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天草のパラグライダーレースでリアルタイム測位システムを検証

2016年08月02日

衛星測位の技術は、さまざまなスポーツイベントで活用されています。特にパラグライダーなど空を舞台としたアウトドア・スポーツでは、選手の位置情報をリアルタイムに取得することで、大会運営の効率化や安全性の向上、観覧者への情報提供など多くのメリットが得られます。

さくらインターネット株式会社は、7月17日に熊本県天草市で開催されたアウトドアイベント「天草Xアスロン 2016」で開催されたパラグライダーのパイロンレースにおいて、同社のIoT(Internet of Things)プラットフォーム「さくらのIoT Platform α」を活用したリアルタイム測位システムの検証を行いました。

飛行中のパラグライダーをリアルタイムに測位

「天草Xアスロン 2016」の様子

「天草Xアスロン 2016」の様子

「天草Xアスロン」とは、シーカヤックやSUP(サップ、Stand Up Paddleboard)、マウンテンバイク、トレイルラン、パラグライダーの5種目の競技を行う大会で、1つの競技だけ参加する人もいれば、1人ですべての競技に参加する人、チームでそれぞれ別の競技に参加する人もいます。

5種目のうちパラグライダーは、18カ所のパイロン(目標物)を回るレースで、得点を集計するため、パイロットがGPSを搭載したフライトレコーダー(飛行記録装置)を装着して競技を行います。従来は、このフライトレコーダーを各選手が持ち寄っており、選手ごとにファイルフォーマットなどが異なり、競技後に短時間で得点集計が必要な際に対応要員の負荷が大きくなっていました。

また、パラグライダーは選手の位置特定が難しく、迷走や不時着時などの遭難時に保護が遅れる恐れもあります。さらに、他選手の位置が把握できず、観客の声援も届かないとなると、それが選手のモチベーションや大会の盛り上がりにも影響していました。

「リアルタイムパラグライダー測位システム」の表示画面

このような課題を解決するために今回導入したのが、さくらインターネットによる「リアルタイムパラグライダー測位システム」です。同システムでは、パイロットが装着したGPS搭載機器の情報をもとに、パイロットの位置と高度がPC上に表示されます。特定のパイロットを選択すると、最新の情報(位置情報高度、温度、速度など)と軌跡が表示され、大まかな得点を見ることもできます。

免許が不要な特定小電力無線で地上に送信

GPSや各種センサーを搭載した子機

GPSや各種センサーを搭載した子機

子機をパイロットに装着

子機をパイロットに装着

パイロットには、GPSや温度計、気圧計(高度計)などのセンサー及びマイコン、LoRa(=サブギガ帯の周波数と独自の変調方式を利用した通信規格)モジュールを搭載した子機を装着し、特定小電力無線局として、そこから地上に設置された「さくらのIoT通信モジュール(親機)」と通信を行います。さらに親機から3G/LTE回線を通じてさくらインターネットの閉域網内にデータを保存します。データはJSON(ジェイソン、JavaScript Object Notation)形式で取り出せるので、そのままウェブサイトに表示できます。

実は計画当初、同社は「さくらのIoT通信モジュール」を直接パラグライダーに取り付ける予定でした。しかし、同モジュールは3G/LTEモジュールを採用しており、電波法では「陸上無線局」に分類されて、パラグライダーなどの飛行物に搭載して電波を発する状態で稼働させられないと判明。急きょ、このモジュールを地上に置く「親機」にして、パイロットに装着する「子機」との間で、免許が必要ない特定小電力無線を使って通信を行う新しいデバイスを開発したそうです。

同システムをパラグライダーレースに採用することで、得点計算の簡略化や位置情報の双方向提供活用によるパイロットの安全確保、観覧者との一体感の醸成など、さまざまな効果が期待できます。同社はこれをパラグライダー競技の標準装備デバイスとして広めていく方針であり、さらにパラグライダー以外にも、海上や山中などさまざまな競技で使用可能な装備に発展させたいと考えています。

※ヘッダ及び本文画像提供:さくらインターネット株式会社

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