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車両緊急通報システム「eCall」

2016年05月30日

運転者や同乗者が意識を失うような深刻な自動車事故の際にも、車両自身が緊急通報を自動的に行う「eCall」と呼ばれるシステムが、シートベルトやエアバックなどと同じように標準的な安全装備となりつつあります。
欧州議会は、2018年4月以降に欧州連合(EU)で新車として販売される車両にeCallの装備を義務付ける決議を、2015年4月に行いました。EUに加えアイスランド、ノルウェー、スイスでもこの仕組みが適用されることになっており、これによって現場到達時間の半減や、交通事故死者数全体の約10%に相当する年間2,500人減などの成果が期待されています。
また、eCallは欧州の衛星測位システムであるガリレオの重要なアプリケーションであり、「プライバシーと安全」や「カーテレマティクスの本格化」などのキーワードと共に注目を集めています。また、同種の技術を利用したロシアのGLONASSによる「ERA-GLONASS」も検討が進められています。

車両自身が緊急通報を自動的に行う

eCallシステムは、大きな衝撃、エアバックの動作、車両の横転などをトリガーに、携帯電話ネットワークを通じて欧州共通の緊急通報番号である「112」に自動発信します。接続すると、データ通信で車種や色などの情報のほか、時刻や位置情報などを自動的に送信し、音声回線のリンクも行われます。

位置情報に加え、ごく短時間の位置情報履歴から、車両の進行方向についてのデータも送信されます。高速道路上では、どの方面に向かう車線での事故であるかが、事故現場にアクセスするため重要な情報だからです。また、履歴がごく短時間のものにとどめられているのは、プライバシーへの配慮からです。もちろん運転者や搭乗者が意図的に操作して発信することもできますし、事故を目撃した場合の通報も可能となっています。

▽「eCall」のシステム概念

「eCall」のシステム概念図

参照サイト

※ヘッダの画像はイメージです。本文図版:総務省ウェブサイトより

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