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清水建設、地下埋設物を「見える化」するシステムを開発

2016年04月06日

大手ゼネコンの清水建設株式会社は、地下掘削工事を安全・確実に行うため、GNSS受信機を使って位置情報を把握し、上下水道管やガス管など既設のライフラインをタブレットで可視化するシステムを開発しました。

従来この確認作業は、地下埋設物の位置情報が記された図面を見ながら進められていました。しかし埋設物は当然ながら直接視認できないため、見落としなどのミスの可能性が残り、確実に作業を行おうとすれば時間がかかるなど、正確性・効率性の向上が課題となっていました。

図面を現地の画像にオーバーレイ表示

地下埋蔵物の可視化イメージ

地下埋設物の可視化イメージ(清水建設株式会社のニュースリリースより)

今回、同社が開発したシステムは、GNSS受信機を使って位置情報を把握し、クラウドデータベースから取得した地下埋設物図面を、タブレットのカメラで撮った現地の風景画像にオーバーレイ(重ね合わせ)表示するものです。具体的な確認作業は以下のように進みます。

1)タブレット端末とGNSSアンテナ・受信機を携行し現場到着。
2)周辺に存在する地下埋設物のリストがタブレット端末に自動表示。
3)確認したい埋設物を選択すると当該図面が表示される。
4)タブレット端末のカメラを地表面に向けると、埋設物がオーバーレイ表示される。

AR(Augmented Reality、拡張現実)技術を活用したこのシステムは、タブレット端末を保持する角度に合わせ、地下の既設埋設物が自動的に追随し表示されます。清水建設では、使い勝手が良く、誰にでも手軽に利用できるシステムであるとしています。

RTK法でセンチメートルの精度を実現

また、GNSSを利用した測位システムは、現場に設けた基準局と、操作担当者が携行する移動局の2局を使うRTK法(Realtime Kinematic、リアルタイムキネマティック)により、センチメートルオーダーの精度を実現しており、複数の現場で基準局を共有することも可能です。

システムの開発に当たっては清水建設のほか、株式会社菱友システムズがシステム設計・構築を担当、茨城工業高等専門学校の岡本修准教授が測位システムの構築に関する指導・情報提供を行いました。清水建設では現在、同社が施工中の開削工事現場で試験運用を進めており、今後は全国の地下掘削現場に展開していく予定だとしています。

※ヘッダの画像は、イメージです。本文画像提供:清水建設株式会社

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