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NEXCO東日本、北海道で配備した「みちびき活用除雪車」を公開

2018年02月09日

東日本高速道路株式会社(NEXCO東日本)北海道支社は今年1月15日から、みちびきのセンチメータ級測位補強サービスに対応した高精度測位端末AQLOCを装備したロータリー除雪車1台を、道央自動車道の岩見沢インターチェンジに隣接する車両基地に配備し、岩見沢IC~美唄IC間の21.2kmをカバーしています。2月5日、この除雪車を用いた「準天頂衛星を活用した除雪車運転支援システムの公開実演」を岩見沢インターチェンジの管理事務所敷地内で行いました。

ローターリー除雪車

昨夏の試験で精度20cm以下という目標を達成、この冬から配備したローターリー除雪車。北海道支社管内27基地に約50台配備されているうちの1台

2013年から除雪車運転支援システムを開発

路肩に集められた雪を道路外に吹き飛ばすロータリー除雪車の運転には、熟練の技能が求められます。通常なら目印となる路面の車線が雪に覆われるため、標識柱や防護柵、あるいは視線誘導標(緑色LEDの自発光デリニェータ)などを参照しつつ、いわば手探りで車両と機器を操作することになるからです。

NEXCO東日本では、スムーズな除雪による道路の安全確保、オペレーターの負担軽減と人員不足への対処などを目的として、2013年より高精度測位技術と精密地図を活用した除雪車運転支援システムの開発を始め、北海道大学大学院農学研究院の野口伸教授(内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)次世代農林水産業創造技術担当プログラムディレクター)が手がけるロボットトラクターの技術成果なども活用しながら開発を進めてきました。

時速5kmで低速走行しながら投雪を実演

今回の実演走行では、時速5km程度で低速走行しながら投雪。その後に精度を調べ、直線及びそれに続く曲線部分で、路肩を示す白線からはみ出さずに作業ができているかを確認しました。

実演走行の様子

ガイドラインとなる白線は雪に覆われ全く見えない

実演走行の様子

曲線部分では向かって右側へハンドルを切りながら走行

ガイダンスモニター

ガイダンスモニター

座席の右前面にはガイダンスモニターを設置し、車両の向きやガイドラインとの位置関係・はみ出し量を表示します。モニター内には精密に測量した2Dの地図データも保存しており、随時参照します。

実演走行後の確認作業

雪に覆われた白線を掘り出し、目標ライン内であることを確認

<みちびきを活用した運転支援システム>

オペレーター目線からの視界

オペレーターが操作するハンドルは、路肩を確認しやすい左側席に。写真はオペレーター目線からの視界

キャビン天井に設置されたGNSSアンテナ

キャビン天井に設置されたGNSSアンテナ

右側席に設置されたガイダンスモニター

右側席に設置されたガイダンスモニター

「10年分の経験値を補えるシステム」

真鍋賢一氏

経験14年の除雪車オペレーター真鍋賢一氏

「そもそも雪上では除雪車をまっすぐに走らせることが難しいのに、このシステムでは視程のまったくない“ホワイトアウト”の時もまっすぐ走れていると分かります。とても助かるし、安全にも直結します。個人的な感触では、10年分ぐらいの経験値を補えるシステムだと思います」(株式会社ネクスコ・メンテナンス北海道 岩見沢作業所 真鍋賢一氏)

「24時間信号を受けられるのが喜び」

田中潤一氏

今回の実演で説明を担当した田中氏

「今年からみちびきが4機体制で24時間信号を受けられるようになり、たいへん喜んでいます。環境の厳しい北海道でこの技術を確立し、全国に展開していきます」(NEXCO東日本北海道支社 田中潤一技術部長)

取材・文/喜多充成(科学技術ライター)

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