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GPS受信機を活用した「聞き書きマップ」の取り組みが国交大臣賞を受賞

2016年10月18日

一般社団法人地理情報システム学会は、「初等中等教育におけるGISを活用した授業に係る優良事例表彰」の選定結果を発表し、10月15・16日に立正大学で開催された「第25回研究発表大会」の中で授賞式を開催しました。
この表彰制度は、初等中等教育現場においてGIS(地理情報システム)を実践的に活用した授業の普及・展開の契機とするため、授業において先導的な取り組みを実践している教員を対象に表彰するものとして、2010年度に創設されました。
今年は8件の応募があり、9月15日に地理情報システム学会及び毎日新聞社、国土交通省、文部科学省で構成する審査委員会を開催し、表彰事例を選定しました。

千葉県の小学校による「聞き書きマップ」の取り組み

授賞式

授賞式

この中で、千葉県柏市立十余二小学校による「聞き書きマップ」を使った取り組みが、「国土交通大臣賞」を受賞しました。

「聞き書きマップ」とは、科学警察研究所 犯罪行動科学部 特任研究官の原田 豊氏が中心になって開発した、街の安全点検のための地図作成支援ツールで、GISソフト「ArcGIS Explorer Desktop」のアドインとして提供しています。

「聞き書きマップ」の画面

「聞き書きマップ」の画面(画像提供:千葉県柏市立十余二小学校チーム防犯)

同ツールでは、GPS受信機とICレコーダー、デジタルカメラの3点を持って街を歩きながら安全上で気付いた点を音声で録音することで、あとで録音した音声を聞き書きして簡単にテキスト化できます。また、歩いた経路を地図上に表示し、写真の撮影時刻をもとに経路上に撮影地点を配置することもできます。

フィールドワークの使用機器

フィールドワークの使用機器

グループに分かれてのフィールドワーク

グループに分かれてのフィールドワーク

(画像提供:千葉県柏市立十余二小学校チーム防犯)

千葉県柏市立十余二小学校の教員及びITアドバイザーで構成される“チーム防犯”は授賞式において、「聞き書きマップ」を使ったフィールドワークの詳細を発表しました。同小学校では、4年生の児童80名を19グループに分けてフィールドワークを行いました。フィールドワークでは、危険な場所や安全のために工夫されていることを調べるだけでなく、地域住民に対して街の良さをインタビューしたり、通りすがりの人に、街について知っていることや、困ったことなども聞きました。

“チーム防犯”による事例発表

“チーム防犯”による事例発表

ICレコーダーの録音データをパソコンへ入力

児童は1つの班につき約130枚の写真を撮影し、同時にICレコーダーに気付いたことをつぶやいて考えをまとめました。そして、録音をもとにパソコンを使ってメモ欄に入力し、データ入力したカードを印刷してハサミで切り離し、紙の地図帳に貼り付けて防犯マップを作成しました。写真についても、撮影した中から重要なものを30枚を選んで、地図に貼り付けました。

完成したマップ

完成したマップ(画像提供:千葉県柏市立十余二小学校チーム防犯)

完成した地図は、150cm四方の巨大なマップとなりました。児童は、完成したマップについて、なぜその場所が危険なのか、その危険な場所をどう改善できるのかをグループで相談して考えを深めました。

“チーム防犯”は「聞き書きマップ」のメリットとして、「時間を短縮できる」「コンパクトにマップにまとめることができる」「地図データの保存と再利用が可能」「GPSの活用によりデータが正確になる」「児童の行動と活動と思考が広がる」「児童に表現する力がつく」「児童が地域の一員としての意識を持つことができる」といった点を挙げています。

受賞者一同

受賞者一同

授賞式では、他の事例についても表彰が行われました。「地理情報システム学会賞」は大阪府立岸和田高等学校の上田聖矢氏、「日本地図センター賞」は福井県坂井市役所の北岡武氏、「毎日新聞社賞」は特定非営利活動法人伊能社中が受賞しました。

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