済局 経済部長)、NECの榎本菫氏(エアロスペース事業部門 エアロスペース営業統括部 第一宇宙営業グループ主任)、 JR東海の福島智樹氏(事業推進本部エリア開発、神奈川県駅PT担当部長)の4人が参加しました。

講師写真-2

左から細田参事官補佐、角田氏、榎本氏、福島氏

名久井教諭が冒頭、「準天頂衛星みちびきが7機に増えると、今よりもさらに正確な位置が分かるようになります。今日の授業では、みちびきを使って皆さんがどんなことをしたいのか、どんなことができるのかというアイディアをたくさん出し合っていただきます」と説明して授業が始まりました。教諭が「みちびきで何ができるか、教えてくれる人?」と呼びかけると、多くの児童の手が一斉に上がり、一人一人が順番に立ち上がってマイクを持ち、それぞれが考えた様々なアイディアを発表しました。

発表風景-2
発表風景-3

発表された中で多かったのが、「迷子になったペットを探す」「絶滅危惧種の動物の居場所を把握して動物保護に活用する」「酪農で牛の位置情報を取得し、ロボットを使って飼育する」といった動物関連のアイディアや、「災害時に支援物資をドローンで配送する」「災害時に家族の位置を把握する」「瓦礫の下敷きになった人を救助する」といった災害関連のアイディア、「遭難時にレスキューへ位置情報を送信する」「徘徊する高齢者を発見する」など行方不明者の探索に活用するアイディアです。

発表風景-4
発表風景-5

さらに「カバンや財布に受信機を付けておき盗難時に追跡する」盗難対策、「ごみ箱を自動的に移動させてごみを収集する」「救急車の位置情報を取得してカーナビに情報を表示する」「空飛ぶスマホを実現する」といった自動運転・自動飛行に関するアイディア、「スマホの位置情報を使って施設ごとの混雑状況を把握する」「ドライバーが歩行者の多い場所を把握する」などの位置情報ビッグデータの活用アイディアもありました。

発表風景-6
発表風景-7

中には「位置情報を使った鬼ごっこ」「歩くとお金がもらえる位置情報ゲーム」などの遊びに活用するアイディアや、「ボールに受信機を入れておき、競技ラインから出ているかを判定する」といったスポーツに関するアイディア、さらに「鉛筆に受信機を付けて自動で筆記する」や「買い物に出かけた母親の位置情報から帰宅時間を予測する」といったユニークなアイディアもあり、発表されたアイディアは79件に上りました。

続いて4人のゲストが、児童が発表した79件の中から印象に残ったアイディアを一つずつ選んで紹介しました。

講師写真-3(榎本氏)

NECの榎本氏は「空飛ぶスマホ」を選び、「空飛ぶクルマの開発に携わっている会社の社員として、この話はとても刺さりました。聞いた時に思わず、天才かもと感じました」とコメントしました。

講師写真-4(細田参事官補佐)

内閣府の細田参事官補佐は「救急車の位置情報把握」を選び、「私も内閣府に入った時に同じアイディアを上司に相談しました。今日ここへ来て本当にニーズがあると分かったので、もう一度提案してみたいと思います」と話しました。「皆さんのアイディアはどれも本当に素晴らしい。この中で実現できるものはぜひ進めていきたい」と決意を示すと、児童から大きな歓声が上がりました。

講師写真-5(角田氏)

相模原市の角田氏が選んだのは「移動するごみ箱」で、「ごみ収集の効率化は市にとっても課題であり、その意味でも画期的なアイディアです」と評価しました。

講師写真-6(福島氏)

JR東海の福島氏は「位置情報を活用した鬼ごっこ」を選びました。「遊びの中にみちびきを使うと、より世界が楽しくなります」と未来に期待を寄せました。

アイディアを発表した児童からは、「一所懸命考えて発表したことをワクワクしながら聞いてくれたのが楽しく、頑張った甲斐がありました」「人に任せず、自分で未来をつくりたいと思いました」「まさか自分のアイディアが選ばれるとは思わず、一生に一度しかできない体験になりました」「実際に実現できるかもしれないと聞いてうれしかった」「こんなに宇宙のことを知りたいと思ったのは初めて」といった声が寄せられました。

発表風景-8

名久井教諭は、「自分のためのアイディアに加えて、国や世界のため、未来のためのアイディアをみんなが考えてくれました。こうした熱い思いを聞けただけでもやって良かったと思います」と締めくくり、アイディアソンは終了しました。

発表風景-9

体育館には、みちびきについて解説するジオラマや、みちびきに搭載されている時刻保持ユニットや測位信号受信機、L帯変調器などの機器類、NECが開発した人工衛星の模型などが展示されました。

展示品-1

左から測位信号受信機、L帯変調器、時刻保持ユニットの模型

展示品-2

みちびきのジオラマ模型

展示品-3

地球観測衛星ASNARO-2の模型

(取材/文:片岡義明・フリーランスライター)

参照サイト

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