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[報告] ベンチャーカフェ東京でみちびきを紹介するピッチを開催

2023年04月24日

2023年4月6日、東京・港区の虎ノ門ヒルズビジネスタワーにあるCIC Tokyoにて、Venture Cafe Tokyo(ベンチャー・カフェ東京)によるイベント「Thursday Gathering」が開催されました。内閣府はこのイベントにおいて、「みちびきが導くミライ~測位衛星『みちびき』が拓くサービス開発の可能性~」と題して、みちびきの基本概念や特徴を紹介すると共に、参加した株式会社KISと株式会社エイトノットの2社が、みちびきの高精度測位を活用した事例をそれぞれ発表しました。

会場の様子

なお、ベンチャー・カフェ東京は、起業家や投資家、研究者、学生など多様なイノベーターが集まって繋がり、イノベーションを生み出すためのコミュニティで、Thursday Gatheringは、ここで毎週木曜に開催されている主力プログラムです。今回のイベントの模様は30-40名程度が参加した現地会場のほか、オンライン配信された映像を約70名の方が視聴しました。

内閣府がみちびきの基本概念や特徴を紹介

境室長補佐と齊田技術参与

内閣府の境室長補佐(左)と齊田技術参与(右)

内閣府からは宇宙開発戦略推進事務局 準天頂衛星システム戦略室の境あさぎ室長補佐と齊田優一技術参与が参加し、齊田技術参与が司会を務めると共に、境室長補佐が冒頭でみちびきの基本概念や特徴を説明しました。境室長補佐は、みちびきで実現できることとして「安定した測位」「精度の高い測位」「災害時にも活躍」「海外でも使用可能」「利用料が無料」といったキーワードで特長を紹介し、近年は小型で安価なみちびき対応受信機が増え、以前よりも事業に導入しやすい環境が整ってきていると状況を解説しました。

内閣府による説明の様子

SLASを使って水道メーターの位置情報を整備

KISの西村氏

KISの西村氏

続いてKISの西村泰徳氏(公共・クラウドソリューション事業部 水道ソリューション部 部長)が、自社で行っているみちびきのSLAS(サブメータ級測位補強サービス)を活用して水道メーターの位置情報を整備する取り組みを紹介しました。水道事業関連のシステム開発を手がけるKISは、2019年に改正水道法が施行され、2022年9月から水道施設台帳の整備が義務化されたことを受けて、SLASに対応した腕時計型デバイスと検針用スマートデバイスを連携させ、検針と同時に水道メーターの高精度な位置情報を取得して登録するシステムを開発しました。
西村氏は、みちびきを活用することで位置情報整備にかかる費用が低減し、検針作業の引き継ぎを効率化できると共に、水道メーターの取り替え業者へメーターの位置を説明する負荷も低減できると語りました。また、今後への期待として、災害時に漏水の全戸調査や、水道事業者間での広域連携に役立てられる点なども挙げました。

自社の取り組みを説明する西村氏

自社の取り組みを説明する西村氏(中央)

軒下などGNSSの電波を受けづらい場所にあることが多い水道メーターの位置情報を取得する際の測位精度を訊かれた西村氏は、実際に作業している水道事業者の声として「メーター位置を探す用途であれば、精度は3mもあれば十分」とした上で、「今後みちびきの精度が向上すれば、定期的な更新の中で精度向上を図っていきたい」と回答しました。

CLASを活用した自律航行水上EVタクシー

エイトノットの木村氏

エイトノットの木村氏

次にエイトノットの木村裕人氏(代表取締役CEO)が、自社で開発した小型船舶向け自律航行プラットフォーム「エイトノット AI CAPTAIN」を紹介しました。これは、タブレットを使って地図上で目的地を指定するだけでルートを自動設定し、目的地までの自律航行を可能にするシステムで、障害物の自動回避や遠隔モニタリングなどの機能も搭載しています。
今年(2023年)1月には、全国初の自律航行水上EVタクシーとして、AI CAPTAINを搭載した自律航行小型EV船「エイトノットワン」が広島市において運行されました。エイトノットワンにはみちびきのCLAS(センチメータ級測位補強サービス)に対応した受信機が搭載され、高精度測位により離岸から着岸まで自動で行うことが可能です。木村氏は、高精度な位置情報の用途として「正確な船首の方位把握」「避航・回避時の精度向上」「安全な離岸・着岸の実現」の3点を挙げ、高精度測位は自律航行を支える屋台骨であり、安全な自律航行の実現には欠かせないと語りました。

講演後の質疑応答で木村氏は、「船舶・海洋のマーケットは海外のほうが圧倒的に大きく、海外と日本のマーケットを上手くつなげて両軸で回していくことで、日本における(海上交通の)規制緩和も進むのではないか」と事業展開の考え方について話しました。
また、エイトノットワンの乗り心地を質問されて、プロの旅客船事業者から「(乗り心地は)普通です」と感想をもらったエピソードを紹介し、「人が操船しているのかコンピュータで制御しているのか分からない」と解釈すれば、最上の褒め言葉になると説明し、会場を沸かせました。

みちびき実証公募への応募を呼びかけ

2社のプレゼン後、イベントの最後に内閣府の境室長補佐が、今年度行われる「みちびきを利用した実証事業」公募について説明し、「みちびきを活用する仲間を増やして一緒に新しいビジネスを広げていきたい」として、来場者に積極的な応募を呼びかけました。
「みちびきを利用した実証事業」公募の詳細は、以下にてご確認ください。

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