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位置情報で農業経営を支援するヤンマーのスマートアシスト リモート

2016年12月20日

農業経営に欠かせないトラクターやコンバインなどの大型農機。そのトラブルや盗難は、農業経営に大きな影響を及ぼします。ヤンマー株式会社が2013年から提供するスマートアシスト リモート(以下、スマートアシスト)は、位置情報やセンサーを使って、農機の盗難やトラブルをいち早く検知するだけでなく、情報を活用した農業経営を支援するサービスです。農機1台ごとの所在地、稼働状況、状態などのデータをリアルタイムに収集し、機械の状態を「見える」化して、情報をヤンマーの遠隔管理センターに送信します。利用者は専用ウェブサイトでいつでも確認でき、その情報をヤンマーも共有することで農機管理の省力化とライフサイクルコストの低減を実現します。

仕組み図

スマートアシスト リモートの仕組み

見守りなど3つの安心サービスを提供

標準機能のあんしんサポートでは「エラー情報通知」「盗難抑止見守り」「稼働診断保守」の3つのサービスを提供します。2015年4月に24時間365日対応のリモートサポートセンターを開設して、より迅速な対応が可能になりました。
このうち盗難抑止見守りサービスは、事前に稼働範囲や稼働時間を登録しておくことで、設定外の稼働を検出した時にメールと電話で利用者に知らせます。また、利用者の要請に基づき、農機の位置を追跡することで、早期発見を支援します。
エラー情報通知サービスは、搭載したセンサーの情報をモニタリングしてエラーの発生を早期に把握します。情報はヤンマーでもリアルタイムに把握しているので、先回りして交換部品や技術者の手配ができ、機械トラブルの早期解決とダウンタイム削減に貢献します。また、稼働診断保守サービスは、農機の稼働時間やエンジン負荷率、燃費などの情報をもとにヤンマーがカルテを作成し、的確でムダのないメンテナンスを支援します。

稼働状況の「見える」化で農業経営を支援

ヤンマーはさらにスマートアシストの情報をより活用するためのサービスとして、位置情報やセンサー情報の記録を、機械の稼働状況と作業記録の管理に活用するスマートアシスト アドバンスコースを提供しています。

稼働状況管理ツール

画面例

機械の位置情報と稼働状況をパソコンの画面上で確認できます。走行距離や作業時間などの稼働履歴をグラフ表示することで、操作のばらつきやムダが明らかになり、ランニングコストを低減できます(©Google)

作業記録管理ツール

画面例

スマートアシストで収集した稼働情報と、アプリから登録した作業記録を使って作業日報を自動作成します。収集した位置情報により農機の軌跡も登録できるので、圃場(ほじょう)ごとの作業履歴も詳細に記録できます。作業記録はカレンダーやマップ上でも確認できるので、作業進捗管理や収穫作業などの計画にも役立ちます(©Google)

また、スマートアシスト アドバンスコースの利用者向けに、作業記録と履歴確認ができるスマートフォンアプリを提供しています。このアプリを使えば、作業中にスマートフォンのカメラ機能で撮影した写真をアップロードでき、より効率的に正確な作業日報を作成できます。

画面例

スマートフォンアプリで作業の記録や閲覧が可能

スマートアシストの記録は、ソリマチ株式会社のクラウドソリューション「フェースファーム生産履歴」との連携が可能です。農薬散布や作業員ごとの作業履歴、栽培記録、コストなど、出荷先に提出する書類としてもそのまま活用できます。

トラクターの最新機種はみちびきに対応

2016年4月に発売されたYT3シリーズのトラクターは、最新のスマートアシスト対応機種であり、みちびき対応のGPS受信機を搭載しています。GNSSモジュールの価格が下がったことで、リーズナブルな価格での提供が実現しました。

製品画像

みちびきに対応しスマートアシスト リモートを搭載したYT357

同社は「みちびきのL1C/A信号を受信できることで、GPS単独での測位より確実に精度上がります。この先、みちびきが4機体制になれば、さらに精度向上が期待できます」としています。今後ヤンマーでは、営農支援の普及を目指し、シンプルな操作で圃場管理と作業管理を簡単・確実にできるシステムの開発に取り組みます。また現在、同社で開発を進めているロボットトラクターで取得したデータを、スマートアシストに蓄積した稼働機や圃場、作業の情報と連携させるシステムの開発を進めていく意向です。

(取材/文:板垣朝子・WirelessWire News編集長)

参照サイト

※ヘッダの画像及び本文中の画像提供:ヤンマー株式会社

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