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[続報] 写真で見る福井県コウノトリ放鳥の舞台裏

2016年10月17日

先日お伝えしたとおり、福井県自然環境課は2016年9月25日、県内の越前市にある飼育繁殖施設から「たからくん」(オス)と「さきちゃん」(メス)の2羽のコウノトリをGPS発信機を装着して放鳥しました。これは前年2015年のげんきくん(オス)とゆめちゃん(メス)に続くもので、放鳥数は合計4羽となりました。今回は、自然環境課が撮影した写真をその続報として紹介します。

1)飛び立つ前に振り返るたからくん

2016年9月25日に行われた放鳥式で、青い帽子を被った西川一誠・福井県知事の開けた箱から出て、飛び立つ前に振り返ったたからくん(2016年5月30日生まれ)。識別のための足環は右が黄黒、左が赤青となっています。

放鳥式の様子

放鳥式の様子(2016年9月25日、福井県自然環境課のFacebookより)

2)大空に飛び立つ2羽

放鳥される2羽を収めた2つの箱の間に設置された小型カメラによる動画映像(約1分半。福井県自然環境課のFacebookに掲載されたもの)を見ると、最初に左側の箱からさきちゃんが大きな羽ばたきを見せながら飛び立っていきます。続いて画面右側からたからくんが出てきますが、いきなり転倒します。この際、背中に取り付けられたGPS発信機のアンテナが一瞬だけ見えます。たからくんはすぐに立ち上がりますが、しばらく周囲を見回し、排泄などして気をとり直してから、翼長が差し渡し2mあるといわれる羽を広げて大空に飛び立っていきます。至近距離で見ることはまずできない貴重な映像です。

3)GPS発信機の装着

発信機は布製のリボンで、ランドセルのように背負わせます。「リボンで背負うタイプなので痛くありません。羽毛に隠れてリボンは見えなくなります。落ち着くように目隠しをしています」(自然環境課の担当者)

コウノトリへのGPS発信機の装着

リボンを縫い合わせ、ちょうどよい長さで固定します。「コウノトリを抱っこして保定し、リボンとリボンを縫い合わせます(白く見えるのが糸)。裁縫する際、羽毛を巻き込まないよう、クリアファイルを下に敷く工夫をしています」(前出の担当者)

コウノトリへのGPS発信機の装着

4)位置情報の取得

GPS発信機から衛星経由でフランスのセンターに送られたデータを、インターネットで取得します。「生データのグリニッジ標準時を日本時間に変換し、緯度経度の座標値から地名を調べて記入します。(表の中で)青いアミのかかった行は、その日新たに得られた位置情報です」(前出の担当者)

インターネット経由でGPS発信機のデータを取得
エクセル形式で表示したGPS発信機のデータ

※座標値や地名は保護のためぼかしています

 
(取材/文:喜多充成・科学技術ライター)

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参照サイト

※記事中の画像提供:福井県自然環境課

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