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携帯圏外でもスマートフォンのGPSナビが使える「Geographica」

2015年12月22日

スマートフォンの地図アプリとGPSは、もはや日常生活では欠かせません。特にネットワーク経由でダウンロードする地図データは、常に最新の情報が利用できるため、道順を調べたり、カーナビ代わりに使ったりする際も、とても便利に使えます。

しかしこれは裏を返せば、街中では良くても、携帯電話の圏外に行くことが多い登山や海釣りなどでは、GPSで緯度経度が分かっても地図が表示できないということにもつながります。「Geographica(ジオグラフィカ)」は、そんな「困った」を解決してくれる、主に登山での使用を目的とした「キャッシュ型オフラインGPSアプリ」です。

山岳遭難を減らしたい思いで、誰でも使えるGPSを開発

「Geographica」公式サイトのキャプチャー画像

警察庁の統計によると、山岳遭難の約4割は「道迷い」が原因だそうです。山の中で常に自分の位置と方角を正確に把握して道に迷わなければ、山での遭難事故は大きく減るはずです。

本ソフトの開発者・松本圭司氏は、登山を趣味としており、高価な登山用GPS端末を用意しなくても「ふだん使っているiPhoneのGPSが山でも使えれば、道迷いの防止につながる」と考え、2010年に「Geographica」の前身となるアプリ「DIY GPS」を開発・公開しました。

最初のバージョンは、読み込んだ地図上に、GPSで測位した緯度経度を元に現在位置が表示されるだけのシンプルなものでしたが、やがてユーザーから寄せられた要望に応え、KMZファイルの取り込み、目的地設定、ルート案内、GPSロガーなどの機能を追加。2014年には「DIY GPS」の後継アプリとして、事前に地図を表示するだけでキャッシュに保存でき、より簡単に利用できる「Geographica」を公開しました。

地図の保存は「一度表示する」だけの簡単操作

Geographicaは、一度表示した地図をオフライン環境でも使えるよう、アプリ内に自動保存します。携帯電話の圏外では保存した地図を呼び出すことで、地図表示とGPSによる位置表示を実現するのです。

国土地理院の詳細な地形図の画面例

海外でも使えるOpenStreetMapの画面例

地図は、国土地理院の詳細な地形図(上左)や、海外でも使えるOpenStreetMap(上右)などの各種地図に対応しています。また、KMZファイル(Google Earthで地理情報を表示するための規格)にも対応しており、ファイルをインポートしてカスタムマップとして表示できます。

海外の山行で詳細な地形図が直接利用できない場合などは、自分で「カシミール3D」などの地図ソフトから切り出したデータを読み込み保存しておくことで、携帯電話の圏外でも呼び出して使用できます。

開発者自ら山でテストを繰り返す

地図中へマーカー(POI)を配置した画面例

松本氏が実際にモンブランに登頂した時のGPSログ

「Geographica」は、地図を表示して現在地を確認するだけでなく、地図中へのマーカー(POI)の配置(上左)や、マーカーをつないで作成したルートに従う案内にも対応しています。また、GPSログの記録(GPSロガー)にも対応しています。上右の画面は、開発者の松本氏が実際にモンブランに登頂した時のGPSログです。

さらに、音声によるルート案内や、スマートフォンを「振る」ことで操作ができるなど、常に手が使える状況とは限らない山でも、画面操作なしに情報が得られる工夫がされています。松本氏自身が一般登山、クライミング、冬山など各ジャンルの山に登ってテストをして、その結果をアプリにフィードバックしているのです。

自らも登山を楽しむ開発者の松本氏

自らも登山を楽しむ開発者の松本氏

現在、「DIY GPS」と「Geographica」は、5年間で併せて約9万本ダウンロードされています。「Geographica」は、使っているスマートフォンがみちびきに対応すれば、そのままみちびき対応のアプリとして動作します。松本氏は、「現在は谷筋や崖の下で座標精度が下がることがありますが、そういったことが減れば沢登りや渓流釣りでの道迷いリスクがさらに減らせます」とみちびきによる測位精度向上に期待を寄せています。

今後は、ルートやトラックログ(GPS)を共有する仕組みを強化することで、ユーザーがデータを共有して安全な登山計画の立案や行動指針として使えるようにしていきます。遭難者の中で割合が高い中高年はスマートフォンの操作が苦手な人が多いですが、「自分の親世代が安全に登山できるようにしていきたい」(松本氏)と、苦手な人にも使いやすいよう改良を進めていく意向です。

関連情報

ヘッダ、本文画像提供:松本圭司氏