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[報告] S-NET第1回分科会(熊本)

2017年02月15日

内閣府宇宙開発戦略推進事務局では、「宇宙」をキーワードに、新産業・サービス創出に関心をもつ企業・個人・団体等が参加するネットワーキング組織として「スペース・ニューエコノミー創造ネットワーク(S-NET)」を2015年度に創設しました。今年度は、社会課題と宇宙技術に関わる5つの分科会を立ち上げ、その第1回目が2016年12月21日、熊本で開催されました。ここでは宇宙×地域新産業創出をテーマに、地域の課題解決と宇宙開発利用の両立を目指しました。

▽イントロダクション

[開会挨拶] 民間事業者の宇宙利用を積極的に支援したい

内閣府の佐伯氏

内閣府の佐伯氏

冒頭、内閣府宇宙開発戦略推進事務局の佐伯浩治審議官は、宇宙二法の成立を受けて、政府として民間企業による宇宙ビジネス創出を積極的に支援していきたいと、また、本分科会では「観光」「林業」を切り口に、震災からの早期復興に寄与するような活発な議論を行い、具体的な新産業・サービスの創出につながる場になることを期待したいと挨拶しました。

[来賓挨拶] 宇宙関連の新サービス・新産業の誕生に期待

熊本県の三輪氏

熊本県の三輪氏

次に来賓として、熊本県商工観光労働部新産業振興局の三輪孝之産業支援課長が蒲島・熊本県知事のメッセージを代読しました。蒲島知事からは、震災からの復興に向けた決意と、今回の分科会を機に熊本県内において宇宙に関連した新サービス・新産業が生まれてくることを期待したいとメッセージをいただきました。

▽宇宙×観光業

[講演1] 星空の感動を共有する次世代型天文台構想

南阿蘇ルナ天文台の宮本氏

南阿蘇ルナ天文台の宮本氏

最初に南阿蘇ルナ天文台の宮本孝志台長が、「熊本地震を乗り越えて<次世代型天文台構想>」と題して講演を行い、熊本地震の震災当日、停電で明かりの消えた南阿蘇村上空に広がる一面の星ぼしを見て、“宇宙を知る”体験の貴重さについて身をもって感じたと語りました。また、新たな文化の創造である次世代型天文台構想を披露し、星空をただ「見る」ものから、自ら観察に「参加」し感動を「共有」できるものにしたいと述べました。

[講演2] 南阿蘇村の復興に向け「力を合わせてやる」

デロイト トーマツの植田氏

デロイト トーマツの植田氏

続いてデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社の植田和典氏(熊本復興推進担当)が、同社が支援に取り組む南阿蘇村の観光事業者の復興について説明を行い、「これまでできなかったことを、力を合わせてやる」を合言葉に、活況を取り戻し九州随一の観光地に飛躍するため、震災した事業者同士が協同して取り組んでいると語りました。

[講演3] 人工流れ星には、観光客を呼び込める可能性

ALEの岡島氏(左)・大月氏(右)

ALEの岡島氏(左)・大月氏(右)

世界初の人工流れ星の作製に取り組む、株式会社ALE代表取締役の岡島礼奈氏と同社Chief Marketing Officerの大月信彦氏が、「未来のエンターテインメント 舞台は宇宙」と題して講演を行い、人工流れ星は極めて広大な地域で観察可能であり感動を「共有」することができると話し、地域に観光客を呼び込むポテンシャルがあると語りました。

[講演4] 新たな“おもてなし”としてのスマホアプリ

ソフトバンクの永瀬氏

ソフトバンクの永瀬氏

ソフトバンク株式会社 ITサービス開発本部 サービス推進統括部 新規事業準備室 観光立国・地域活性化推進担当の永瀬淳室長は、「準天頂衛星の測位情報を利用したニューツーリズム創造への挑戦」として、新しいおもてなしとしてのスマートフォンアプリについて講演を行い、高精度衛星測位情報を利用した箱根での拡張現実(AR)スタンプラリーを実施した例をもとに、いかに観光客の回遊を誘発し、国内外からの情報アクセスが増加したかを説明しました。

▽宇宙×林業

[講演5] 低コスト・高収入林業の実現を目指したい

鹿児島大学の寺岡氏

鹿児島大学の寺岡氏

続いてのテーマである「林業」において、まず、鹿児島大学の寺岡行雄教授が「林業の課題とスマート林業の取り組み」について講演を行い、国内には、利用可能な森林資源が豊富にあると指摘し、さらに、林業は地方において雇用を創出することが可能であると説明しました。林業従事者の高齢化が進む中、情報通信技術(ICT)とG空間情報の活用により、労働生産性を上げて低コスト・高収入林業の実現を目指したいと述べました。

[講演6] 衛星データを利用し、林業の競争力を高める

ウッドインフォの中村氏

ウッドインフォの中村氏

株式会社ウッドインフォ代表取締役の中村裕幸氏からは、「Web木材入札システム及び木材流通プラットフォームによるSCM改革」と題した講演の中で、ICTを活用した林業について説明がありました。同社のWeb木材入札システムを導入し1億円近くを売り上げた岩手県森林組合連合会の例や、同社の3Dレーザースキャナ技術による森林資源の把握が実現する、最適な木材流通プラットフォームの構築について説明し、高収益林業の可能性について語りました。最後に中村氏は、今後、投資マネーを林業に呼び込むために「森林証券化」を目指したいと締めくくりました。

パネルディスカッションで活発な議論

パスコの菊池氏(左)、内閣府の畑田氏(右)

パスコの菊池氏(左)、内閣府の畑田氏(右)

パネルディスカッションは、講演を行ったソフトバンク株式会社の永瀬氏、鹿児島大学の寺岡氏、株式会社ウッドインフォの中村氏に加えて、株式会社パスコの菊池譲主任技師と内閣府宇宙開発戦略推進事務局の畑田康二郎参事官補佐の5名によって行われました。モデレーターは、S-NET事務局であるデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社の辻祥明氏が務めました。

パネルディスカッションの冒頭において菊池氏からは森林クラウドの構築とリモートセンシングデータの利活用についての説明があり、畑田氏からは宇宙二法を受けた現在が歴史的な転換点となる可能性が語られました。スマート林業の実現に向けた宇宙技術利活用の可能性について議論が進められ、これを受けて「スマート林業によって、立木の正確な積算が可能になると有難い」「スマート林業による生産性向上が、自分たちの所得にどのように反映されるのか」等のコメントが、会場の林業従事者の方々から寄せられました。

パネルディスカッションの様子

パネルディスカッションの様子

▽エンディング

[スピーチ] S-NETと“宇宙ビジネスコート”の連携

宇宙システム開発利用推進機構の久能木氏

宇宙システム開発利用推進機構の久能木氏

一般財団法人宇宙システム開発利用推進機構の久能木慶治専務理事は、S-NETのネットワーキング機能と同機構の宇宙ビジネスコートによる事業化機能の連携によって、宇宙技術を用いた新サービスの提供につなげたいと述べました。

[閉会挨拶] S-NETの今後の活動に期待

内閣府の守山氏

内閣府の守山氏

最後に、内閣府宇宙開発戦略推進事務局の守山宏道参事官が、S-NETの今後の活動への期待について登壇者に質問を投げかけました。登壇者からは、S-NETへの参加で海外からの信頼性が増すことを期待したい、S-NETにおいて新規事業構想を現実化する支援をもらえれば有り難い、など意見が出ました。

参照サイト

「S-NET」分科会(2016年度)