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IoT活用でウインドサーフィンのセール操作を可視化する実証実験

2017年05月17日

スカイスポーツやスノースポーツなどさまざまなジャンルのスポーツにおいて、GPSや加速度センサーなどのIoT機器を活用して選手の動きを可視化する取り組みが始まっています。特定非営利活動法人日本ウインドサーフィン協会が、富士通株式会社、ラピスセミコンダクタ株式会社の協力を得て、今月から9月末まで約5カ月間実施する、ウインドサーフィンにおけるIoT活用の実証実験「Project Windsurfing Lab」もその一つです。

GPSなどを内蔵したセンサーノードをセールに装着

この実証実験では、ウインドサーフィンのセールに、GPSによる位置情報と9軸センサー(加速度/ジャイロスコープ/地磁気)による情報を同時に記録できる小型のセンサーノード(=センサー付き無線端末)を取り付けて、セール操作の角度や艇速、針路などのデータを同時に記録し、クラウドに収集します。

WindHack/WindHack Pro

WindHack/WindHack Pro

センサーノードはラピスセミコンダクタが開発したもので、ウインドサーフィンでの使用を目的とした「WindHack」および「WindHack Pro」を使用します。両製品は、加速度やジャイロ、地磁気、気圧などのセンサーやBluetooth LE、SubGHzの無線通信、microSDカード、GPSモジュールを搭載しており、位置情報を取得しながらウインドサーフィンの動きをmicroSDカードに記録できます。「WindHack」は単独で動作可能で、「WindHack Pro」はセール・ボード・人体にそれぞれ取り付けて3台分のセンサーの値を記録できます。

収集したデータは、姿勢推定アルゴリズムによって、波などによる振動ノイズを除去した上で、正確な角度を割り出します。この解析によって、走行中のセール操作を分析することが可能となります。また、富士通は、クラウドに蓄積されたセーリングデータを機械学習などのAI技術を使って分析する試みも行います。

解析したデータは、3Dモデルや数値、グラフ、海上地図などで可視化し、さまざまな表示に切り替えることができます。これによって複雑なセール操作をデータで把握することが可能となり、選手は上位選手とデータを比較し、動きの違いを3Dモデルや数値で確認することで、セーリングの改善点を検証できるようになります。

3Dモデルでの可視化画面

3Dモデルでの可視化画面

グラフや海上地図での可視化画面

グラフや海上地図での可視化画面

セール操作を数値化し、科学的に分析

ウインドサーフィンの練習では、これまでにもGPSを使って走行状況を確認するトレーニングや、動画撮影による指導が行われていましたが、セール操作は経験値に左右される要素が多く、セーリングスキルの修得や競技技術の向上に向けた科学的な分析が望まれていました。今回の「Project Windsurfing Lab」では、セール操作をセンサーによって数値化し、位置情報に速度データなどを組み合わせて分析することにより、理想的なセール操作を導き出すことが期待されています。

同プロジェクトでは今後、6月初旬に日本ウインドサーフィン協会の所属選手に向けた実証実験を開始すると共に、同協会の協賛大会などにおいてデモ展示や体験会を開催する予定です。また、実証実験の検証後は、セールの動作だけでなくボードや選手の身体の動きなどのデータも取得し、サービス化も検討します。

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※ヘッダの画像は、イメージです。本文画像提供:特定非営利活動法人日本ウインドサーフィン協会/富士通株式会社/ラピスセミコンダクタ株式会社

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