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みちびき「Q-ANPI」端末を搭載した「特務機関NERV災害対策車両」が公開

2019年12月25日

地震や台風、集中豪雨などの災害が頻発する中、長期停電や通信網の途絶などへの対策として、災害時においても電力と通信を独自に確保し、事業や公共サービスを継続するための災害対策車両の整備が各所で進められています。こうした状況のもと、ゲヒルン株式会社と三菱自動車工業株式会社、スカパーJSAT株式会社の3社は、みちびきの衛星安否確認サービス「Q-ANPI」の端末を搭載した災害対策車「特務機関NERV(ネルフ)制式 電源供給・衛星通信車両 5LA-GG3W(改)」を共同製作し、同車両の整備計画に関する説明会を都内で開催しました。

(左から)スカパーJSAT 古屋弘信氏(宇宙事業部門 事業推進部 フリートチーム アシスタントマネージャー)、ゲヒルン 石森大貴氏(代表取締役)、三菱自動車工業 高橋幸代氏(国内営業本部 営業部 主任)

(左から)スカパーJSAT 古屋弘信氏(宇宙事業部門 事業推進部 フリートチーム アシスタントマネージャー)、ゲヒルン 石森大貴氏(代表取締役)、三菱自動車工業 高橋幸代氏(国内営業本部 営業部 主任)

プラグインハイブリッド車にみちびき「Q-ANPI」端末を搭載

特務機関NERV(ネルフ)制式 電源供給・衛星通信車両 5LA-GG3W(改)

特務機関NERV(ネルフ)制式 電源供給・衛星通信車両 5LA-GG3W(改)

この車両は、大容量のバッテリーを搭載した自動車に衛星通信設備を搭載した災害対策車両です。三菱自動車の「アウトランダーPHEV」をベースに、米Kymeta Corporation社の平面アンテナ端末「KYMETA u7」を搭載し、スカパー JSATの通信衛星を経由してインターネットに接続できます。

ベース車両の「アウトランダーPHEV」は、高出力モーターと大容量バッテリー、そして効率と静粛性に優れた2.4Lエンジンを採用したSUVタイプのプラグインハイブリッドEVです。100V AC電源のコンセントを車内に2つ備えており、合計で1500Wの電力を取り出すことが可能です。また、家庭と自動車を接続するV2H機器を使用することにより、満充電の状態で一般家庭の最大約1日分、エンジンでの発電も組み合わせるとガソリン満タンで最大約10日分の電力量を家庭に供給できます。

車両に搭載された平面アンテナ端末「KYMETA u7」

車両に搭載された平面アンテナ端末「KYMETA u7」

従来の災害対策車両にはない特徴として、内閣府 宇宙開発戦略推進事務局 準天頂衛星システム戦略室が貸与するQ-ANPIの端末を搭載しています。Q-ANPIは、避難所の情報をみちびき経由で管制局に送信し、収集する手段として利用できます。

Q-ANPI端末

Q-ANPI端末

これにより、災害時に携帯電話網などが途絶した場合でも、避難所の情報(開設・閉鎖、避難者数、避難所の位置、救援物資の要求等)や個人の安否情報(電話番号やケガの有無等)といった救難活動に不可欠な情報をみちびき経由で管制局に収集することが可能となります。これらの収集した情報は、防災機関が避難所の状況を確認して救難活動に役立てたり、近親者などがインターネットを通じて避難者の安否を確認できます。また、救助支援の情報を防災機関から避難所側に送信することもできます。
Q-ANPI端末は車両のラゲッジルームに搭載され、使用する際は車外に設置した上で車両から電源を供給し、みちびき3号機(静止衛星)に向けて送信します。

みちびきの災危通報を利用して防災情報を提供

特務機関NERV 防災アプリ

特務機関NERV 防災アプリ

ゲヒルンは、災害関連情報や防災気象情報などを配信する、アニメ作品「エヴァンゲリオン」に由来した「特務機関NERV 防災アプリ」を提供しています。同社は停電や通信障害によって同アプリのオペレーション拠点が情報配信機能を喪失した場合に、今回発表した「5LA-GG3W(改)」を使用して電力と通信を独自に確保し、防災情報配信サービスを自力で継続します。

アプリの防災情報配信オペレーションに支障がない場合は、被災地へ出動して災害対策本部や避難所などに、給電・充電サービスや電話サービス、Wi-Fiインターネット接続サービス、そしてQ-ANPIサービスなどの提供を行います。また、インターネット回線や、スカパーJSATの通信が不通となった場合には、みちびきの災害・危機管理通報サービス「災危通報」を受信して防災情報の提供を行うシステムも現在開発中とのことです。
このほか、平常時には災害派遣医療チーム(DMAT)による訓練や全国各地の防災イベントなどへの参加を通じて、プラグインハイブリッド自動車や衛星通信サービス、平面アンテナ端末、みちびきの有用性を紹介し、同車両をモデルケースとして自治体や企業が独自に電力や通信を確保する重要性を提示し、災害対策の強化に協力します。

ゲヒルンの石森氏

ゲヒルンの石森氏

ゲヒルンの代表取締役を務める石森氏は説明会で、「私どもの防災情報配信サービスは、こちら側から一方的に情報を配信するものであり、『避難所が今どのような状況なのか』『安否を家族に伝えたい』というニーズにはこれまで応えることができませんでした。今回、Q-ANPIの端末を貸し出していただいたことにより、そのような私どもが提供できなかった機能を車両に搭載することができました」と語りました。

この災害対策車は2020年2月1日から、東京エリアにて“初号機”、札幌エリアにて“弐号機”が運用を開始します。

(取材/文:片岡義明・フリーランスライター)

以上