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和歌山県と高知県で、世界初のQ-ANPI実証実験を実施

2017年11月16日

国際連合が制定した「世界津波の日」に当たる11月5日、全国各地で地震および津波の避難訓練が行われました。内閣府は、南海トラフ地震が発生した場合の被害に備える和歌山県広川町と高知県芸西村の2カ所において、8月に打ち上げたみちびき3号機の衛星安否確認サービス「Q-ANPI」を使用した、避難者の個人安否情報や避難所情報の収集・衛星通信の実証実験を、準天頂衛星システムサービス株式会社と共に実施しました。
Q-ANPIの実証実験はこれまで伝送路を地上のインターネット回線で代用してきましたが、今回はみちびき3号機のメッセージ通信機能を使って、実際に避難所情報などを送信しました。測位衛星のメッセージ通信機能を使った安否確認の実験は、世界初となるものです。

1)芸西村(高知県)での実証実験

芸西村

芸西村

芸西村は高知県東部に位置する海沿いの村で、年間を通して温暖な気候に恵まれ、ピーマンやナスなど豊富な特産物を持つ県内屈指の園芸農村です。人口4千人足らずのこの村は、これまでさまざまな防災活動に取り組んできました。

芸西村民体育館

芸西村民体育館

集まった参加者

集まった参加者

避難訓練では、朝9時に村内で防災行政無線を通じて訓練放送が行われると同時に、緊急速報メール(エリアメール)にて大津波警報が発令されました。避難所である芸西村民体育館には、実証実験用に開発されたQ-ANPI通信端末と専用アンテナ、そしてサーバー用パソコンや入力用タブレット端末などの情報入力用システムが用意されました。

Q-ANPI通信端末(プロトタイプ)

Q-ANPI通信端末(プロトタイプ)

専用アンテナ(プロトタイプ)

専用アンテナ(プロトタイプ)

サーバー用のパソコン

サーバー用のパソコン

入力用タブレット

入力用タブレット

9時50分に、避難所へ集まった住民に実験の意義とシステムの概要が伝えられ、用意されたタブレット端末を使って情報入力が始まりました。スタッフの説明を聞きながら、参加者が自ら氏名・年齢・電話番号などの情報を入力します。

スタッフによる説明

スタッフによる説明

参加者が自ら情報を入力

参加者が自ら情報を入力

入力を終えると2次元バーコードが表示され、それをスマートフォンやタブレットを使って読み取り、Wi-Fi経由で会場内に設置されたサーバーに情報が登録されます。登録情報はQ-ANPI端末を通じてみちびき3号機へと送信され、茨城県常陸太田市と兵庫県神戸市にあるみちびきの管制局が受信します。そこからさらに配信用ウェブサイトへ情報が集約され、避難所で登録した避難者の安否情報をウェブサイトで閲覧可能となります。

2次元バーコードの読み取り

2次元バーコードの読み取り

2次元バーコードの読み取り

この日は計74名が登録され、地図上に表示されました。実証実験を終えた芸西村の溝渕孝村長は、「タブレット操作に不慣れな人もいるので、音声案内などでより使いやすくすれば、Q-ANPIをもっと活かせると思います」とみちびきへの期待を語りました。

地図上に登録件数を表示

地図上に登録件数を表示

芸西村の溝渕村長

芸西村の溝渕村長

2)広川町(和歌山県)での実証実験

「稲むらの火」を再現した銅像

「稲むらの火」を再現した銅像

「世界津波の日」は、和歌山県広川町の「稲むらの火」の故事にちなみ2015年12月に国連総会で制定されたものです。内閣府は、県や地元自治体の協力のもと、以前から広川町でQ-ANPIの実証実験を実施してきました。

列車を降りて避難する乗客

列車を降りて避難する乗客

この日、JR西日本は、きのくに線(紀勢本線のJR西日本区間)を走る4両編成の列車を広川町内で緊急停車させ、車両から安全に乗客を降車・誘導する津波避難訓練を行いました。列車には、地元の小学生や和歌山市で開催された鉄道津波対策サミットに参加した全国の鉄道関係者などを含む約400名が乗車。9時46分に広川町内の八幡踏切の約100m手前で緊急停車すると、はしごなどを使って線路に降り、線路伝いに歩いて避難した乗客は、踏切のバーをくぐり、約400m離れた避難所の広八幡神社まで走りました。

踏切のバーをくぐる小学生

踏切のバーをくぐる小学生

避難所の広八幡神社まで走る

避難所の広八幡神社まで走る

参加した小学生らは、神社の境内で訓練の講評を受けました。説明に立った広八幡神社宮司の佐々木公平氏は「高い場所に避難する必要があるのは知っていると思いますが、川から離れるのも大事です。山あいに『三船谷』という地名があります。昔、津波が川をさかのぼり、そこまで船を押し上げたから地名として残ったのです。こういうことも記憶にとどめておいてください」と呼びかけました。

境内で訓練の講評を受ける

境内で訓練の講評を受ける

広八幡神社の佐々木宮司

広八幡神社の佐々木宮司

JR西日本の避難訓練に参加(または視察)した鉄道関係者の約40名と広川町立南広小学校の6年生ら約20名がQ-ANPIの実証実験に参加しました。和歌山県の片家康裕氏(総務部危機管理局防災企画課課長補佐)は小学生にQ-ANPIの概要を説明。さらに今回の実証実験が測位衛星を経由する世界で最初の安否確認の実験であることや、実際の災害時には「タブレットやスマートフォンに慣れている皆さんたちが大人に教えてあげるのも、実際の避難所では大事な仕事になります」と呼びかけました。

参加者に説明する片家氏

参加者に説明する片家氏

タブレット端末を操作

タブレット端末を操作

続いて国連訓練調査研究所(UNITAR)広島事務所が実施する「津波防災に関わる女性のリーダーシップ研修」で来日中の17カ国33名の研修生も、実証実験の会場を訪れました。首都大学東京 産業技術大学院大学の嶋津恵子教授が、みちびきを日本が整備する意図や意義などを解説。研修生たちはQ-ANPIの入力操作などの説明を受け、研修生も情報入力を行いました。

産業技術大学院大学の嶋津教授(右端)

産業技術大学院大学の嶋津教授(右端)

Q-ANPIの説明を受ける研修生たち

Q-ANPIの説明を受ける研修生たち

この日、広八幡神社では合計90名の情報を入力・集約し、Q-ANPI通信端末と専用アンテナを使ってみちびき3号機に向けて送信しました。

専用アンテナ(プロトタイプ)

専用アンテナ(プロトタイプ)

Q-ANPI通信端末(プロトタイプ)

Q-ANPI通信端末(プロトタイプ)

3)「避難情報標識」の実証実験

QZ1からタブレットに転送(広川町)

QZ1からタブレットに転送(広川町)

当日、和歌山と高知の両会場では、Q-ANPIの実証実験だけでなく、みちびきの災害・危機管理通報サービス「災危通報」の情報を受信して電光掲示板と音声で知らせる「避難情報標識」の実証実験も行いました。みちびきが送信したL1S信号を、小型の受信端末(QZ1)で受信し、デモ用の装置にメッセージを表示しました。

避難情報標識(広川町)

和歌山県広川町

避難情報標識(芸西村)

高知県芸西村

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