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各地で使われるボールドライトのSLASに対応した動態管理システム

2023年03月16日

ボールドライト株式会社は、観光や商業施設、モビリティなどの分野でDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援しているベンチャー企業です。「AUBIT DIGITAL(オービットデジタル)」という、みちびき対応のGNSSトラッカーでリアルタイムに位置情報をプロットするシステムを開発し、2020年1月から販売しています。
このAUBIT DIGITALは、同社が2019年に自治体や企業向けに開発したデジタルマップシステム「プラチナマップ」上で、みちびきのSLAS(サブメータ級測位補強サービス)に対応したGNSSトラッカーを表示する動態管理システムです。株式会社フォルテのSLAS対応トラッカー「FB102」を使用し、5秒に1回の頻度で誤差約1mの位置情報を送信できます。トラッカーは、自動車のダッシュボードなどに設置して、シガーソケットに電源をつなぐだけで簡単に起動できます。プラチナマップで作成された観光マップには、パソコンやスマートフォンのウェブブラウザから誰でもアクセスすることができ、利用客がバスなどの公共交通機関の位置を簡単に把握できます。

AUBIT DIGITALは、運転席にSLAS対応受信機を設置するだけで、利用客がリアルタイムで正確にバスの位置を把握することができる利便性により、2020年の販売開始後に全国各地で採用されて観光用途に使われています。今回はその中からスカイホップバス、ミヤギタビマップ、tabinocoの3つのサービスを紹介します。

プラチナマップ

プラチナマップの画面イメージ(図版提供:ボールドライト株式会社)

─ 東京・京都を乗り降り自由で周遊できる

スカイホップバス

スカイホップバス(画像提供:スカイホップバスマーケティングジャパン株式会社)

スカイホップバスは東京と京都で運行している観光路線バスで、専用パスを購入すれば、決められた期間・時間内に乗り降り自由(どこから乗っても、どこで降りても可)で主要な観光地を周遊できます。いつでも乗り降り自由なので、当初はバスの「現在の運行位置情報」への問い合わせが数多く寄せられ、その解決策としてバスの位置情報をリアルタイムで確認できるAUBIT DIGITALを導入しました。

車内に搭載されたFB102

スカイホップバス車内に搭載されたFB102(画像提供:スカイホップバスマーケティングジャパン株式会社)

現在、スカイホップバスが保有するバスのうち9台にフォルテのFB102が搭載されています。AUBIT DIGITAL導入を契機として、運行位置情報に関する問い合わせは全くと言っていいほどなくなりました。スカイホップバスマーケティングジャパンでは、「スタッフの業務効率化、お客様サービスの向上につながり、正にDXを体現したサービスになりました」と話します。

スカイホップバス

スカイホップバス(画像提供:スカイホップバスマーケティングジャパン株式会社)

スカイホップバスは屋根のないオープントップバスを利用しているのが特徴です。AUBIT DIGITALは位置情報を示すバスのイラストを複数の車種で設定できるため、どの車種がどこを走っているかをひと目で伝えられる点も好評です。プラチナマップ及びAUBIT DIGITALを導入したことで、同社は紙パンフレットの削減・省力化や、車種変更などへの臨機応変の対応、リアルタイム情報の情報発信による顧客満足度の向上などの成果を得ることができました。

マップ表示

地図上にバスと観光スポットを表示(画像提供:スカイホップバスマーケティングジャパン株式会社)

─ 日本三景の松島を効率的に周遊観光

松島

日本三景の一つとして知られる宮城県の松島(イメージ画像)

宮城県は2022年10月、観光地の周遊促進と混雑緩和を目的としたデジタルマップ「ミヤギタビマップ」を公開しました(2022年度の公開は終了)。ボールドライトの「プラチナマップ」をプラットフォームとして開発されており、AUBIT DIGITALにより、松島エリアを走行するバスの位置情報をリアルタイムで配信する仕組みです。
松島町営バスと期間限定で運行した無料観光周遊バス計6台に、フォルテのFB102を搭載して位置情報を配信しました。また、ミヤギタビマップではバスの位置情報以外に、マップ上で道路と観光スポットの混雑状況や駐車場の満車・空車情報を調べられるほか、レンタサイクルの設置場所やおすすめのサイクリングコースも掲載しました。

FB102

松島町営バスに設置されたFB102(画像提供:宮城県観光政策課)

宮城県観光政策課では、「松島町内の観光施設のほか、近隣市町への周遊を促すために今年度、無料シャトルバスの運行を実施しました。観光客の方々の利便性向上を図るため、デジタルマップ上への時刻表の表示に加えて動態管理サービスを導入したことで、バスのリアルタイムの運行状況がひと目で分かり、観光地内での効率的な周遊に役立てたと考えております」と話しています。

マップ表示

ミヤギタビマップ(画像提供:宮城県観光政策課)

─ Peach Aviationが提供する観光マップ

奄美大島

鹿児島本土と沖縄本島の中間に位置する奄美大島(イメージ画像)

関西国際空港を拠点とする航空会社であるPeach Aviation株式会社が2019年2月から運用している、旅に関する情報プラットフォーム「tabinoco(タビノコ)」。このtabinocoには全国の就航地周辺の観光マップが掲載されており、その奄美島エリアでは、島内を走る路線バス「しまバス」の位置情報がAUBIT DIGITALを使ってリアルタイムに配信されています(現在、14台のしまバスにフォルテのFB102が搭載されています)。
マップには、バスの位置情報のほかにも観光スポットの情報が豊富に掲載されています。また、tabinocoに投稿された口コミ情報も掲載されており、実際に現地を旅した人の生の声を知ることができます。

観光マップ

tabinocoの観光マップ(提供:Peach Aviation株式会社)

Peach Aviation事業戦略室の西川氏は、「現地での重要な二次交通である路線バスが、今どこにいるのかタイムリーに分かるマップになっており、奄美大島を観光するお客様にとても役立てられています」と説明します。

ボールドライトの宮本章弘・代表取締役は「都市部におけるモビリティの正確な位置情報の配信に向けてSLAS対応は必須と考えており、それを前提としたサービス設計を行います」と話し、今後もSLASに対応した製品を販売していくことに意欲を示しています。

(取材/文:片岡義明・フリーランスライター)

参照サイト

関連ページ

※画像・図版提供:ボールドライト株式会社、スカイホップバスマーケティングジャパン株式会社、宮城県観光政策課、Peach Aviation株式会社

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