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三菱重工G、シンガポールで測位衛星を利用した電子式道路課金システムを受注

2016年03月18日

三菱重工グループでITS関連機器の開発を行う三菱重工メカトロシステムズ株式会社はこのほど、シンガポール・テレコム傘下のNCS社と共同で、次世代型電子式道路課金システム(the Next-generation Electronic Road Pricing system)をシンガポール陸上交通庁より総額5億5,600万シンガポールドル(約450億円)で受注しました。この次世代型ERP(Electronic Road Pricing)は、衛星測位技術と広域通信網を用いて、渋滞緩和などの交通需要管理を行う「道路課金システム」です。

1998年から世界初の自動式料金徴収システムが稼働

そもそも道路課金とは、走行する車両に通行料を課す仕組みのことです。建設費償還のために料金を徴収する有料道路のほか、特定区域の渋滞・大気汚染緩和を目的に、その区域への「入場料」を徴収するものもあります。
 
シンガポールでは1975年から、商業中心地区の制限区域を対象に渋滞緩和のための道路課金が始まりました。当初はステッカー式の通行証をフロントガラスに貼り付け、監視員が目視でチェックする仕組みでしたが、1998年からは世界初の自動式料金徴収システムが稼働を始めています。
 
このシステムは、ICカードが挿入された車載機が、道路をまたぐガントリ(門柱)に設置されたアンテナと通信して課金処理を行うもので、三菱重工業グループは無線システムはもちろん、違反車両のナンバープレート画像認識システムまでを一貫して手がけた実績があります。

次世代型ERPは、仮想的な「入場ゲート」を通過すると課金

次世代型ERPの発展イメージ

次世代型ERPの発展イメージ(出典:2012年8月の道路課金シンポジウムにおける三菱重工業・野口直志氏資料「道路課金の技術動向とシンガポールでの実験」より)

これをさらに発展させた次世代型ERPは、衛星測位がカギとなるシステムです。GPS機能付きの車載機は常に車両の位置を把握しています。また広域通信網を通じて交通管制当局が設定した仮想的な「入場ゲート」の座標も知らされており、そこを通過することで課金が行われます。いわば測位衛星と車載機(と内蔵の道路地図)が、道路に設置されたガントリに代わる役割を果たす訳です。このシステムでは、交通管制当局は実際の混雑状況を見ながら「入場ゲート」の場所を配置し直すことができるため、より柔軟な交通管制が可能となります。

2014年10月に一般社団法人日本経済団体連合会が発表した「宇宙基本計画に向けた提言」でもみちびきの活用イメージの1つに衛星測位を使った道路課金システムが取り上げられており、都市内の測位に強みを発揮するみちびきの有力なアプリケーションの1つになり得るとして期待されています。

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※ヘッダの画像は、イメージです。

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