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SPACが「第14回衛星測位と地理空間情報フォーラム」を開催

2016年07月23日

一般財団法人衛星測位利用推進センター(SPAC)が主催する「衛星測位と地理空間情報フォーラム」が7月15日、東京大学本郷キャンパスの伊藤国際学術研究センターで開催されました。
2007年からスタートし、今回で第14回目を迎えるこのフォーラムでは、地理空間情報を高度に活用する社会(G空間社会)の実現と新たなビジネス機会の創出に向け、関心を持つ各方面の方々が集い、幅広く情報を交換する場となっています。

会場風景
岡部篤行SPAC理事長

当日は、岡部篤行SPAC理事長の開会挨拶に続き、自由民主党G空間情報活用推進特別委員会委員長の衆議院議員、新藤義孝氏が「G空間社会の実現に向けて」と題した特別講演を行いました。

新藤義孝氏の特別講演「G空間社会の実現に向けて」

新藤氏は「この仕事は、日本の新しい経済の柱であり社会の基盤ともなるもの。G空間プロジェクトを新しい産業・経済をつくる基盤にしたい。それをやり切るのが今の時代に生きるわれわれの責任だ」と熱く訴えました。

新藤義孝氏

続けて総務大臣在職中の世界各国へのトップセールス事例を紹介しながら「衛星測位と電子地図をパッケージで提供できる点は日本ならではの強みであり、世界のさまざまな国のニーズや課題を捉まえたビジネスの展開を考えよう」と呼びかけました。

さらに「そもそもがこの国に存在しなかった仕事をつくろうとする試みだけに、自分の領分だけに収まらず、どんどん活動範囲を広げていく “ノリ”の良さが重要だ」と語り、会場から拍手を集めました。

G空間社会の実現に深く関わる省庁・大学の講演

続く招待講演では、G空間社会の実現に深く関わる省庁・大学からの報告・講演が行われました。

髙田修三氏(内閣府 宇宙開発戦略推進事務局長)

髙田修三氏

「G空間社会の実現に向けた宇宙関連施策」と題した講演の中で、関連施策や環境整備について解説し、他のGNSSとの比較においてセンチメータ級の精度を持つみちびきの優位性をアピールしました。

大内秀彦氏(国土交通省 国土政策局 大臣官房審議官)

大内秀彦氏

「G空間社会の実現に向けた取組及び新たな地理空間情報活用推進基本計画の策定に向けて」と題した講演の中で、「地理空間情報を一般向けに提供する取り組みは、1996年のVICS(=Vehicle Information and Communication System、道路交通情報通信システム)情報提供サービスの開始が最初だった」と、国土空間データが社会基盤となって整備が進められてきた経緯を説明し、地理空間情報活用基本計画の第3期基本計画の骨子案について紹介しました。

柴崎亮介氏(東京大学 空間情報科学研究センター教授)

柴崎亮介氏

「G空間情報社会の実現にむけたG空間情報センターの貢献と展開」と題した講演の中で、グーグルの人工知能Alpha GOが囲碁のトッププロに勝利した事例をまず紹介。
「アルゴリズムや機械学習が注目されがちだが、過去の名人たちがしのぎを削った戦いの記録である“棋譜”がオープンデータとして活用できたからこそ、Alpha GOは強くなれた」と、オープンデータの可能性に言及。

柴崎教授のスライド「人工知能Alpha GOが囲碁のトッププロに勝利した事例」

柴崎教授のスライド「しのぎを削った戦いの記録である“棋譜”」

個々の市民・消費者が強力な情報パワーを持ち、IoT技術の進展でありとあらゆる実世界のデータがリアルタイムに集まる時代には、「データを囲い込んで稼ぐ企業間競争の時代から、連携を通じてデータを組み合わせ、その価値をシェアする“社会情報エコシステム”に移っていく」との認識を示しました。

そして「死蔵されていたタンス預金を集め社会的に意義のある投資にふり向ける銀行のように、G空間情報センターは、情報を集積し、組み合わせ、横展開を支援する役割を果たし、さらに成功の実例を示すショーウインドーとなるべき」と訴えました。

みちびきはG空間社会の基幹となる重要なシステム

三神泉氏

三神泉氏

下村節宏氏

下村節宏氏

続いてこの6月にSPAC専務理事に就任した三神泉氏からSPACの活動報告が行われ、最後に経団連(一般社団法人日本経済団体連合会)宇宙開発利用推進委員長の下村節宏氏が閉会の挨拶に登壇、「みちびきはG空間社会の基幹となるもの。国民の安全・安心はもとより広く安全保障にも関わる重要なシステムである」と訴え、閉会しました。

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