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[報告] GNSS・QZSSロボットカーコンテストをリモート開催

2021年11月29日

GNSS・QZSSロボットカーコンテスト2021(主催:一般社団法人測位航法学会、共催:一般財団法人宇宙システム開発利用推進機構、公益社団法人日本航海学会 GPS/GNSS研究会、準天頂衛星システムサービス株式会社)の審査会が、10月16日に開催されました。
このコンテストは、衛星測位に関わる人材育成と技術交流などを目的として、自作のロボットカーを自律走行させて獲得ポイントを競うもので、今年で15年目。例年、都内にある東京海洋大学のグラウンドで行っていましたが、昨年に引き続き今年もコロナ禍のため、ロボットカーのプロモーション動画と各チームのプレゼンテーションをもとにリモートで審査する形の開催となりました。

「高得点期待度」と「独創性」を審査

審査会では、チームごとに動画を再生した後、各チームの参加者による補足説明があり、その後に質疑応答が行われました。審査は投稿された動画とプレゼンテーションをもとに、実走した場合の「高得点期待度」と「独創性」の2つの観点で相互に投票を行い、投票数をもとに入賞者を決定しました。コンテスト事務局の岩城善広氏は、審査会を振り返って次のように語ります。
「全国から集まった高校生・高専生・大学生・社会人10チームが今年もオリジナリティあふれるロボットカーを披露してくれました。オンライン審査会では質疑応答が活発に行われ、終了予定時刻を大幅にオーバーしてしまいました。実際の走行を見てみたいと思えるロボットカーが多く、来年はぜひ実コンテストを開催できればと思います」

競技中の遠隔操作は不可

出走するロボットカーに求められる条件として、主な航法センサーにGNSS受信機を使用し、それ以外に使用できるセンサーはジャイロセンサーと地磁気センサーに限られます。競技中の遠隔操作は不可とされており、ハードウェアとソフトウェアとも、すべての自律制御部がロボットカーに搭載される必要があります。
走行ルールは、4つのパイロン(メインパイロン2つ、サブパイロン2つ)を周回することで得られるポイントを競います。メインパイロンの間隔は20m程度、サブパイロンは2つのメインパイロンを結ぶ直線上で、メインパイロンから内側に1m離れた位置に配置されます。競技時間は3分間です。

説明図

4つのパイロンを周回

最優秀賞は愛知総合工科高が獲得

最優秀賞「NSX-KAWASAKI-NSX」

最優秀賞を獲得した愛知総合工科高等学校の「NSX-KAWASAKI-NSX」

最優秀賞は、愛知総合工科高等学校の「NSX-KAWASAKI-NSX(ASKS)」となりました。3Dプリンターやレーザー加工機、CADを使用して作り上げた完成度の高い車体を使用しており、自動車業界で利用が進んでいるモデルベース開発を使用しています。
優秀賞は、みちびきのセンチメータ級測位補強サービス(CLAS)対応の受信機を搭載した東京海洋大学の「Xenocross Clas Jr(久保研究室)」、RTK測位を用いた名城大学の「Black Box(MJ-B)」、ラジコンカー2台を並列に組み合わせた独創的な車体を使用した社会人チームの「ムツゴロウ(Team Katy)」の3チームが受賞しました。

「Xenocross Clas Jr」と「Black Box」

東京海洋大学の「Xenocross Clas Jr」(左)と名城大学の「Black Box」(右)

「ムツゴロウ」

社会人チーム「ムツゴロウ」

スポンサー企業のみちびき対応製品を活用

「阿蘇不知火R-3号」

CuGoを使用した「CuGoV3熊本高専バージョン阿蘇不知火R-3号」

なお今回は、ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社のサブメータ級測位補強サービス(SLAS)対応マイコンボード「SPRESENSE」、ユーブロックスジャパン株式会社の「ZED-F9P」及び「NEO-M8P」、小峰無線電機株式会社の2周波GPS/GNSSアンテナ「QZシリーズ」、株式会社CuboRex(キューボレックス)の電動クローラユニット「CuGo」、CQ出版株式会社の「NTRIP Casterサービス」など、スポンサー企業から提供のあった製品やサービスを利用したロボットカーも多く見られ、みちびき対応製品の普及の広がりを感じられる大会となりました。

参照サイト

※本文画像:「GPS・QZSSロボットカーコンテスト」公式サイトより

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