コンテンツです

北海道開発局がCLAS活用により運転手1人で操作可能なロータリ除雪車を配備

2022年12月22日

国土交通省 北海道開発局は2022年10月26日、美幌町(北海道網走郡)で行った除雪車両の出陣式にて、みちびきのCLAS(センチメータ級測位補強サービス)を活用した最新のロータリ除雪車を披露しました。

最新のロータリ除雪車

最新のロータリ除雪車

2019年に開発した除雪車をさらに改良

北海道開発局は、除雪オペレーターの高齢化に伴う人員不足問題に対応するため、除雪現場の省力化に向けた取り組みを行う産学官のプラットフォーム「i-Snow」を推進しています。そして、その一環として2019年、CLASを活用したロータリ除雪車の除雪実証実験を国道334号線の知床峠(知床横断道路)にて行いました。
この時に開発したロータリ除雪車は、積雪前にMMS(Mobile Mapping System、モービルマッピングシステム)によって点群データを取得し作成された高精度3次元地図と、CLASによる高精度位置情報を利用して、ロータリ除雪車の精密ガイダンスと、シュートによる投雪方向の自動制御を行います。これにより、従来はガードレールなどの位置や沿道状況を熟知したオペレーターが行ってきた作業負担を軽減できます。
今回披露した最新のロータリ除雪車は、その車両をさらに進化させ、CLASに対応した受信機とアンテナを各1台から各2台に変更して、搭載した2つのアンテナの相対位置をもとにカーブで車体がどの向きに走行しているかを即座に把握できるように改良しました。また、受信機も三菱電機のCLAS対応受信機「AQLOC-Light」に更新し、従来に比べて精度向上を図りました。

CLAS対応アンテナを2台搭載

CLAS対応アンテナを2台搭載

さらに、2019年時点では投雪装置において自動化できる範囲がブロア(左右投雪)だけだったのに対して、最新のロータリ除雪車ではシュート(左右・前送り・遠方・近方投雪)まで自動化できるように拡大しました。また、3D-LiDAR(レーザースキャナー)で雪堤の高さを計測し、高さに合わせて投雪する自動制御機能も追加しました。これらの装置により、従来は熟練の運転手と助手の計2人必要だった除雪作業を、運転手1人だけで行えるようにしました。

運転席

運転席

2023年から自動化除雪を開始予定

除雪作業

除雪作業

北海道開発局はこの最新車両1台を国道334号の知床峠に実働配備して、冬期通行止め解除に向けた除雪が始まる2023年3月頃から自動化除雪を開始する予定です。また、同局は今後もi-Snowの取り組みを続ける方針で、北海道中央部にある国道38号線狩勝峠などにおいて試験機による実証実験を今年度も継続して行う予定です。

除雪作業実証実験の様子

除雪作業実証実験の様子

北海道開発局によると、同局は衛星の信号を受信できない衛星受信不感区間における自車位置推定技術の検討と実証実験に取り組んでおり、その技術の確立を目指しています。今後、まずは衛星の受信状況が良好な場所から実働配備を開始し、並行して不感区間における自車位置推定技術を確立させて展開を図ることで、除雪現場の省力化に貢献していく方針です。

(取材/文:片岡義明・フリーランスライター)

参照サイト

※本記事の画像提供:国土交通省 北海道開発局

関連記事