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GPS応用の速度計でビジネス展開する「バイオスシステム」 [後編]

2016年07月18日

静岡県湖西市で浜名湖のほとりに社屋を構える株式会社バイオスシステムは、1987年の創業から来年で30年を迎えます。前編に引き続き、同社が、以前から使われていた光学式の速度計に代わり、GPSを利用した計測システムを開発していく過程を、山口哲功社長に伺います。

GPSと加速度計で1/100秒刻みの速度を出力

バイオスシステムの山口社長は、従来の光学式速度計に対する優位性を証明しようと、ある検証方法を考案し、財団法人日本自動車研究所に検査を委託しました。

株式会社バイオスシステム 山口哲功社長

まずJIS1級のメジャーで正確に50.00mの区間を設定し、光電管(=光検出用電子管)を設置します。「新型の速度計」は、GPSと加速度計を組み合わせて100分の1秒刻みで速度を出力します。出力される速度と100分の1秒をかけ算すると、当然ながら100分の1秒間に進んだ距離となります。速度が100.00km/hであれば1/100秒間に進む距離は27.78cmとなります。

光電管による信号をトリガーに、50.00m区間に入る際に積算を開始し、区間を出る際に停止。100分の1秒ごとに進んだ距離を合算した時、その合計距離はどれほどになっているのか?
時計が正確で、速度計も正確であるなら、その距離の和は50.00mに限りなく近づくはずです。

光電管を使った実験で優位性を証明

この方法を図解してみましょう。
1)メジャーを使って50.00mの区間を正確に設定し、「in」点/「out」点を光電管で計測
2)速度計は1/100秒ごとの速度を出力
3)任意の1/100秒間の走行距離は「速度×1/100秒」
  (=下図の濃いピンク色部分で示された長方形の面積))
4)時計が十分正確な時、「in」~「out」の1/100秒ごとの走行距離を全て合計すると
  「速度計から導かれる走行距離」が得られる(=ピンク色部分の全体の面積)
5)上記4)がどの程度50.00mと一致するかで、速度計の精度検証が可能

GVS速度計校正試験
GVS速度計校正試験

バイオスシステムが日本自動車研究所に委託した試験では、急減速、急加速、定速走行(20~180km/h)を通じ、誤差は±3cm(0.06%以内)と従来の光学式速度計を大きく上回る結果が得られました。

この試験で「正確な速度計」であるとのお墨付きを得たことをきっかけに、同社の速度計測システムは自動車メーカーや関連企業を始め、自動車関連の研究機関に浸透しました。科学警察研究所など捜査機関でも使われているとのことです。また同社は、速度計を供給するだけでなく、速度計の試験・校正機関として第三者機関から認定を得ています(ISO17025取得)。

衛星測位のRTK方式で車間を測る距離計

最近、同社は、衛星測位の技術を応用して自動車の安全装備を評価するシステム「RTK車間距離計」を製品ラインナップに加えました。山口社長によると、これは5年前の2011年、東名高速道路の上り車線の袋井市辺りをオートクルーズモードで走行しながら考えついたシステムだ、といいます。

自動車安全装備の評価システム「RTK車間距離計」(概要図)

「RTKは普通、固定基地局と移動局間の位置関係を正確に求めるものですが、両方が動いてもいいんじゃないかと考えました」(山口社長)

固定点の補正データを移動局に送信してリアルタイムで位置を測定する「RTK(Realtime Kinematic)法」は通常、固定された基準局と移動局の間で行われます。これを2台の車両の間で行うことで「走行しながらの車間距離」を求めるシステムで、±2cmの精度を実現しているそうです。

これまでは存在しなかった、走行しながらその瞬間その瞬間の車間距離を正確に測るシステムは、ミリ波レーダーやカメラなどのセンサーの評価を通じ、運転支援システムの開発に不可欠なものとなりました。

センチ単位の位置情報で「世の中はガラッと変わる」

株式会社バイオスシステム 山口哲功社長

衛星測位技術を応用した製品群で独自の地位を築いてきた山口社長からは、最後にみちびき4機体制に向けた大きな期待も聞けました。

「4機体制で、屋外でもセンチメートル単位の位置情報がいつも得られるようになれば、世の中はガラッと変わる。衛星測位の技術に深く関わってきただけに、私は大いに期待しています」(山口社長)

みちびきが4機体制になるのは2年後、2018年の予定です。

(取材/文:喜多充成・科学技術ライター)
 

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