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車載用IoT端末「MCCS」で新興国向けのローンファンドを運用

2017年02月28日

融資仲介サービスを行うSBIソーシャルレンディング株式会社(SBISL)は、モビリティIoTベンチャーのグローバルモビリティサービス株式会社(Global Mobility Service=GMS)が開発した車載用IoT端末「MCCS(Mobility-Cloud Connecting System)」を活用した新興国向けローンファンド(=ローンに投資する投資信託)「SBISLテレマティクスローンファンド1号」の運用を、このほど開始しました。

車両遠隔制御IoTデバイス“MCCS”

車両遠隔制御IoTデバイス“MCCS”

このMCCSは、自動運転技術の一部を自動車向けIoTサービスとして提供するモジュールで、自動車や二輪車などに後付けで搭載し、車両をコネクテッドカー(=ICT端末としての機能を持つクルマ)化してクラウドに接続します。車両の運行情報や位置情報などの利用状況を収集するだけではなく、双方向の遠隔起動機能が付加されているのが特徴です。

衛星測位により位置情報を把握し、エンジンを遠隔制御できる車載用IoT端末を取り付けた車両を担保とすることで、ローンや利用料金の支払いが滞った車両に対して、夜間など安全性に配慮したタイミングでエンジンを始動することができないよう、またドライバーから支払いがあれば直ちにその制御を解除し走行可能にするという、遠隔制御を行えます。この仕組みを使えば、延滞が続いた場合には車両の位置情報を特定してクルマを確実に回収できるので、与信そのものを不要にすることが可能になります。

フィリピンで三輪タクシーの事業資金を融資

今回発表された「SBISLテレマティクスローンファンド1号」は、インターネットを通じて投資家と借り手を結び付ける金融サービスである「ソーシャルレンディング」の形態を用いて広く投資家から資金を募り、フィリピン共和国にてMCCSを取り付けたトライシクル(三輪タクシー)の割賦販売事業者の事業資金に対応する融資を行います。

MCCSをトライシクルに取り付けることで購入者の信用力が補完されるため、従来であれば与信審査(=金融機関などが顧客の返済能力の信用度を判断すること)を通過できなかった人も割賦販売の対象とすることができます。車両の購入者はトライシクルドライバーとしての職を手にし、家族を養うことが可能となり、生活水準の向上が期待されます。

車両の運行状況や位置情報の管理画面

車両の運行状況や位置情報の管理画面

車両の運行状況や位置情報の管理画面

位置情報と遠隔操作の仕組みで与信審査が不要に

フィリピンは排気ガスによる大気汚染が深刻な社会問題となっており、クリーンな低排気ガス車両への置き換えが課題となっていますが、BoP(Base of the pyramid=ピラミッドの底辺、所得がもっとも低く人口では多数を占める層)に属する新興国の低所得者が多いトライシクルドライバーは車両購入時の与信審査を通過できず、買い換えはなかなか進みませんでした。

GMS社は2015年からフィリピンのメトロマニラ(Metropolitan Manila、フィリピン首都圏都市)であるケソン市、マカティ市、パサイ市や大手インフラ企業と協力して、MCCSを利用したフィンテックサービス(FinTech=技術[Technology]を使った新たな金融サービス[Finance])によるトライシクルの低排出型車両への置き換えに取り組んでいます。

従来は与信審査を通過できなくても、クルマさえあれば仕事を行い、十分に支払い能力を有するドライバーに対して、与信審査不要で低排出型車両を提供するサービスを提供してきており、これまでデフォルト(債務不履行)は発生していません。そして昨年9月には、トライシクルドライバーを対象としたファイナンス業務の共同提供に向け、フィリピン大手金融グループのBPI Globe BanKOと提携を結んでいます。

アフリカでも中古車の輸出会社と同様の取り組み

また、GMS社はアフリカに中古車を輸出する株式会社アガスタと協力して、アフリカでも与信審査を省略した融資の仕組みの構築に取り組んでいます。アフリカでもフィリピンと同様大半の中古車購入希望者は与信審査を通過できないため現金一括で購入するしかなく、結果として8割以上の購入希望者があきらめているという現状があります。こうした人たちが中古車を買えることで、車を利用した事業への就業機会の増加など、生活水準の向上が期待できます。

そもそも新興国では、信用情報機関など先進国では当たり前にある金融サービスの与信審査に必要な仕組みが整っていないことが多いため、借入などの金融サービスを受けられる層がごく限られています。そのため、BoP層が事業を営むための融資をそもそも受けることができず、いつまでも就業機会を得られず貧困から脱出できないという問題があります。

「位置情報と遠隔操作の組み合わせで与信審査を不要にする」という画期的なソリューションは、BoP層が事業を営む最初の第一歩を踏み出す手助けとなる、社会的意義がある取り組みです。

参照サイト

※本文画像提供:SBIソーシャルレンディング株式会社/グローバルモビリティサービス株式会社