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ラグビーやサッカーに使われるGPSportsの衛星トラッキングシステム

2015年10月06日

南アフリカ戦に続きサモア戦と、ワールドカップで歴史的勝利を重ねるラグビー日本代表チームの活躍で、一気にラグビーへの注目が高まっています。

たとえ体格で劣っても、運動量とスピードで相手にプレッシャーを与え続ければ、勝利を手にできる。日本代表の選手たちはそれを世界に示しました。こうした日本の戦術は、選手たちの日々のトレーニングで養われた体力の賜物ですが、そのトレーニングの質を高めるためにGPSを活用したツールがひと役買っています。

タンクトップのようなホルダーの背にGPS受信機を装着

エディー・ジョーンズ率いる日本代表のトレーニングで使われていたのは、オーストラリアにあるGPSports社の「SPI HPU(High Performance Unit)」というトラッキングシステムです。

GPSportsの顧客には、各国のラグビーナショナルチームだけでなく、バイエルン・ミュンヘン(独・ブンデスリーガ)やチェルシー(英・プレミアリーグ)などプロサッカーの名門や強豪が名を連ねています。

選手の上胸部を覆うタンクトップのようなホルダーの背中の部分に、約80gの本体(受信機)を装着します。GPSports社のシステムではGPS受信機のほか、最大16Gまで計測できる加速度計と、別付けで前胸部に貼り付ける心拍計があり、15Hz(毎秒15回)のサイクルでデータを取得します。練習後はPCと接続してデータをダウンロードして分析に回し、端末のほうは充電して次回に備えます。

このタンクトップのようなホルダーは、ある有名サッカー選手が試合後に相手チームとユニフォーム交換するので脱いだ際に「えっ、スポーツブラ!?」と話題になったりしたそうですが、実はこうした受信機のホルダーだったのです。

約80gの「SPI HPU」本体(受信機)

約80gの「SPI HPU」本体(受信機)

このGPS受信システムは、衛星測位と言っても測量などと異なり、位置の絶対値はさほど問題ではありません。走行速度を取得するための、瞬間瞬間の相対位置の変化が重視されます。そして、その用途では実用上、十分な精度が得られているそうです。

テレビのサッカー中継などでは、選手個々の走行距離や速度を表示するトラッキングシステムが一般的となりつつありますが、こうしたデータ取得のためには複数台のカメラやPC、専任のスタッフからなる大がかりなシステムが必要です。上空の視界がひらけた練習場で、日々のトレーニングに使うには、インフラを必要とせず使えるこうしたシステムに優位性があるわけです。

トレーニング強度を設定する素材データとして活用

「日本ラグビーのトップリーグ(16チームからなる社会人ラグビーの最高峰リーグ)では、ほぼすべてのチームが、この種のトラッキングシステムを利用しています。もともとGPSports社がオーストラリアの企業で、日本のラグビーにも豪州出身のコーチが多いことからラグビーでの利用がさかんなのです」と説明してくれるのは、GPSports社の日本総代理店である株式会社フォー・アシストの春日隆行氏。

「ラグビーでは、秒速5m以上の“ハイ・インテンシティ・ランニング”が、試合時間のうち何%あるかといったデータが重要で、たとえばこれが20%を超えるとなると“非常によく走った”と評価されます。日々のトレーニングでは、それが実現できるようトレーニング強度を設定し、メニューに落とし込んでいきます」とのことです。

ヘトヘトになるまで頑張るのではなく、オーバートレーニングとならない適切な強度を保つために、こうしたシステムが多いに役立っており、日本でもJリーグのセレッソ大阪などが今春から採用し、トレーニングに役立てていると言います。

15個の受信機を一度に充電する充電器

15個の本体(受信機)を一度に充電し、データもダウンロードする

日本代表ラグビーチームの勇敢な戦いぶりは英国メディアにも大人気で、サモア戦を実況したBBCのレポーター Jonathan Jurejko氏は、前半終了間際の右サイドライン際からの、角度のあるコンバージョンキックを決めた五郎丸選手を「まるで衛星誘導されているかのようにキックを決める。正確無比だ」("Japan's record points scorer Ayumu Goromaru finds his destination like a sat nav with the kick. Precise.")と称えました。

「衛星誘導」は修辞でしたが、素晴らしいプレーを実現する熱き心と冷静な頭脳、そして強い身体を養うための日々のトレーニングには、間違いなく衛星測位を利用したシステムが役立てられています。倒れても倒れても起き上がってボールを追い、走り続ける選手たちを応援しながら、そのことも思い出してみてください。

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※ヘッダの画像はイメージです。本文中の画像は、GPSports/株式会社フォー・アシスト提供