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高円寺の阿波踊りで「踊る阿呆」を追跡するシステム

2015年10月01日

商店街活性化でスタートした「東京阿波おどり」

地元徳島以外では最大となる阿波踊りイベントが、毎年8月末に東京・高円寺商店街で行われる「東京阿波おどり」です。半世紀以上前の1957年に地元振興の一案としてスタートし、存続の危機を何度も乗り越えながら定着。都内のみならず、日本各地や海外へも友好使節として参加するほどで、当初の商店街活性化という目的をはるかに飛び越える存在となりました。現在では「1万人の踊り手と100万人の観客」が関わるほどの規模に成長しています。

59回目となる今年8月28~30日の開催では、位置情報を活用するアプリを使った新たな試みが始まりました。商店街の活性化をICTで支援するスマートリンクス株式会社と、イベントを主催するNPO法人東京高円寺阿波おどり振興協会、杉並区商店会連合会青年部が連携し、「踊る阿呆」を追跡するシステムの実証実験です。

阿波踊りでは、踊り手のグループのことを「連」と呼びます。「東京阿波おどり」では、2日間で延べ144連が出演、JR高円寺駅~東京メトロ新高円寺駅一帯を8の字型に周回します。今回の実証実験ではそのうち30連にiBeaconを装着しました。このiBeacon は、BLE(Bluetooth Low Enegy)規格で自機のIDを発信し続ける装置です。これを連の先頭を切って歩く「高張提灯」の突端に取り付けました。「踊る阿呆」は掛け声だけでなくビーコン信号も発しながら、ルートを練り歩くことになるわけです。

高張提灯への取り付け例の画像2点

高張提灯への取り付け例

一方、「見る阿呆」である観客には、スマートフォンに「東京阿波おどり」の専用アプリをインストールしてもらいます。このアプリは「連」のビーコン信号を受け取ると、GPSで取得した端末の位置情報とともにそのIDをサーバーに知らせる仕組みとなっています。サーバー側では、多数のスマートフォンから知らされる情報を蓄積・更新していくことで、事前に用意された各連の情報とひも付けする形で、iBeaconを装着した連の現在位置を地図上に表示させることができます。

利用者のアプリを「上り(情報提供)」と「下り(情報取得)」の双方向で利用する点、位置を固定しての利用が想定されているiBeaconを移動体に装着する点が、この追跡システムの注目すべき点と言えるでしょう。

3日間で2千人がアプリを使い、実用化への課題抽出

今回の実証実験は、iBeaconを用いた「連」の追跡技術、測位時間の調整による負荷分散、サーバ負荷の計測といった技術的な点に加え、「連」追跡に必要な機能の洗い出しといった実用化に向けた観点からの現状把握を目的としていました。

専用アプリについては、3日間で合計1,934人のユーザーが使用し、特定の連の追跡は約80,000回、全体地図の追跡は約64,000回行われました。位置測位の頻度は、端末は60~119秒 のランダムな間隔で行いましたが、システム全体では約0.2秒間隔で測位が行われていました。

スマートリンクス株式会社では、前夜祭に当たる8月28日の「ふれおどり」から始まる3日間の実証実験を通じ、位置測位の頻度やサーバー・ネットワーク負荷の計測を通じ、今後の実用化に向けた課題抽出ができた、としています。

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※ヘッダの画像はイメージです。本文中の画像は、スマートリンクス株式会社提供