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OSMマッパーが集まりSotM Japan 2016を開催 [後編]

2016年08月24日

最近は位置情報を表示する背景地図データとして、自由な地理情報データを市民の手で作成するOpenStreetMap(OSM=オープンストリートマップ)を採用するサービスが増えてきました。昨日に引き続き、2016年8月6日に東京・北区の赤羽会館で開催されたOSMの日本のローカルカンファレンス「State of the Map 2016(SotM Japan 2016)」で紹介された事例を取り上げます。

OpenStreetMap

OpenStreetMap

スマホで路面の段差を測るBumpRecorder

講演中の八木氏

八木氏

この日のイベントが開催された東京・北区の赤羽に本拠を置くベンチャー企業、バンプレコーダー株式会社の代表取締役社長である八木浩一氏が登壇し、事例を発表しました。
同社は、道路の段差情報を収集できるAndroidアプリ「BumpRecorder」を提供しています。このアプリをインストールしたスマートフォンをダッシュボードに取り付けると、内蔵のGPSや加速度センサーを使用して振動情報を記録して地図上に表示できます。専用の計測車を使うことなく、普通車に乗りながら道路の凸凹(でこぼこ)状況を計測できるというものです。
同様のサービスを提供している企業は他にもありますが、バンプレコーダーは走行中の揺れの周波数を解析し、車両ごとのサスペンションのバネやダンパー特性を自動推定する独自技術により、異なる車種や走行速度でも安定した結果が得られるのが特徴です。

アプリ画面

BumpRecorder

同社はアプリで測定した道路情報をアップロードして、約10分で地図及びグラフに表示できるGIS(地理情報システム)サービス「BumpRecorder Web」も提供しており、このサービスの背景地図にOSMの地図データを使用しています。
同社は、今年(2016年)4月に発生した熊本地震においても、熊本県内3,100kmと大分県内320kmの道路被災状況を調査しました。平常時にこれまで計測してきたのべ180万kmの段差情報も収集・保有しており、平常時の調査結果と被災後の結果を比較し、震災による被災状況を的確に捉えることができました。

PC画面の地図

段差情報を地図上に表示

小型端末

BL-01

同社は今後も、地震後の道路被災状況を迅速にマップ化する活動を行うほか、平常時の道路維持管理の合理化・効率化にも取り組んでいきます。
平常時活用促進の取り組みとしては、ビッグローブ社製1.6インチ画面の小型Android端末BL-01を使って、エンジン始動時に自動的に計測開始し、停止時に自動終了して記録データをアップロードする仕組みを提供しており、すでに自治体で採用された例もあります。

(取材/文:片岡義明・フリーランスライター)

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