コンテンツです

[報告] 第2回宇宙開発利用大賞表彰式・S-NETローンチイベント

2016年04月08日

3月22日、東京・千代田区の一橋大学一橋講堂でスペース・ニューエコノミー創造ネットワーク(略称・S-NET)のローンチイベントと共に、2回目となる宇宙開発利用大賞の表彰式が行われました。冒頭、内閣府宇宙審議官(4月1日より内閣府宇宙開発戦略推進事務局長)の小宮義則氏が開会宣言を行い、「S-NET活動に不可欠なものは、日本発の、グローバルな、マーケット指向の、事業モデルの革新を伴う、宇宙関連新事業への強い意志」と挨拶し、ローンチイベントがスタートしました。

内閣府宇宙審議官・小宮義則氏

基調講演は、東大教授・中須賀氏とアストロスケールCEO・岡田氏

基調講演(その1)として、東京大学大学院工学系研究科教授の中須賀真一氏が登壇し、「新しい宇宙利用への期待とS-NET」と題した講演を行いました。

東京大学大学院工学系研究科教授・中須賀真一氏

中須賀氏は、官需に大きく依存する日本の宇宙ビジネスの転換が必要だとして、宇宙利用や宇宙の産業化のヒントとなるような事例を紹介し、「宇宙が、大金持ちにとって魅力的な投資先となっています」「S-NETという“場”を活用して、新しい宇宙利用を展開しましょう!」と強く訴えかけました。

アストロスケールCEO・岡田光信氏

基調講演(その2)では、スペースデブリ除去を目指す宇宙ベンチャー、アストロスケールCEOの岡田光信氏が登壇しました。岡田氏は、「事業の方向性の確定」の段階から起業ストーリーを説き起こし、デブリ問題の認知拡大に始まり、技術やパートナー等との協業、限られた資源である衛星軌道の有効利用のため故障した衛星を軌道から取り除くというデブリ除去ビジネス化や、各国のベンチャーキャピタルからの資金調達について講演しました。「(この事業の重要性を)小学生からビル・ゲイツまで多くの人に訴えてきて、今やムッタ(漫画『宇宙兄弟』の主人公)や松本零士さんもサポーターになってくれている」と、支援の広がりをアピール。さらに同社のビジネスプランが、この春からハーバード・ビジネス・スクールのケーススタディーに取り上げられたことも紹介しました。

「宇宙の夢と宇宙ベンチャー創造へのロードマップ」

2部構成のパネルディスカッションの前半では、アストロスケールCEO岡田光信氏、グローバル・ブレイン株式会社ベンチャーパートナーの青木英剛氏、内閣府宇宙審議官の小宮義則氏がパネリストとして登壇、A.T.カーニー株式会社プリンシパルの石田真康氏がモデレーターを務め、「宇宙の夢と宇宙ベンチャー創造へのロードマップ」というテーマで話題提供が行われ、アストロスケール社の事業戦略を軸にディスカッションが進行しました。

(左から)石田氏、岡田氏、青木氏、小宮氏

(左から)石田氏、岡田氏、青木氏、小宮氏

岡田氏は、「ヘッドクオーターをシンガポールに、工場を錦糸町(墨田区)に置いている理由」や、「投資銀行出身者が多数を占めるチーム編成」の理由、「長期資本と手元資金をどう得ているか」など、同社の内情を紹介。青木氏は「必要な資金は投資家から調達可能。宇宙ベンチャーが政府に期待しているのは、賞の授与や、海外展開時のサポート、サービスや製品の最初の顧客になることなどによる信用力の付与」とコメントし、小宮氏も「岡田氏に続くような人が次々と出てくるようにするため、役所に何ができるか悩まなければならない」と率直に表明、人材の流動化やリスクマネーの活発化が宇宙ビジネス活性化につながると期待を示しました。

「宇宙利用拡大がもたらす宇宙産業の将来」

後半のパネルディスカッションでは、「宇宙利用拡大がもたらす宇宙産業の将来」をテーマに、パネリストとして国立研究開発法人防災科学技術研究所理事長の林春男氏、三菱電機株式会社電子システム事業本部役員技監の小山浩氏、内閣府宇宙審議官の小宮義則氏が引き続き登壇し、モデレーターを京都大学生存圏研究所宇宙圏航行システム工学分野教授の山川宏氏が務めました。

(左から)山川氏、林氏、小山氏、小宮氏

(左から)山川氏、林氏、小山氏、小宮氏

まず林氏は、防災に関わるユーザーが求める衛星画像は「単偏波でいいから、オルソ画像を5時間でほしい」など具体的なものであると紹介、提供側とユーザー側のミスマッチが残る現状を指摘しました。小宮氏はこれを受け、「宇宙(からの情報)だけでビジネスモデルが完結しないのは明らか」として、異業種や異なる業界の間でのクロスオーバーな話し合いの重要性に触れ、「まさにS-NETをその“場”にしたい」と強調しました。

小山氏はこれからの宇宙ビジネスを「商用通信の利用市場」「宇宙インフラの構築とその民生利用」「新興宇宙ベンチャー」の3つのスコープで見るべきとして、宇宙ベンチャーと従来からの大企業との協業・連携が生み出す成果に期待を示しました。

「第2回宇宙開発利用大賞」概要紹介と講評

東京大学教授・中須賀氏による概要紹介と講評
選考委員会の委員長を務めた東京大学大学院工学系研究科教授・中須賀氏

続いて、第2回宇宙開発利用大賞の内閣総理大臣賞ほか9表彰の概要紹介と講評が、選考委員会の委員長を務めた東京大学大学院工学系研究科教授の中須賀氏によって行われました。

「第2回宇宙開発利用大賞」表彰式

表彰式で挨拶する島尻安伊子内閣府特命担当大臣(宇宙政策)
島尻安伊子・内閣府特命担当大臣(宇宙政策)

表彰式に先立ち、島尻安伊子内閣府特命担当大臣(宇宙政策)は、「GDP600兆円に向けた生産性革命において、宇宙分野を柱の1つとして推進していく」という昨年12月の宇宙開発戦略本部での安倍晋三内閣総理大臣の言葉を引用し、「今回の受賞事例のような取り組みをお手本にしつつ、S-NETの活動を推進しながら、これから日本の稼ぎ頭となることが期待される我が国の宇宙関連産業が、ますます発展していくことを祈念する」と挨拶。島尻大臣をはじめとする各賞のプレゼンターから、表彰状とトロフィーが授与され、S-NETローンチイベントと表彰式は成功裏に終了しました。

島尻大臣による表彰状とトロフィーの授与
表彰式後の記念撮影

「S-NET」準備会合の関連情報

「宇宙×G空間ワークショップ」の関連情報

関連記事