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観光コンテンツを活性化。青森発ベンチャー「ナビチャリ」への期待

2016年05月24日

青森県のICT(Information and Communication Technology, 情報通信技術)ベンチャー、株式会社フォルテが手がけた、音声ガイド付き自転車レンタルサービス「ナビチャリ」が注目を集めています。この「ナビチャリ」の特徴は、GPS機能を備えた簡易な端末と骨伝導イヤホンで構成されるシステムだというところ。具体的にどんな仕組みなのか、ご説明しましょう。

GPS機能を備えた端末と骨伝導イヤホンで構成

まず使い方から。
1)電動アシスト自転車のレンタル時に、近隣の観光スポットが記された紙の地図が一緒に渡されます。それを見て利用者は、2)行きたい観光スポットの番号を、自転車に備え付けられた「ナビチャリ」端末(=下の画像)に入力します。そうすると、端末は入力情報に従ってルートを設定します。設定はこれだけ。

GPS機能を備えた「ナビチャリ」端末

あとは、3)「ナビチャリ」端末が、GPSで取得した位置情報をもとに音声でルート案内を行うので、耳孔をふさがない骨伝導イヤホン(=下の画像)を使用してガイドを聞きます。

耳孔をふさがない骨伝導イヤホン

端末は自転車から取り外し、首に下げて使うこともできる小型サイズながら、最大4カ国語の案内音声を登録することができます。また、自転車の走行中の速度(上限時速20km)を想定し、音声ガイドが適切なタイミングで流れるよう調整するなど、ソフトウェアには細かなチューニングが施されています。

きっかけは県内数千件の「観光スポット情報」

もともとフォルテは、青森県から委託を受けて県内数千件の観光スポット情報を3年がかりで収集する事業に関わっていました。集められた膨大な「見るべき場所」のコンテンツは、地元の地域型SNS(Social Networking Service、ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で公開され、撮影した写真などの素材は、現地踏査による情報収集の段階からGPSの位置情報(緯度・経度)付で管理されていました。
これらのコンテンツを生かすため、観光客の足となるレンタル自転車が構想され、ナビゲーションシステムの検討が始まったのです。

当初は「現在位置を携帯メールで送信し、ルート情報をシステムが返信する」というシステムも考えられましたが、ユーザー側のハードルが高いため、専用端末を開発することになりました。公益財団法人 21あおもり産業総合支援センターや国立大学法人岩手大学などの支援を受け、現在の「ナビチャリ」端末が完成し、訪れるべき場所としての「観光情報コンテンツ」と移動手段である「レンタル自転車」を、位置情報で結びつける役割を果たしています。

地元の人しか知らない、通りやすく楽しいルートを設定

「ナビチャリ」端末には表示装置はなく、リルート(=ルート変更)など複雑な機能も備えていません。同社は、システムをなるべく簡易なものにしつつ、「地元の人しか知らないような、通りやすい道や楽しいルートを設定する」といった、観光コンテンツとして質を高めることに重きを置いて設計しました。その姿勢は、担当者の次のコメントにも現れています。

「音声ガイドを伝える骨伝導イヤホンにしたのは、もちろん安全上の理由もありますが、風の音など、その場所ならではのサウンドスケープ(音風景)を楽しんでほしかったからです」

このシステムは、地方の観光地のインバウンド(訪日外国人)需要の受け皿となるモデルケースとして「2020年東京オリンピック・パラリンピック活用地域活性化戦略プラン」(経済産業省 関東経済産業局)に選定され、すでに大分県玖珠町(くすまち)など他の地域でも導入されています。

おそらくクルマだったら通過されてしまうような隠れた観光コンテンツが、日本には数多く眠っていることでしょう。「ナビチャリ」には、その掘り起こし役としての期待が集まっているようです。

参照サイト

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※ヘッダの画像はイメージです。本文画像提供:株式会社フォルテ