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第3回「宇宙×G空間ワークショップ」(東京)[結果レポート]

2016年04月15日

内閣府宇宙戦略室(4月より宇宙開発戦略推進事務局に名称変更)は3月24日、「宇宙×G空間ワークショップ(つながる防災対策、スマート林業等)」を東京都内で開催しました。和歌山(第1回)、福岡(第2回)に続く、第3回目となるワークショップです。過去2回と同様、冒頭の第1部で、内閣府宇宙戦略室の守山宏道参事官が開会挨拶と準天頂衛星システムの概要説明を行いました。

内閣府宇宙戦略室・守山宏道参事官

「防災」に関するプレゼンとパネルディスカッション

株式会社野村総合研究所・妹尾昌俊氏

第2部では、冒頭、株式会社野村総合研究所の妹尾昌俊氏がこれまでの和歌山と福岡での会議概要を紹介しました。

続いて準天頂衛星等の宇宙インフラを利用した防災への取り組みについて、青山学院大学地球社会共生学部の古橋大地氏(教授)と一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)の坂下哲也氏(常務理事・電子情報利活用研究部 部長)の2氏がプレゼンテーションを行いました。

青山学院大学地球社会共生学部・古橋大地氏(教授)

青山学院大学の古橋氏は「防災×ドローン ~大規模災害時にドローンができること~」と題し、災害発生時のドローン活用の効果と今後の計画などを解説しました。

一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)・坂下哲也氏(常務理事・電子情報利活用研究部 部長)

JIPDECの坂下氏は「準天頂衛星システムへの期待」と題し、準天頂衛星によって実現するサービスや波及効果、災害時の避難誘導システム構築といった点への期待を語りました。

パネルディスカッションの様子

その後、古橋氏、坂下氏に、宇宙航空研究開発機構(JAXA)衛星利用運用センターの内藤一郎氏(センター長)、和歌山県総務部危機管理局防災企画課の中内啓文氏(情報班長)、株式会社電通CDCの嶋田敬一郎氏(事業開発ディレクター)、内閣府宇宙戦略室の佐藤琢氏が加わり、京都大学防災研究所の畑山満則氏(准教授)による司会・とりまとめでパネルディスカッションが行われました。

まず、各パネラーが防災への取り組みや課題について語りました。

(左から)内藤氏、中内氏、嶋田氏、佐藤氏

(左から)内藤氏、中内氏、嶋田氏、佐藤氏

JAXAの内藤氏は、防災に対する取り組みとして陸域観測技術衛星「だいち2号」(ALOS-2)による災害地観測の計画や実例を紹介し、衛星のデータを自治体など必要なユーザーにどのように渡すかが課題と述べました。
和歌山県の中内氏は、スマートデバイスによる情報収集で「津波被害者ゼロ」を目指す計画を進めていることなどを紹介しました。
電通の嶋田氏は、全国の避難所データを集めたデータベースを紹介すると共に、避難所データは各自治体共通フォーマットでオープンデータとして整備されたほうがよいと語りました。
内閣府の佐藤琢氏は、災害発生時の避難所情報を収集するための民間活用が課題だとしました。

京都大学防災研究所・畑山満則氏(准教授)

その後、京都大学の畑山氏による司会・とりまとめで、防災情報の鮮度と精度について各パネラーが意見を交わしました。

つながる防災対策の実現に向けたアクションプログラムとして以下の5点を提示し、パネルディスカッションを終えました。

1)防災・減災に不可欠なサービスの連携
2)準天頂衛星、リモートセンシング、IoT、ビッグデータ等の組み合わせによるリアルタイムな情報把握の実現、これを通じた現場対応力の向上
3)平時とのデュアルユースを進める全国的なモデルの構築を通じた防災対策の持続性の向上
4)地方公共団体等における衛星インフラや地理空間情報技術の“使える化”、部門横断的に情報を収集・活用できる人材の育成
5)データの標準化・二次利用の促進を図るルールと体制の構築

パネルディスカッション時の会場風景

「林業」に関するプレゼンとパネルディスカッション

野村総合研究所・山本史門氏

第3部は、野村総合研究所の山本史門氏による、和歌山、福岡会場の会議概要の報告から始まりました。

鹿児島大学農学部・寺岡行雄氏(教授)

続いてパネルでの議論に向け、鹿児島大学農学部の寺岡行雄氏(教授)が「ICTとG空間情報を活用して新しい林業を作る」と題したプレゼンテーションを行い、林業の現状や木材トレーサビリティの必要性などを論じました。

パネルディスカッションの様子

パネルディスカッションでは、第2部と同様に各パネラーが取り組みや課題を語りました。

(左から)岡田氏、会田氏、中村氏、野村氏、蒲谷氏

(左から)岡田氏、会田氏、中村氏、野村氏、蒲谷氏

まず、住友林業株式会社資源環境本部山林部の岡田広行氏(大阪事業所長)が、真庭市における森林・林業活性化を目的としたシステム構築の実例を紹介しました。
株式会社アドイン研究所システム開発部の会田拓己氏(主任研究員)は、同社が開発した森林を3次元で計測するシステム「OWL」を紹介しました。
株式会社ウッドインフォの中村裕幸氏(代表取締役)は、ICTを活用して木材流通を活性化する取り組みについて、岩手県における木材のウェブ入札の事例等を紹介しました。
次いで株式会社ワイス・ワイス経営管理部広報課の野村由多加氏が、利用者に近い立場である木製家具の製造販売という側面から林業の課題を述べました。
フューチャーアグリ株式会社の蒲谷直樹氏(代表取締役)は、小型ロボットの農業への導入事例を紹介しました。

野村総合研究所・井上泰一氏(ICT担当部長)

パネルディスカッションの司会・とりまとめは、野村総合研究所の井上泰一氏(ICT担当部長)が行いました。井上氏は、農林業が現在抱えている課題・問題の原因を問いかけ、各パネラーはそれぞれの立場から関係者の意識などの問題を挙げ、問題解決に必要なICT(Information and Communication Technology、情報通信技術)を提案しました。

最後にスマート林業推進に向けたとりまとめとして、以下の5点を提示しました。
1)スマート林業人材の育成
2)林業従事者の安全性と作業効率の向上支援
3)林業関係者の意思決定、手続等を支援するオープンでクラウド化されたITプラットフォームの構築
4)トレーサビリティ・システム等のITによるバリューチェーン統合の推進
5)森林の今を知るデータの効率的整備

これに対し、第2部のパネルディスカッションをとりまとめた京都大学の畑山氏が「土砂災害と森林データベースをリンクさせることで防災につながる」と指摘したほか、鹿児島大学の寺岡氏も「関連する行政機関が連携・協力して推進することが必要」とコメントして、ワークショップは終了しました。

パネルディスカッション時の会場風景

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