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[報告] 第12回「GPS・QZSSロボットカーコンテスト2018」開催

2018年12月10日

一般社団法人測位航法学会が主催する「GPS・QZSSロボットカーコンテスト2018」(共催・一般財団法人衛星測位利用推進センター/公益社団法人日本航海学会 GPS/GNSS研究会/準天頂衛星システムサービス株式会社)が11月11日、東京海洋大学越中島キャンパス(東京・江東区)で開催されました。第12回目を迎えるこのコンテストは、衛星測位に関わる人材の育成と技術レベル向上などを目的に毎年秋に行われており、昨年は台風の影響により屋外での競技は実施されませんでしたが、今年は秋晴れのグラウンドに出走16チームが集まりました。

会場に勢ぞろいした参加チームとロボットカー

会場に勢ぞろいした参加チームとロボットカー

冒頭から過去最高記録の更新が続く

今大会で実施された競技「ダブルパイロン+(プラス)」は、衛星測位をしながら自律走行するロボットカーが、指定された2つのウェイポイント(Waypoint)間を8の字走行し、所定時間内の周回数を競うものです。車両自体の性能はもちろん、スピードと正確さを両立させるロボットカーの制御アルゴリズムも勝負の分かれ目となります。

ウェイポイントの回り方

ウェイポイントの回り方(大会公式サイトより)

出場者は当日会場で発表された座標値をロボットカーに設定し、自律走行をスタートさせます。ウェイポイントの周回数だけでなく、「周回後の停止位置がスタート地点であるセンターサークル内であるか」でポイントが加算されます。今年のレースはハイレベルで、冒頭から過去最高記録の更新が続きました。

開会式の様子

開会式の様子

競技に参加したロボットカー

出場者は、希望すればみちびき対応受信機QZ1が貸与され、キャンパス内のRTK基地局データのWi-Fi配信が受けられる。GNSS受信機以外で認められているのはジャイロセンサー・地磁気センサーのみ

2会場の座標値

今年は会場を2面使っており、各会場の座標値(緯度・経度)は小数点以下の値が異なっている

会場を沸かせた個性的なロボットカーたち

今回優勝したのは、くるくる走り隊の「くるくる1号車」で、GNSS受信機にSkyTraq Venus838FLPxを使用し、単独測位ながらムダのないコース取りで最高記録を更新しました。準優勝は同点で2チームあり、そのうちTDU_Craft.Lab(東京電機大学)の「KingWheel」は、測位方式がRTKで、GNSS受信機はEmlid Reach。スピーディーな走りと新記録更新で場内を沸かせました。もう一つは元茨城工業高等専門学校のチームで、そのロボットカー「カンバ」は、GNSS受信機にu-blox NEO-M8Pを使用し、測位方式はRTK。8の字走行で南側のパイロンを大回りする「みちびきリスペクト」のコースを取りながら高得点を記録しました。

優勝及び準優勝の3チーム

左からKingWheel(準優勝)、くるくる1号車(優勝)、カンバ(準優勝)

他の出場チームのロボットカーをいくつか紹介しましょう。

茨城高専の「北斗」

茨城高専「北斗」:最新の2周波アンテナと2周波受信チップZED-F9Pを使用

東京海洋大DenshiLABの「海洋丸」

東京海洋大DenshiLAB「海洋丸」:GNSSコンパスとしてアンテナとNEO-M8P受信機を2セット搭載

Mlab_aの「Trial M1」

Mlab_a「Trial M1」:何度もパイロンに激突し、その正確なコース取りで場内を沸かせた

サレジオ高専の「DPK」

サレジオ高専「DPK」:制御機器を食品用タッパーに収めるここ数年のトレンドを踏襲

会場では、ロボットカーを囲み、出場者や関係者が制作の工夫や苦労などを情報交換する様子がそこかしこで見られました。

ロボットカーを囲んで情報交換

ロボットカーを囲んで情報交換

ロボットカーを囲んで情報交換

大会公式サイトには、大会要項や過去年分も含めた競技結果などの情報が掲載されています。

(取材/文:喜多充成・科学技術ライター)

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