コンテンツです

日本航空宇宙学会が、宇宙ビジネス創出のための「宇宙ビジネス共創委員会」設立

2020年12月18日

日本航空宇宙学会(JSASS)が設立した「宇宙ビジネス共創委員会」の設立シンポジウムが12月11日、東京・日本橋に新たな宇宙ビジネス拠点として開設された「X NIHONBASHI TOWER」及びオンラインライブ配信にて開催されました。
当日は、宇宙ビジネス共創委員会の設立の背景や今後のビジョン、計画を参加者と共有することを目的に、日本航空宇宙学会の学会員のほか、宇宙関連ビジネスを手がけるベンチャー企業の代表者や政府関係者など、産・官・学の関係者が集い、主に宇宙人材の発掘・育成・ネットワークについて議論しました。

会場となったX NIHONBASHI TOWER

会場となったX NIHONBASHI TOWER

宇宙ビジネス共創委員会は、産業界と学術界の連携によって価値の高い宇宙ビジネスを創出することを目的として今年8月に設立されたもので、従来の宇宙関連企業だけでなく、“ニュースペース”と呼ばれる宇宙関連のベンチャー企業や民間宇宙団体と連携・協力し、技術や標準などの動向把握や人材発掘・育成、コミュニティ形成・運営など、宇宙分野の活性化に寄与することを目指しています。

衛星測位などの新サービスに対応するコミュニティを目指す

慶應大の神武教授

慶應大の神武教授

宇宙ビジネス共創委員会の委員長を務める慶應義塾大学の神武直彦氏(大学院システムデザイン・マネジメント研究科 教授)は、シンポジウムの冒頭、委員会の目的について次のようにコメントしました。
「宇宙関連ビジネスは、さまざまな分野に広がっています。インフラという意味では、準天頂衛星みちびきに代表される衛星測位システム、そして地球観測衛星や通信放送衛星などがあり、そこから新しいサービスが生まれています。こうした時代の中で、宇宙関連の産業界と学術界が相互理解し、協働することで化学変化が生まれるのではないかと期待しており、宇宙ビジネス共創委員会はそのためのコミュニティにしていきたいと考えています」

日本航空宇宙学会の松尾会長、河野副会長も登壇

慶應大の松尾教授

慶應大の松尾教授(左)、JAXAの河野氏(右)

JAXAの河野氏

JSASSの会長を務める慶應義塾大学の松尾亜紀子氏(理工学部 教授)、文部科学省研究開発局の生川浩史局長、内閣府宇宙開発戦略推進事務局の川口悦生参事官、経済産業省製造産業局宇宙産業室の是永基樹室長の挨拶に続いて、JSASSの副会長を務める宇宙航空研究開発機構(JAXA)の河野功氏(主幹研究開発員)が、同学会の長期ビジョンである「JSASS宇宙ビジョン2050」について講演しました。

産業界と学術界が連携し、起業や事業の創出を支援

登壇者の写真(アクセルスペース・宮下氏、ispace・氏家氏、東北大学・桒原氏、慶應大・白坂氏、JAXA・向井氏、A.T.カーニー・石田氏)

講演やパネルディスカッションに登壇した、上段左からアクセルスペースの宮下氏、ispaceの氏家氏、東北大学の桒原氏、下段左から慶應大の白坂氏、JAXAの向井氏、A.T.カーニーの石田氏

続いて宇宙ベンチャー企業12社によるビデオプレゼンテーションや、宇宙人材の発掘・育成・ネットワーク作りをテーマとした講演が行われました。講演では株式会社アクセルスペースの宮下直己氏(取締役最高技術責任者[CTO])、株式会社ispaceの氏家亮氏(マネージャー)、東北大学の桒原聡文氏(大学院工学研究科航空宇宙工学専攻 准教授、株式会社ALE CTO)、慶應義塾大学の白坂成功氏(大学院システムデザイン・マネジメント研究科 教授、Synspective Inc. 取締役)、JAXAの向井浩子氏(人事部 部長)などが登壇し、さらにA.T.カーニー株式会社の石田真康氏(プリンシパル、一般社団法人SPACETIDE 代表理事兼CEO)も加わり、「宇宙人材の発掘・育成・ネットワーク」をテーマにしたパネルディスカッションが行われました。

シンポジウム終了後、神武氏は宇宙ビジネス共創委員会の今後の取り組みについて、「衛星測位やリモートセンシングなど幅広い分野にこの取り組みを広げ、ベンチャー企業の育成に取り組むと共に、関連の学会等との連携も進めていきたいと考えています」と抱負を語りました。

(取材/文:片岡義明・フリーランスライター)

参照サイト

関連記事