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和歌山県海南市で「Q-ANPI」実証実験を実施 [結果レポート]

2016年07月08日

7月3日、南海トラフ地震に伴う津波災害を想定した大規模な訓練が和歌山県全域で行われました。内閣府は、和歌山県、海南市、そして同市下津町塩津地区の自主防災組織「塩津区防災会」の協力を得て、同地区の二次避難所となった塩津小学校で衛星安否確認サービス「Q-ANPI」の実証実験を行いました。

海南市下津町塩津の漁港

漁港にのぞむ急な斜面

同地区は、漁港にのぞむ急な斜面に民家が密集する、風光明媚で歴史のある港町です。地区人口は500名あまり、うち65歳以上の高齢者が約42%を占めています。2003年に設立された塩津区防災会は、毎年の防災訓練でテーマ設定と検証を行い、地域の防災力を高める取り組みを継続しています。「自分たちでできることはすべてやる」を合言葉に、柔軟な発想で、地域一体となり力を合わせて、これまで地域を守るための各種防災活動に取り組んできた高い防災意識が背景となって、今回の「Q-ANPI」の実証実験に協力をいただくことになりました。

海南市の防災行政無線

携帯電話の緊急速報メール(エリアメール)

避難訓練では海南市の防災行政無線を通じて、午前8時50分の予令に続き9時ちょうどに「大津波警報が発表されました。海岸付近の方は高台に避難してください」とのアナウンスが流れました。同時に携帯電話の緊急速報メール(エリアメール)でも大津波警報が伝えられました。

一次避難所の極楽寺

避難する住民

一次避難所となっている極楽寺(海抜26m)の境内に地元住民が集まり始める中、9時32分には防災行政無線で「津波来襲! 緊急避難!」とトーンを上げたアナウンスが行われ、さらに高台にある二次避難所の塩津小学校(海抜46m)に住民が移動を開始しました。

塩津小学校への階段を上る

塩津小学校の体育館

発災直後に一番知りたいのは「避難所の状況」

災害時に必要とされる情報や物資は災害のフェーズと共に変わってきますが、発災直後の段階で、遠方で暮らす家族にとってもっとも知りたい情報は「家族が無事に避難ができたか、できたならどの避難所にいるのか」という点です。また、自治体の防災担当者も、災害に際して避難所開設が上手くいったか、その規模がいかほどであるかは、その後の運営に関わることだけに、できるだけ早く把握したい情報です。

地上の交通網や通信回線が寸断されるような事態に、衛星を経由する情報ネットワークは大きく貢献します。準天頂衛星システムのうち、静止軌道に投入される衛星がこの役割を担い、衛星安否確認サービス「Q-ANPI」の主要部分を構成することになります。

衛星安否確認サービス「Q-ANPI」

登録する避難者

小学校の体育館で、携帯電話や端末に情報入力

塩津小学校の体育館にはサーバー用PCや入力用タブレット、Wi-Fiルーターなどからなる情報入力用のシステムが用意されました(今回の実験では、伝送路をインターネット回線で代用)。午前10時過ぎ、二次避難所に集まった住民に実験の意義とシステムの概要が伝えられた後、自身のスマートフォンや携帯電話、実験用に用意したタブレット端末などで情報入力が始まりました。

体育館に用意された情報入力用のシステム

手順を説明するスタッフ

インストラクターが入力用URLを示すQRコードが印刷された用紙を示してアドバイスを行いながら、氏名・住所・年齢・電話番号や介助の有無など、各自の情報を打ち込んで行きます。

体育館に避難した住民

スタッフが回り、手順を説明

タブレットやスマートフォンによるWi-Fi経由の入力と、手書きリストからの入力データは避難所のPCサーバーに直接登録されました。一方、携帯電話からの入力分はインターネット上のサーバーを経由して、避難所のPCサーバーに集約されました。

海南市の神出政巳市長

避難所のPCサーバー

海南市の神出政巳市長が視察に訪れ、担当者から状況報告を受けた上で、「地区の6割を超える人々が参加した」点にねぎらいの言葉をかけ、継続的な防災訓練の重要性を呼びかけました。また、日本電気株式会社(NEC)準天頂衛星利用推進室の細井俊克室長は、1時間あまりで83名の入力が終了したことを報告。参加への謝辞と共に、「今回得られた教訓を生かし、システムの一層のブラッシュアップを図りたい」と挨拶しました。

塩津地区区長の脇所武夫氏

訓練終了後のミーティング

また避難所運営本部の本部長として当日の訓練の指揮に当たった塩津地区区長の脇所武夫氏は「常日頃から訓練を続け、自転車の乗り方を覚えるように、"避難行動を身体で覚える"ことが大事。今日の訓練もこれまでと同様、地区の財産となるはず。また次回は"夜間"の避難訓練に取り組みたい」と挨拶し、訓練は終了しました。

津波避難場所を示す地図

急な斜面につくられた階段の道

当日の和歌山地方気象台の最高気温は34.3℃。酷暑の中で行われた訓練と実証実験は貴重な教訓を残し無事終了しました。ご協力いただいた関係者の皆さまに改めて感謝の意を表します。

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