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スマホで遊漁券を買える「つりチケ」にGPS機能を追加

2017年03月15日

3月は渓流釣り解禁のシーズンです。趣味として川釣りを楽しむには地元の漁協(正式には内水面漁業協同組合。内水面漁業は、河川など淡水での漁業)の許可が必要で、つりファンは漁協から「遊漁券」を購入し、正規の「つり客」となります。遊漁券は基本的に漁協の地元の商店に出向かなくては買えず、券種にも1日券やシーズン券などさまざまな種類が設定されています。その購入をインターネット上で可能にする仕組みがスタートしています。

遊漁券は、昨夏からネット上で購入可能に

「つりチケ」と名付けられたこの仕組みを作ったのは「豊かな水辺を取り戻す」ための活動を続ける愛知県名古屋市にある一般社団法人ClearWaterProject(CWP)です。昨年7月、まず全国4漁協(京都・賀茂川漁協と保津川漁協、愛知・名倉川漁協、群馬・両毛漁協)の遊漁券がネット上で購入できるようになりました。

CWPの代表理事、瀬川貴之氏はこうコメントします。
「つりファンは、魚が活発に動き始める夜明けと共に活動を開始したいと思っています。しかし遊漁券を買おうにもお店はまだ開いておらず、初めての渓流だと売り場も分からず、時には販売所が民家だったりもします。“つりチケ”はまず、そうしたつりファンの悩みを解消するための仕組みです」

遊漁券の販売で得られた収入は、水産資源の維持管理の原資にもなるため、販売チャンネルが増えることは漁協の収入増に、ひいては河川環境の改善・保全にもつながります。昨年秋には“つりチケ”のスマートフォン用アプリ(Android/iOS)がリリースされ、提携漁協も11漁協となり、利用会員数も順調に増加しています。

つりファンにも漁協にも、双方にメリット

「つりチケ」の購入画面例

「つりチケ」の購入画面例

渓流釣りの解禁日を目前に控えた2月22日、スマートフォン用「つりチケ」アプリにGPS機能が追加されました。つりファンにも漁協にも、双方にメリットのある機能追加となっています。

まず利用者が位置情報通知をONにすることで、漁協側は遊漁券を買った正規の釣り客がどの場所で釣りをしているかが分かるようになります。漁場の監視員(高齢であることが多い)にとって、遊漁券の確認のため対岸に渡ったり河原に降りたりすることは負担でしたが、タブレットやスマホ上でその確認ができれば、大きく手間が省けます。

位置情報には多少の誤差がありますが、そもそも釣り客は互いの間隔を空けて釣りをするため、識別は容易だといいます。これにより遊漁券の未購入者を見つけやすくなる上、禁漁区域に入ってしまった釣り客への警告も可能になります。また、利用者の位置情報を蓄積した「釣り客のヒートマップ」は、資源管理やサービス向上のための基礎データとして役立てることもできます。

利用者にとっても、自分が遊漁券を買った正規の釣り客であると発信することで、監視員に煩されることなく釣りに集中できます。また万が一の遭難時にも、継続的に発信された位置情報は、安否確認や捜索の大きな手がかりとなります。

山間地や谷あいで精度が上がる、みちびきは頼もしい

もともとCWPでは、GIS(Geographic Information System、地理情報システム)を利用して川遊びスポットを紹介する「川遊びマップ」や、ゴミや汚染原因となる個所をマッピングする「AQMAP」などのサービスやアプリを提供しており、つりチケのGPS機能追加も当初から予定されていたものでした。

大手ITシステム企業での経験を経て独立した瀬川氏は、B2B(Business to Business、企業間取引)の仕事ではなく、コンシューマー(Consumer、消費者)に直接働きかけることで世の中を良くしたいとの思いからCWPを立ち上げました。姓が「瀬川」であることに加え、中核メンバー4人のうち3人の姓にも「さんずい」が含まれています。

瀬川氏は、「測位機能が加わることで、利用者と漁協の双方に大きなメリットが生まれることを分かっていただければ、さらにより多くの漁協との提携が可能になると期待しています。山間地や谷あいでの測位精度を向上させる『みちびき』はとても頼もしいですし、このアプリがスマートフォンになじんだ世代の人たちが水辺の楽しさや豊かさを発見するきっかけになってくれればと思います」と語ってくれました。

(取材/文:喜多充成・科学技術ライター)

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※ヘッダの画像はイメージです。本文画像提供:一般社団法人ClearWaterProject