• ホーム
  • 関連ニュース
  • コアが、みちびきの高精度測位を活用したドローン測量でウェブセミナー開催
コンテンツです

コアが、みちびきの高精度測位を活用したドローン測量でウェブセミナー開催

2020年09月23日

株式会社コアは8月27日、みちびき対応のGNSS受信機の導入を検討している企業や、土木・建築の現場でドローン測量の導入を検討している企業などを対象に、みちびき対応GNSS受信機とドローンソリューションをテーマにしたウェブセミナーを開催しました。当日行われた同社のスタッフによる2つの講演と、受信機を共同開発しているセプテントリオ(Septentrio)のヤン・デターク(Jan De Turck)氏による招待講演の内容を紹介します。

CLASの利用により標定点レスのドローン測量を実現

── コア・末武雅之氏

コアの末武氏

コアの末武氏

国土地理院は「作業規程の準則」で、ドローン測量を行う際には、航空写真に写る範囲内の地上に「標定点」と呼ばれる目印を設置するよう定めています。標定点は設置後にRTK(Realtime Kinematic:固定点の補正データを移動局に送信してリアルタイムで位置を測定する方法)やPPK(Post Processing Kinematic=電子基準点からの補正処理をデータ取得後に行う方式)など高精度測位による位置計測が必要で、撮影後には回収も必要です。

この設置・回収作業で作業員が現場を歩き回るのは手間がかかるだけでなく、山間部や崖の上、被災地などの危険な場所では設置が難しく、携帯通信がつながらない環境ではRTKによる測位が難しいなど、さまざまな問題があります。

「みちびき対応GNSSを活用したドローン測量」と題して講演したコア・GNSSソリューションビジネスセンターの末武雅之氏は、この課題を解決する方法として、ドローンが撮影した写真にセンチメータ級精度の位置情報を埋め込み、標定点を使うことなく写真撮影を行う手法を提案しました。
具体的には、撮影現場にみちびきのセンチメータ級測位補強サービス(CLAS)を利用した簡易基準局を設置した上で、その簡易基準局から測位補正データ(Ntripデータ)をWi-Fi経由で、ネットワーク型RTK測位に対応した市販のドローンに向けて発信します。

写真撮影の様子

写真撮影の様子(当日の講演資料から。提供:株式会社コア)

この方法は、LTE通信を使ったネットワークRTKのVRSサービス(測位補正データの配信サービス)を使う手法に比べて、低コストで高精度測位が可能です。また、簡易基準点を使うため、ネットワークRTK測位に対応した既存のドローンをそのまま使用することもできます。同社ではドローンに搭載されているGNSS受信機をみちびきのCLASに対応した製品に交換するサービスも提供しており、これを利用すれば簡易基準局を使うことなくドローン単体でCLASによる測位も可能となります。

末武氏は、「CLASならセンチメータ精度の位置情報が受信機のみで取得でき、外部通信が使えない環境でも標定点レスのドローン測量が可能となります。危険な場所での作業を減らし、かつランニングコストも抑えられるので、みちびきとドローンはとても相性がいいと言えます」とみちびきへの期待を示しました。

周囲の環境に依存した劣化原因を具体的に特定する

── コア・髙橋健吾氏

コアの髙橋氏

コアの髙橋氏

続いて登場したコアの髙橋健吾氏は、「現場環境におけるGNSS受信機システムの精度評価及び導入に当たっての利用環境の課題分析サービス」について講演しました。
同社の「GNSS評価分析サービス」では、GNSSの精度劣化の要因として、街路樹や建物などの遮蔽物による影響や電波干渉などを挙げた上で、GNSS導入前に使用する現場の環境で事前検証を行い、その解析結果をもとにシステム導入後の改善策を提案し、顧客の課題を解決します。

測位精度の劣化要因

測位精度の劣化要因(当日の講演資料から。提供:株式会社コア)

たとえば測位地点のすぐ近くに建物の壁がある場合は、マルチパスを含む信号を除去するために、受信機の設定において、使用する衛星の仰角を制限する設定(仰角マスク)や、信号強度に応じて使用する衛星を制限する設定(信号強度マスク)を適切な値にすることで最適な結果が得られます。ユーザーが実際に使用する環境で評価試験を実施して、現場での測位精度や、周囲環境に依存した劣化原因を具体的に特定するやり方です。

髙橋氏は、「一見すると空が開けて問題なさそうに見える場所でも、天球カメラの映像と実際の衛星配置を重ねて見ると、実は多くの衛星が建物によって隠れていることが分かることがあります」と、その効果を説明しました。

その上で髙橋氏は、同社が取り扱う受信機として、みちびきのCLASやMADOCAに対応した「Chronosphere-L6」や「Chronosphere-L6S」、今年6月発売のサブメータ級測位補強サービス(SLAS)対応の「QZNEO」や、8月に発売したばかりの小型かつ軽量なCLAS対応受信機「Chronosphere-L6II」などを紹介しました。

関連ページ

GNSSの普及には「分かりやすさ」が重要

── セプテントリオ ヤン・デターク氏

ヤン・デターク氏

ヤン・デターク氏

最後に、セプテントリオ(Septentrio)の日本法人でカントリーマネージャーを務めるヤン・デターク(Jan De Turck)氏が登場し、「セプテントリオの技術と製品のオーバービュー」と題して、同社の技術と製品について語りました。

セプテントリオは2000年にベルギーの半導体研究機関「IMEC」から独立して設立したGNSS受信機メーカーで、ベルギーや米国、中国、日本、韓国、フィンランドなどに拠点を持っています。現在はIMEC及び欧州宇宙機関(ESA)とパートナー関係を築いており、2019年におけるGNSS受信機の出荷実績は約16,000台で、そのうち約8割がOEMボードとなっています。

これらの製品は、いずれも電波障害の緩和や電離層の遅延、マルチパスの緩和、機械振動の抑制などGNSSの誤差を抑制するアルゴリズムを搭載しています。同社は、高精度測位に対応したGNSSの普及には「分かりやすさ」が重要であると考えており、多くのソフトウェアツールを提供しています。

ヤン・デターク氏は、「セプテントリオは横展開するGNSSソリューション会社であり、筐体型受信機を数千ドルで供給する一方で、OEMとして数百ドルのモジュールも提供します。また、自動車などのマスマーケットに対してチップセットのみの販売も行います。GNSSソリューションは受信機のハードウェアだけでなく、ソフトウェアのユーティリティーやパートナー会社のサポートも非常に重要と考えています」と語りました。

同社の中核となるAsteRx/Altusシリーズ

同社の中核となるAsteRx/Altusシリーズ(当日の講演資料から。提供:Septentrio N.V.)

関連ページ

(取材/文:片岡義明・フリーランスライター)

参照サイト

※ヘッダの画像はイメージです。