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国交省が富山でCLAS活用した新型除雪トラックの試乗会を開催

2022年12月15日

国土交通省 北陸地方整備局(北陸雪害対策技術センター)は2022年10月27日、北陸技術事務所 富山出張所(富山市)にて、開発中のみちびきCLAS(センチメータ級測位補強サービス)を活用した新型除雪トラックの試乗会を開催しました。

試乗会の様子

試乗会の様子

新型除雪トラックの全ての作業装置を自動化

除雪機械の操作に必要な熟練技術を持つオペレータの不足に対応するため、同センターでは作業装置を自動化した除雪トラックの開発に取り組んでいます。2018年度には、マンホールや橋梁ジョイントなどの障害物、縁石や中央分離帯などの構造物との接触事故を防止する目的で、路上障害物をオペレータに知らせる作業ガイダンス装置を開発しました。
2020年度には、みちびきのCLASを活用してマシンコントロール化を図りました。このシステムは、MMS(モービルマッピングシステム)で取得したレーザー点群データをもとに障害物・構造物の情報を抽出した高精度3次元地図データを事前に作成し、CLASによる測位で取得した除雪車の高精度位置情報と3次元地図内の動作基準点を照合することで、雪を一時的に抱え込むための「サイドシャッタ」という作業装置が自動的に開閉する仕組みとなっていました。

CLASを活用した新型除雪トラック

CLASを活用した新型除雪トラック

今回の試乗会で発表した新型除雪トラックは、それをさらに進化させ、従来のサイドシャッタに加えて、新たに車両前面で新雪を押しのける「フロントプラウ」と、通行車両に踏まれて路面に固着した圧雪を削り取る「グレーダ装置」についても自動化を図りました。

3つの作業装置の5つの動作を自動化

自動化した装置の図解

フロントプラウとグレーダ装置、サイドシャッタの3つを自動化

3つの作業装置を使って、次の5つの動作が自動化されています。

・フロントプラウの進行角の調整
・フロントプラウの上下移動
・グレーダ装置の伸縮
・グレーダ装置の上下移動
・サイドシャッタの開閉

フロントプラウとグレーダ装置はいずれもサイドシャッタと同様に、CLASで取得した自車位置情報と照合して、3次元地図に設定した座標で作業装置に所定の動作を行わせます。運転席のディスプレイ上でオペレータが3次元地図を確認でき、自動制御が行われる際には警告音声が鳴る仕組みになっています。なお、CLAS対応の受信機は、実証実験では三菱電機の「AQLOC-Light」を採用しています。

グレーダ装置が伸びた状態

グレーダ装置が伸びた状態

この新型車両は、2021年度に北陸地方整備局管内の湯沢工区、及び安田工区にて実証実験が行われ、自動制御について所定の精度が確認されると共に、安全性・安定性も確認されました。現場のオペレータからは「連続出動で疲れていても、作業装置が所定の場所で作動するので非常に助かる」といった声が寄せられたそうです。

2026年度の全国展開を目指す

実証実験の様子

実証実験の様子

今回の試乗会は主に除雪業者向けに開催されたもので、「(オペレータは)実際の作業の中で実習させながら育てていくが、マンホール等の障害物の位置を覚える必要があり、自動で回避できるのは安全で良い」「交差点に入る時、今までは車両を運転しながら左手で複数のレバーやスイッチを操作していたが、自動になると運転に集中できて、とても助かる」「オペレータ経験の浅い人にはとても有効だと思う」といった感想が寄せられました。新型トラックは、2022年度中に富山河川国道事務所の滑川工区と高田河川国道事務所の上越工区で実証実験を行います。

北陸地方整備局は今後、新型除雪トラックの実動配備により実証実験の拡大を図りつつ、オペレータの要望に対応し、制御プログラムを順次改良していきます。また、建物や構造物などの遮蔽物により衛星電波を受信できない不感地帯についても対応を検討し、併せて導入マニュアルなどを作成して、2026年度を目処に全国展開できるよう、今後も取り組みを進めていく方針です。

(取材/文:片岡義明・フリーランスライター)

参照サイト

※ヘッダ及び本文中の画像提供:国土交通省 北陸地方整備局

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