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[報告] GNSS・QZSSロボットカーコンテスト2025を開催

2026年01月26日

「GNSS・QZSSロボットカーコンテスト2025」(主催:一般社団法人測位航法学会、共催:一般財団法人宇宙システム開発利用推進機構、公益社団法人日本航海学会GPS/GNSS研究会、準天頂衛星システムサービス株式会社)の記録走行会が2025年11月9日、東京海洋大学の越中島キャンパス(東京・江東区)で行われました。
このコンテストは衛星測位機能を搭載したロボットカーによる自律走行の交流イベントとして毎年行われており、みちびき等のGNSSを利用する研究者・技術者の相互交流や、大学・高専・専門学校・高校等の学生に対する衛星測位の基礎技術修得の機会提供などに役立てられています。

ロボットカー集合写真

教室に並べられたロボットカー

記録走行会にエントリーしたのは大学生や高専生が制作した計13チーム(機体数は14)です。会場は昨年と同様の約100~150mのアスファルト路面を周回するサーキットレース方式が想定され、募集は、1)従来の大きさのロボットカーでの参加、2)従来のサイズ規定を満たさない自由な大きさのロボットカーでの参加、3)オンラインによる動画での参加の3つのカテゴリーで行われました。

記録走行会は、前日(11月8日)の試走は無事実施できましたが、当日は生憎の雨天となって屋外での走行が行えず、校舎内にて各チームがロボットカーの特徴や工夫したポイントを解説するプレゼンテーション形式による説明と、スペックシート及びYoutube動画の提出による審査に変更されました。

プレゼン風景-1

チームごとに特徴や工夫点をプレゼン形式で発表した

会場でプレゼンテーションを行ったチームと機体は以下のとおりです。

阿蘇不知火CLAS2025
熊本高専Makers
熊本高専Makers

バギータイプで後輪駆動のラジコンをベースに製作した機体で、コントローラーのソフトウェアはオープンソースのPixhawkを使って制御しています。GNSS受信機はみちびきのCLAS(センチメータ級測位補強サービス)に対応したセプテントリオのMosaic-CLASを搭載し、制御ソフトウェアはChatGPTで最適なパラメーターを算出しています。できるだけ多くの人が簡単かつ安価にGNSSロボットカーを作成できるロールモデルとなる機体を目指して設計されました。

機体写真-1

阿蘇不知火CLAS2025

ミャッハ TYPE T
鳥羽商船高等専門学校 藤井研究室
鳥羽商船高等専門学校 藤井研究室

RTK(リアルタイムキネマティック)測位に対応した機体で、車体のサイドにローラーが付いており、コースの溝などに車体を衝突させてもタイヤやボディが破損しないように工夫されています。補強を万全にして製作されており、前日に行った試走で何回か衝突させてしまったものの、どこも壊れることなく走り終えることができました。大阪・関西万博の公式キャラクター「ミャクミャク」をモチーフとして、走行後にLEDが点灯する仕掛けも加えられています。

機体写真-2

ミャッハ TYPE T

SatNavCar ver.3
小山工業高等専門学校
小山工業高等専門学校

前年の2024年コンテストにおいて群を抜くスピードで優勝したチームです。その時は遠心力が働く方向のみに補助輪を付けていましたが、今回は両側に補助輪を装着して左右どちらの方向に回っても安定するように改善しました。プレゼンテーション時はRTK測位に対応した受信機を使用していましたが、本番ではCLAS対応のMosaic-CLASで走行させようと考えていたとのことです。制御面ではRaspberry Piを搭載し、Pythonのプログラムを実行しています。

機体写真-3

SatNavCar ver.3

MEN'S CAR/閃光(専攻科)CAR
愛知総合工科高等学校 専攻科
愛知総合工科高等学校 専攻科

セプテントリオのMosaic-CLASを使用した機体で、今回はオンロードタイプとオフロードタイプの2台エントリーしました。見栄えを良くするためにヘッドライトが点灯する仕掛けを搭載しており、ウインカーのように右に曲がる時は右サイド、左に曲がる時は左サイトのライトが点灯し、走行終了時には点滅します。夜中に走行させると、とてもきれいに見えるとのことです。

機体写真-4

MEN'S CAR/閃光(専攻科)CAR

メグパンv2
名城大学 目黒研究室
名城大学 目黒研究室

ユーブロックスのRTK対応受信機「ZED-F9R」を搭載した機体で、棒状のヘリカルアンテナと大きなタイヤが特徴的です。マイコンボードはRaspberry PiとESP32を搭載しています。RTK補強情報は東京海洋大学に設置されている基準局からWi-Fiで配信されている情報を利用しています。

機体写真-5

メグパンv2

サレジオREBORNver1.1
チームサレジオ
チームサレジオ

ユーブロックスの受信機を使用したCLAS対応の機体で、昨年の機体に比べてアンテナ高を伸ばし、測位衛星の信号を受信しやすくしました。今回エントリーした機体の中では唯一の6輪モデルで、安定性を向上させた設計となっています。箱型のボディを採用し、荷物を積載できる点も特徴で、4kgの荷物を載せて走行させたこともあるそうです。

機体写真-6

サレジオREBORNver1.1

Y810
明治大学 航法センシング工学研究室
明治大学 航法センシング工学研究室

2段構造のシャーシを採用し、下段にモバイルバッテリーとマイコンボード、上段にRTK対応の受信機や地磁気・ジャイロ・加速度センサーを搭載しています。上段を取り替えることでCLAS測位にも対応可能な構造になっています。研究室としては3度目の挑戦ですが、過去に参加したノウハウを持つ先輩たちが卒業してしまい、一からの制作になってかなり苦労したとのことです。

機体写真-7

Y810

CTO δ-type
小山高専CTO
小山高専CTO

ユーブロックスのRTK対応受信機「ZED-F9P」と小峰無線のアンテナ、そしてRaspberry Piを搭載しています。苦労したのは走行時に大電流が流れてしまう点で、スピードコントローラーを自由に制御するノウハウの必要性を感じたそうです。以前、このコンテストがグラウンドで行われていた頃に設計された車体で、オフロードを走破可能な大きなタイヤを採用しています。

機体写真-8

CTO δ-type

海洋大ルーレット族
海洋大 法定速度サークル
海洋大 法定速度サークル

ユーブロックスのRTK対応受信機「ZED-F9P」を搭載した機体で、RTKの補正情報はスマートフォンで受信し、Bluetooth経由で機体に送信して高精度測位を行っています。マイコンボードはArduinoとESP32を搭載しており、ボードやアンテナが並んだ長い板が特徴的です。

機体写真-9

海洋大ルーレット族

プレゼン風景-2

プレゼンテーションでは、各チームの発表後にGNSS受信機や機体制御などに関する使いこなし方など、他チームから様々な質問が寄せられ、活発な意見交換が行われました。プレゼンが終わった昼過ぎには雨天の合い間を縫ってコースを試走させる学生の姿も見られました。

試走風景

雨天の合い間にコースを試走

今回のコンテストでは、上記の機体のほかにカテゴリー2や3において3つの機体がエントリーされました。今回は雨天で走行会は中止となりましたが、後日、エントリーした各チームから走行時の様子を撮影した動画を募集し、その結果により賞品を贈ることになりました。
このコンテストには、スポンサーとしてアイサンテクノロジー株式会社、小峰無線電機株式会社、古野電気株式会社、CQ出版株式会社、セプテントリオ、次世代測位技術株式会社、岩城農場の7社が加わっています。各社からの賞品として、小峰無線電機のGNSSアンテナ、セプテントリオのGNSS受信機、CQ出版の月刊誌「トランジスタ技術」、古野電気のボールペンやマスコットのほか、GNSSを活用したスマート農業に取り組む岩城農場(栃木・大田原市)からは米が提供されています。
実行委員を務める熊本高等専門学校の入江博樹教授は、「各チームが自分たちの機体について詳しくプレゼンテーションを行い、情報交換も進みました。今年は生成AIを活用してプログラムを作ったチームも多く、結果的にGNSSロボットカー制作の敷居が下がったのも良い点だと思います」と今年のコンテストを振り返りました。

集合写真

プレゼン後に全員で記念撮影。右端手前が入江教授

(取材/文:片岡義明・フリーランスライター)

参照サイト

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