コンテンツです

[報告] 「立教小学校情報科」授業見学レポート（2016年度）

2017年04月06日

東京都内にある立教小学校で、みちびき（準天頂衛星システム）を教材にした授業が行われました。授業は2014年度、2015年度に引き続いて3度目の実施です。今年度も先進的な取り組みとしてご紹介します。

＜授業の構成＞

授業を行うのは情報処理を専門に教えている石井輝義先生です。今年度は、昨年度より1学年下の3年生を対象にして、フォローを多めに約2カ月弱にわたって行いました。

テーマは「学校内に設定した4つのポイントを探すミッション」です。
・ミッションSTEP 1
　── みちびき対応の受信機QZ1LEと、iPad miniをBluetoothで接続する
・ミッションSTEP 2
　── 教室を出て、学校の中の「設定ポイント」を探す
・ミッションSTEP 3
　── ミッションSTEP 2で撮影した写真を使って設定ポイントをまとめる

授業はiPad mini ＋ iTunes Uと石井先生が用意したコースを使って進めます。コースは子どもたちの活動を中心に組み立てられており、思い切ってミッションに挑戦していきます。

なお、今年度の授業はまだiPad miniの操作が初々しい3年生が対象です。石井先生は写真撮影や画面キャプチャの練習から指導していきました。写真撮影の練習に使用したのは今年度新たに登場したみちびきペーパークラフトです。子どもたちはとても丁寧に組み立ててたペーパークラフトを、どうやって撮れば形がよく分かるのか、工夫しながら撮影していました。

▽ミッションSTEP 1

ミッションSTEP1はQZ1LEとiPad miniをBluetoothで接続することです。クラスを4人一組のチームに分けて作戦会議をし、各チームで接続する係を決めて接続をします。上手くペアリングができればミッションSTEP 1は完了です。

▽ミッションSTEP 2

ミッションSTEP 2は教室の外に出て学校内に設定された4つのポイントを探します。授業が行われた日はとても寒く、東京都心部では今シーズン4回目の降雪となりました。
授業の冒頭、石井先生は言います。
「今日は、雨や雪が降っているから外に出るのやめようか...」
子どもたち全員、声をそろえて返事をします。
「やります！！」
そうして、寒さにも負けず教室の外で活動を開始しました。

子どもたちには4つのポイントの緯度経度と、その場所が一部映ったヒントの写真だけが示され、QZ1LEから得られる現在地の緯度経度を頼りに探します。ヒントの写真はこのように受信機だけを拡大した、どこの場所かよく分からない絵です。

緯度経度とにらめっこしながら、右往左往が続きます。

小学3年生はまだ緯度と経度の学習をしていませんが、子どもたちは屈することなく設定ポイントを探し回ります。まるで宝探しをしているようなワクワク感が伝わってきます。そして探した設定ポイントで緯度経度が分かる画面のキャプチャと、その場所が分かる写真を撮影しました。

▽ミッションSTEP 3

ミッションSTEP 3は、STEP 2の指令で取得した2つの写真を使ったまとめ作業です。学校の俯瞰図に、探した設定ポイントをマークして画像を挿入します。

まとめでは、設定ポイントが正しく探し出せていることはもちろん、それがどこかが分かる写真になっているか、俯瞰図上に見やすく表現できているか、いろいろなテクニックが必要です。もちろん、メンバーで協力しないとミッションは達成できませんし、制限時間もあります。そして、次のようなまとめの結果ができ上がりました。

＜授業を通して＞

今年度の授業は3年生を対象に行われました。iPad miniの操作を習得するために、写真撮影や画面キャプチャの練習が行われたのですが、その中で石井先生は子どもたちへ、なぜ画面キャプチャではシャッター音が消えるのに、カメラではシャッター音は消えないのか？という疑問を投げかけていました。答えは、相手の嫌がる写真を撮らないようにするためというものでした。iPad miniを使用した先進的な授業ですが、カメラの使い方だけでなく「心得」のような、子どもたちに行儀よくカメラを使ってほしいと願う石井先生の思いが伝わってくる授業でした。

石井先生、そして立教小学校の皆さん、今年度もありがとうございました。