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街の利便性向上に位置情報を役立てる富山市の「おでかけっち」

2015年11月25日

2015年11月、富山市は、高齢者の移動を把握するためのGPSと歩数計を備えた専用端末「おでかけっち」が完成したことを発表しました。同市が65歳以上の市民を対象に発行する「おでかけ定期券」利用者に同意を得て持ち歩いてもらい、高齢者の移動手段や経路、時間などのデータを収集します。

京都大学やインテック株式会社、立山システム研究所など地元企業を含む事業体に委託して開発しました。縦約7センチ、横約5センチ、厚さ約1センチ、重さ50グラムの端末で、来春から約2,000個を配布し、データの収集を予定しています。

端末の画像

端末は、ストラップで首から下げて利用

歩行距離などをスマートフォン画面で確認可能

集まったデータについては、調査終了後に端末を回収し、個人情報保護のために匿名化した上で、同市の中心市街地活性化推進課が集約。データに基づき、公共交通機関の利用が多い区間ではバスや路面電車の運行本数を増やしたり、歩いて移動する人が多い区間には休憩できるベンチを設けるなどの施策に反映します。

「コンパクトシティ」実現に欠かせない公共交通の充実

富山市は、高齢化に伴う人口減少や中心市街地の衰退などの課題に対応するための抜本的な対策として、公共交通の沿線に居住や商業などの都市機能を集積させることで、公共交通を軸とした拠点集中型のコンパクトなまちづくりを実現する「コンパクトシティ構想」に取り組んでいます。

富山市は車社会で、電車やバスなどの公共交通機関の利用者が減少し続けていました。利用者が減った路線は赤字のため運行本数が減り、ますます不便になって利用者が減るという状況が続いていました。富山市はこの循環を断ち切るべく、「歩いて暮らせるまちづくり」の目標のもと、LRT(Light Rail Transit、次世代型路面電車)やコミュニティバス、パークアンドライド駐車場などの公共交通の活性化や、鉄軌道駅や運行頻度の高いバス停周辺への居住を推進するなど、コンパクトなまちづくりを実現するための施策を行っています。

施策の結果、中心市街地エリアでは、2008年度より転出者より転入者が上回る「転入超過」となっているほか、市内電車の一日平均利用者数が増加傾向にあるなど、徐々にコンパクトなまちづくりの効果が現れてきています。

「富山市の目指すコンパクトなまちづくり」のイラスト画像

富山市の目指すコンパクトなまちづくり。公共交通という「串」で、駅やバス停から徒歩圏の地域生活拠点が「お団子」としてつながれる

「歩いて外出」は高齢者の健康増進にもつながる

最近では、大学等によるさまざまな研究や分析により、積極的に外出し歩くことが健康寿命の延伸につながることが分かってきています。

高齢者の外出機会を増やすために富山市が実施する施策の一つが、「おでかけ定期券事業」です。「おでかけ定期券」とは、市内の65歳以上を対象に、午前9時から午後5時までの間、市内各地から中心市街地に電車、バス、路面電車、コミュニティバスなどで出かける場合の運賃を100円に割引くICカード型乗車券です。高齢者のおよそ4人に1人が所有しており、一日平均2,634人が利用しています。

市が2014年に実施したモニター調査によれば、おでかけ定期券の利用者が、定期券を利用した日の平均歩数は利用しなかった日に比べ、1,309歩多かったという結果が出ています。公共交通機関を利用することが歩行数を増加させ、健康増進につながり、医療費の削減効果も期待できます。

富山市では、「おでかけっち」を活用して得られたデータから、高齢者に配慮した交通環境の整備や、高齢者の外出機会を創出する施策、歩行数の増加による健康施策などの立案に役立て、コンパクトシティ構想のさらなる発展につなげていきたい考えです。

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