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横須賀市が位置情報ゲーム活用に向け、ヨコスカGO宣言を発表

2016年08月31日

横須賀市経済部観光企画課が事務局を務める横須賀集客促進実行委員会は8月21日、市内の三笠公園にある記念艦「三笠」の講堂で、「リアルワールドゲームを楽しもう!~安心・安全に『Ingress』や『Pokémon GO』で遊ぶために~」と題した講演会を開催しました。
「リアルワールドゲーム」とは、スマートフォンの衛星測位による位置情報とAR(拡張現実)を活用して地図と現実世界を結びつけることで、実際に人を屋外に連れ出すゲームを指します。横須賀市は、このリアルワールドゲームの可能性にいち早く着目して、2014年末から位置情報ゲーム「Ingress」を観光振興に活用してきました。

プレイヤーを応援する「ヨコスカGO宣言」

同市は、地元のエージェント(=Ingressプレイヤー)と協力して観光協会のウェブサイトに特設ページを設け、ゲーム内のポータル(拠点)をめぐるミッションを定期的に企画しています。また、近隣の商店や飲食店なども、エージェントを対象にした「Ingress割」と呼ばれる割引サービスなどの集客を自主的に実施してきました。官民の施策により、昨年度、観光情報サイトへのアクセス数は、前年比21.3%増、訪問者数は10.2%増という成果を挙げています。

横須賀中心市街地「Pokémon GO」MAP
「ヨコスカGO宣言」

こうした経緯から、同市は日本でのポケモンGOサービス開始に伴いリアルワールドゲームのプレイヤーが飛躍的に増えたことを好機ととらえ、プレイヤーを積極的に応援していく「ヨコスカGO宣言」を発表しました。また、「一歩先の楽しみ方」として、「地域の違いを体感する」「ご当地グルメは堪能すべし!」「強くなるだけがゲームじゃない」という遊び方のヒントも提案しています。

自動車と同じく社会的役割を担うツールに

横須賀市の吉田雄人市長は、「自動車も登場した時は『馬や馬車の仕事を奪う』『大事故につながる』と批判されたが、今は生活に欠かせない社会インフラになった。同様に今、批判されがちなリアルワールドゲームも、ルールやマナーを守って遊び、活用すれば、自動車と同じぐらい社会的な役割を担い、経済効果を高めるツールになるのではないか」と位置情報ゲームへの期待を語りました。

横須賀市の吉田雄人市長

横須賀市の吉田市長は、自らもレベル17のトレーナー

当日は千葉市の熊谷俊人市長、福岡市の高島宗一郎市長からビデオメッセージが寄せられました。熊谷市長は「若い人が地域に目を向け仲間と一緒に街を歩くきっかけとして活用したい」、高島市長は「ゲームで使用しているGPS機能を使い、健康、介護、防災などで街づくりの可能性が広がる」と期待を表明しました。

問題の大半は既存ルールで解決できる

堀 正岳氏

自宅も職場も横須賀市内の堀氏。市の施策にアドバイザーとして協力

続いて、攻略本『はじめよう! Ingress/スマホを持って街を歩くGoogleのAR陣取りゲーム』(インプレス)の共著者で、横須賀市を拠点とするエージェントでもある堀 正岳氏が登壇し、「不謹慎、得体のしれない集団の徘徊など、ポケモンGOで問題視されていることは、すでにIngressでも起こっていた」と指摘しました。ただ、Ingressはエージェントが少なく、比較的大人が多かったため、エージェント間でコミュニケーションがとれ、自浄作用があったと説明。

一方で、ポケモンGOはトレーナーの数が非常に多いために問題が顕在化しており、トレーナー間のつながりがないので自浄作用が期待できないとしつつも、それでも「問題の大半はほぼ既存のルールで解決できるので、新たなルールをつくる必要はない」と結論づけました。

ポケモンGO対応フロー

対応フローでは、ほとんどが既存のルール違反として「Police Go」で片付けられる

併せて、個人宅前やゲームを楽しむには不謹慎な場所に設置されたジムやポケストップは、申請に応じてナイアンティック社が迅速に削除対応を行っていることも紹介しました。

新しい遊び方を応援する仕組みを提案

白井暁彦氏

白井氏は、相模原市で「相模Ingress部」として活動してきた

ゲーム研究者で神奈川工科大学准教授の白井暁彦氏は、遊びとしてのリアルワールドゲームの特徴を、ゲーム研究者の視点から解説。エージェントが自治体や博物館と連携して地域の魅力あるコンテンツを発掘する「どこでも博物館」構想を発展させ、従来の施策ではリーチできなかった層の集客につながった「フィールドミュージアム」活動の事例を紹介しました。

ポケモンGOによるプレイヤーの広がりは、中・高校生やファミリー層など、従来Ingressがリーチできなかった層も取り込んで広がっていると指摘。リアルワールドゲームに対しては、プレイヤー自身が遊び方を考え、「強さを求める」だけでない新しいゲームをつくる環境を公共が整備することで、市民を外に連れ出し、地域の活性化に寄与できるとしました。

相模Ingress部の活動は、博物館や文化財に興味ない層が参加する契機となった

後半の堀氏と白井氏によるパネルディスカッションでは、「AR写真コンテスト」などの新しい新たな遊び方の提案や、今後自治体で活用していくための課題として、ポケストップ数などの地域格差是正でナイアンティック社との協力が必要である点などを指摘しました。また、プレイヤーの集合知によるゲーム世界の整備や新たな可能性への期待も語られました。

以上

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