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[実証] 沖縄でのSLAS測位精度検証

2018年10月11日

<目的>
電離圏の影響の大きい沖縄地方で、SLAS(サブメータ級測位補強サービス)を使用した測位と、使用しない測位の結果を比較し、SLASの効果を確認する。
<実施日>
2017年11月28日(実証実施:QSS)
<実施場所>
沖縄県 宮古島の一般道(主に伊良部大橋、池間大橋、来間大橋)及び電子基準点(伊良部局、城辺局)

実験コース

<使用受信機/アンテナ>
受信機とアンテナは測量用の高性能受信機とカーナビゲーション等で利用されている安価な受信機を使用する。

1)JAVAD製 ALPHA G3T/GrAnt G3T

ALPHA G3T

ALPHA G3T

GrAnt G3T

GrAnt G3T

2)u-blox製 M8T/ANN-MS

M8T

M8T

ANN-MS

ANN-MS

< 実験車両へのアンテナ搭載 >

アンテナ搭載

車両の天面にアンテナを搭載

電子基準点 伊良部局と城辺局の観測データを使い、後処理でSLASを使用した測位と使用しない測位を実施し、水平方向、垂直方向の測位誤差を算出。

<電子基準点 伊良部局の結果>
SLASを使用しない測位では11時頃から19時頃の間で測位誤差が増加し、水平で最大5m弱の誤差が発生したが、SLASを使用することで1m程度まで改善された。垂直も最大6m程度のマイナス方向の誤差がSLASを使用することで2m程度に改善されている。

測位結果
測位結果

< 電子基準点 城辺局での結果 >
電子基準点 城辺局のデータを用いて、RTK法式の測位を実施。伊良部局と同様な結果となった。

測位結果
測位結果

電子基準点・伊良部局の観測データを使用した測位結果と電離圏の状態、測位衛星の配置を時間毎に比較し、測位結果に対する電離圏と衛星配置の影響を確認。

<電離層、衛星配置と測位誤差の関係(AM)>
午前中の沖縄周辺の電離層は平穏だが、正午に向けて徐々に活発となってくる。南側の低い仰角に数機の衛星が捕捉できるため、徐々に測位精度が劣化してくる。

測位結果

<電離層、衛星配置と測位誤差の関係(PM)>
沖縄より南方の電離層が全体的に活発になっており、測位精度が大きく劣化している。14:45~15:00付近は南の低仰角に衛星がいないため、測位精度の劣化が少ない。

測位結果

<電離層、衛星配置と測位誤差の関係(夕刻-夜間)>
午前中の沖縄周辺の電離層は平穏だが、正午に向けて徐々に活発となってくる。南側の低い仰角に数機の衛星が捕捉できるため、徐々に測位精度が劣化してくる。

測位結果

ALPHA G3TとM8Tで取得した測定値を使い、後処理による測位を実施した。電子基準点 伊良部局と城辺局を基点としてALPHA G3Tの測定値を用いてRTK測位を実施し、この結果を基準としてSLASを使用した測位と使用しない測位の双方の測位誤差(基準との距離)を算出した。マルチパスや回折等の影響が少なく、衛星数も十分確保できる、伊良部大橋、池間大橋、来間大橋の測位結果を使用し統計処理を実施した。沖縄より南方の電離層が全体的に活発になっており、測位精度が大きく劣化している。14:45~15:00付近は南の低仰角に衛星がいないため、測位精度の劣化が少ない。

<ALPHA G3Tの測位結果>
走行時のALPHA G3Tの測位結果。市街地の建物や、樹木の影響でRTKのFix解が求まらない場所は除外した。周囲環境の影響で誤差が大きなところもあるが、水平で1~3m程度、SLASを使用した測位の方が誤差が少ない。SLASを使用しない測位では、垂直方向の誤差が大きく、かつ低くなる傾向が見られる。

測位結果

<各橋での測位精度(ALPHA G3T 水平誤差)>

測位結果

<池間大橋でのALPHA G3T測位結果のプロット>
15:59頃に池間大橋を通過した際の測位結果を地図にプロットした。

測位結果

<各橋での測位精度(ALPHA G3T 垂直誤差)>

測位結果
測位結果

<各橋での測位精度(u-blox 水平誤差)>

測位結果
測位結果

<池間大橋でのu-blox測位結果のプロット>
15:57頃に池間大橋を通過した際の測位結果を地図にプロットした。

測位結果

<各橋での測位精度(u-blox、垂直誤差)>

測位結果

・電離圏の影響によりSLASを使用した補正を行わない場合は、最大5m弱(水平)、
 6m(垂直)程度の測位誤差が発生した。
・SLASを使った補正を行うことで、高性能な測量用の受信機で約1m/2m(水平/垂直)、
 カーナビゲーション等で使用される安価な受信機で約2m/3m強(水平/垂直)の精度まで
 改善することを確認した。
・静止/移動双方の状態でSLASを使用した補正の改善効果を確認した。
・11月下旬は1年の中で電離圏の影響がもっとも大きい時期ではないがこれだけの効果が
 得られたので、電離圏の影響がもっとも大きい9・10月ではかなりの効果が期待できる。

※1年間の測位誤差は、
 下記「沖縄糸満局のデータを使った1年間の単独コード測位結果」を参考のこと。

測位結果

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