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ソフトバンク、気球とドローンの無線中継システムの実証実験結果を公開

2017年07月07日

スマートフォンや携帯電話に内蔵されている衛星測位機能は、現在地を確認するのに有効ですが、雪山登山やバックカントリースキーにおいて、雪崩などによって遭難者の端末が雪に埋もれたりした場合、携帯電話の電波が使えず、GPSで取得した位置情報を送信できなくなるという課題があります。
ソフトバンク株式会社は、このような遭難事故において、遭難者を迅速に救助することを目的とした実証実験を昨年(2016年)12月に北海道虻田(あぶた)郡倶知安(くっちゃん)町のスキー場において実施しました。

係留気球とドローンで携帯電話の電波を中継

気球とドローンの無線中継システムを使った実証実験の様子

気球とドローンの無線中継システムを使った実証実験の様子

この実証実験では、携帯電話・スマートフォンが雪の中に埋もれた状況において、高度約100mに浮揚させた係留気球無線中継システムとドローン無線中継システムを用いました。

遭難者の位置情報は、遭難者が持つ携帯電話・スマートフォンに搭載されているGPSで取得します。その位置情報を係留気球やドローンに搭載した無線中継局を通じて、携帯電話の電波によって携帯基地局に送り、インターネット上の位置情報特定サーバーに送信します。これにより、PCなどから位置情報特定サーバーにアクセスすることで、遭難者の位置情報を知ることができます。

臨時無線中継システムの概要

臨時無線中継システムの概要

臨時無線中継システムを係留気球やドローンに搭載することで、中継局と端末との通信距離を大幅に短くすることが可能となり、雪に埋もれた端末の真上方向から電波を送信することで、電波を雪の中に深く届かせることができます。実験では、約4mの深さに埋もれた携帯電話・スマートフォンの位置を特定できることが確認されました。

状況に応じて係留気球とドローンを使い分け

臨時無線中継システムを搭載する飛行体として、係留気球とドローンを併用しているのは、それぞれに得手不得手があるためです。

運用スタッフが現地に到着してから運用開始するまでにかかる時間は、ドローン無線中継システムの場合は20分以内、係留気球無線中継システムでは2~3時間です。ドローンは搭載するバッテリー容量の関係で短時間の運用に限定されますが、機動性があるため、遭難者の救出を優先する場合に有効です。

一方、係留気球無線中継システムは悪天候に対して十分な耐性があり、長期間の運用が可能なことから、捜索を優先する場合に有効となります。今回の実証実験では、その時々の状況に応じて、2つを使い分けることを想定しています。

雪に埋もれた携帯・スマホの位置特定に非常に有効

同社は今回の実験について、技術的検証を交えて調査検討を行った結果、係留気球無線中継システムやドローン無線中継システムが雪の中に埋もれた遭難者の携帯電話・スマートフォンの位置特定に非常に有効であることが分かり、これらの方策を調査結果としてまとめました。調査結果の詳細は、総務省のウェブサイトで公開されています。

なお、この実証実験は、ソフトバンクが総務省北海道総合通信局から昨年(2016年)8月に受託した「携帯・スマホ等を活用した遭難者の位置特定に関する調査検討の請負」事業の取り組みとして実施したものです。
ソフトバンクの係留気球無線中継システムは、災害などで通信障害が発生しているサービスエリアを迅速に回復させることを目的に、2013年から全国の主要拠点に配備されています。同社は今回のプロジェクトにより、雪山などでの遭難者救助を目的とした気球無線中継システムや、ドローン無線中継システムの新たな活用方策を提案していく方針です。

参照サイト

※ヘッダの画像は、イメージです。本文画像提供:ソフトバンク株式会社

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