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[LBJ講演] スポーツ分野でのロケーションテクノロジー(筑波大・古川氏/慶應大・神武氏)

2016年06月20日

6月10日、ロケーションビジネスジャパン2016の基調講演では、筑波大学体育系の古川拓生准教授を招き、イベントの実行委員長を務める慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科の神武直彦准教授と2人で、「ロケーションテクノロジーが生み出す次のビジネスヒント~スポーツ×データ:ラグビー日本代表の事例から~」をテーマに語り合いました。

講演を行う神武直彦氏(左)と古川拓生氏(右)

左:神武直彦氏(慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科 准教授、ロケーションビジネスジャパン実行委員長)/右:古川拓生氏(筑波大学体育系 准教授、ラグビー部監督、日本ラグビー協会競技力向上委員)

「世界でもっとも準備されたチーム」を目指す

神武直彦氏

神武氏はまず、今回、古川氏に講演を依頼した理由を、「スポーツの分野でロケーションテクノロジーにどのような可能性があるかを考えると、やはり昨年度、ワールドカップで良い成績を収めたラグビーでの成果や課題についてお伺いしたいと考えたから」と説明しました。

講演を行う神武直彦氏(左)と古川拓生氏(右)

それを受けて、ラグビー日本代表スタッフの経験を持ち、現在は日本ラグビーフットボール協会の競技力向上委員も務める古川氏は、2015年のワールドカップにおいて、ラグビーの日本代表チームが南アフリカに勝利するという歴史的な成功を収めた背景について語りました。

今回の日本代表チームは「世界でもっとも準備されたチーム」を目指し、4年前から入念な下準備を開始しました。そして、その取り組みの1つに「データの活用」がありました。

GPSと映像を組み合わせて、可能性を模索

トレーニングに役立つデータには、選手の走行距離や移動速度などがありますが、こうしたデータを取る場合、従来はビデオカメラ映像を解析する「DLT(Direct Linear Transformation)法」が使われていたのに対し、最近はGPSが使われるようになってきました。GPSを使用することで、短時間で選手の移動距離を記録可能になったのに加えて、グラウンド上でどのように動いているかも記録できるようになりました。

古川拓生氏

古川氏は、単純にGPSで取得したデータだけを使うのでなく、GPSのデータとビデオ映像を組み合わせることで、選手が一定の速度に達した時の映像だけを抜き出したり、高い衝撃を感知した時だけを抜き出したりするといった使い方も模索しています。日本代表チームには未導入ですが、古川氏はこのような新しい使い方について、「GPSの可能性を示すもの」と期待を寄せています。

このほか、日本代表チームのトレーニングの現場ではドローンの活用も始まっており、グラウンド上の選手の動きを上空から撮影して、衝突によって倒れた選手が起き上がるまでの時間に注目しています。選手ごとに地面の上に倒れていた時間を計って、倒れている時間がもっとも長い選手にペナルティを課すことで、すぐに起き上がるよう意識させるといった取り組みも行っています。

古川拓生氏

古川氏は、「今後もさまざまなセンサーを選手に身に付けさせることで、映像では見えにくい情報を蓄積して、ゲーム内容を可視化していきたい。そうすれば、2019年に日本で開催されるワールドカップで、日本代表チームが世界を震撼させることができるチームに変わっていけるのではないかと思います」と語りました。

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