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みちびきの災危通報に対応したLED照明灯、和歌山県で点灯式

2019年12月02日

LED照明の専門メーカーである株式会社エル光源は、みちびきの災害・危機管理通報サービス「災危通報」に対応した独立電源のLED照明灯の第1号機を和歌山県に納入しました。11月27日には和歌山県御坊市新町地区の津波避難タワーで点灯式が行われました。

津波避難タワー全景(テスト点灯中)

津波避難タワー全景(テスト点灯中)

災危通報 受信前:夜間の通常点灯モード

災危通報 受信前:夜間の通常点灯モード

災危通報 受信後:「みちびき連動型ソーラー照明」は、災危通報の受信により、明るく点灯する緊急避難モードに移行する

災危通報 受信後:「みちびき連動型ソーラー照明」は、災危通報の受信により、明るく点灯する緊急避難モードに移行する

約20年前からLED照明灯などを製造

東京・江戸川区に社屋を構えるエル光源は、約20年前からLED照明を手がける専門メーカーで、製品企画から製造、販売までを一貫して自社で行っています。「LEDを光源にする」というのが社名の由来で、低消費電力というLEDの特性を生かし、ソーラー発電で蓄電して夜間に点灯する独立電源タイプのLED照明灯を全国各地の自治体などに納めてきました。

同社が強みとするのは、組み込みソフトウェアの技術です。天候により変動するバッテリー残量をマイコンで精密に監視し、出力(照度)を調整することで、バッテリー切れで消えてしまうことのない「必ずつく照明灯」を実現しました。例えば悪天候が続き充電容量が70%しか得られていない場合は、点灯電力も70%に抑え電池切れによる消灯を回避することで“防災灯”として機能を果たすことになります。同社はこれをウェザー・シンクロシステムと名付け長寿命のリチウムイオン電池と組み合わせたシステムに進化させ、3000基以上の納入実績を有しています。近年のリチウムイオンバッテリーの性能向上により、太陽電池パネルやバッテリーの数を増やさなくとも、システムに新たな機能を加える余地が生まれてきました。

災危通報による情報提供で、防災灯を機能アップ

そこで目をつけたのが、みちびきの災危通報です。システムには以前から、点灯・消灯のタイマー設定のために時刻取得の目的でGNSS受信機を用いているものもありました。災危通報をトリガーとして情報提供を行うことができれば、避難者に夜間の避難経路を示す「防災灯」としての機能アップにつながります。

開発は約2年前からスタートしました。みちびきのL1S信号に対応した受信機をシステムに加え、災危通報として衛星から送信される信号を、文字情報に復元するソフトウェアも新たに制作しました。

今回、和歌山県に納入された第1号モデルは、近隣エリアの津波・大津波・地震速報などを受信した場合に動作(明るい緊急避難モードで点灯)するようあらかじめ設定されたものですが、今後は照明灯自身が設置エリアを認識し、関連する情報だけに反応して点灯したり、災害情報の表示や音声出力を行うモデルも計画しているといいます。同社はこのシステムを「ミドルキャパリード」と名付け、全国に展開する予定です。

(取材・文/喜多充成・科学技術ライター)

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