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[報告] 第3回QSUS発表会(QZSS産学官利用拡大プラットフォーム会議)・懇親会

2015年03月30日

準天頂衛星システムサービス株式会社は、2015年3月18日に都内で第3回QSUS発表会(QZSS産学官利用拡大プラットフォーム会議)・懇親会を開催しました。その開催結果を報告いたします。発表者の皆さま、出席いただいた皆さま、ありがとうございました。

QSUS発表会(QZSS産学官利用拡大プラットフォーム会議)

QSUS発表会(QZSS産学官利用拡大プラットフォーム会議)は90名以上のQSUS会員の皆さまにお集まりいただきました。4名の方より実証実験結果と受信機を中心としたテーマで発表していただきました。

来賓挨拶

内閣府宇宙戦略室 松本暁洋企画官

発表会冒頭に内閣府宇宙戦略室の松本暁洋企画官が来賓として挨拶しました。

QSUS会員は現在550名を超えていること、本日の発表会・懇親会は100名ほどの事前登録があったことなどから、みちびきに対する皆さまの期待を感じていると述べました。

みちびきのシステム構築に係る動きとして、まずは4機体制での運用を2018年度から開始すべく、現在は衛星システム及び地上システムの開発整備を進めているとして、また、政府が新たに策定した宇宙基本計画では2015年度から衛星初号機の後継機の検討を始めること、2017年度からは7機体制に向けた残り3機の衛星の開発整備に着手し、2023年度を目標に7機体制の運用を開始する計画であると説明しました。

この発表会・懇親会を通じて、さまざまな分野において今後のみちびき利用がより広まっていくことを期待していると締め括りました。

QSUS会員の方による発表

科学警察研究所 原田 豊様

1番目は、科学警察研究所の原田豊氏が「ハイビジョン車載型ビデオカメラを活用した『みちびき』による測位精度の検討の試み」というタイトルで発表しました。

原田様の発表スライド「池袋駅周辺での「みちびき」実証」

GPSのみの受信機とみちびき対応の受信機、これら両方を用いた、同経路での同時測位実験を実施。測位精度についての検証結果について紹介しました。検証環境の事前想定、当日の様子についてはハイビジョン車載型ビデオカメラを用いた動画でのデモも発表しました。

みちびきを用いた場合の測位精度の改善効果がはっきりと示される部分を可視化した実験結果を示し、今後のさらなる多数の検証が望まれるとしました。また、だれでも検証ができる道具立てについて、利用機材のリストなどを詳細に紹介しました。

産業技術総合研究所 情報技術研究部門 ジオインフォマティクス研究グループ 岩田敏彰様

2番目は、産業技術総合研究所 情報技術研究部門 ジオインフォマティクス研究グループの岩田敏彰氏が、「準天頂衛星初号機による実験結果について─技術実証実験の概要と産総研の実験結果を中心に─」というタイトルで発表しました。

衛星測位における時刻管理について、水晶発信器を衛星に搭載し、その時刻を地上原子時計と同期させ、原子時計の代替として利用することで、結果として衛星の重量・体積削減や長寿命化につながると想定。この擬似時計の時刻同期の目標を10ns以下と定め、JAXAとNICTと協力して行った2つの実験結果について、発表しました。

実験の結果、擬似時計運用を行っているみちびきを用いることにより、GPSのみで測位するよりも精度の向上を確認でき、またその安定度についてもより高い精度での結果を得たと紹介しました。

日立造船株式会社山田英輝様

3番目は、日立造船株式会社山田英輝氏が、「マルチGNSS解析技術における準天頂衛星の利用」というタイトルで発表しました。

山田様の発表スライド「搬送波位相ISB絶対値」

GPSでは困難であった環境での高精度測位の常時実現について、国土地理院より技術開発を請け負った日立造船株式会社が東京海洋大学と共同開発を続けているマルチGNSSの開発状況進捗について紹介しました。

異機種衛星系間で位相差をとる基線解析の技術開発について、みちびき、GPS、GLONASS、Galileoなどでの変動差を検証。アンテナ機種の違いや個体差、受信機温度変化での差を考慮しても、位相差をとる基線解析が問題なく可能であるとの結論を得たとしました。

株式会社コア 先端組込み開発センター GNSS担当 末武雅之様

4番目は、株式会社コア 先端組込み開発センター GNSS担当の末武雅之氏が、「準天頂衛星システムに対応した小型2周波受信機(L1C/A・L2C・L1-SAIF)の紹介」というタイトルで発表しました。

末武様の発表スライド「小型2周波受信機基板の紹介」

新しい衛星システムや、新しい民生用信号、多様化するシステムに柔軟に対応し、受信機を市場投入するためには、その検証環境を充実させることが肝要とし、最終的に組み込み機器に移植することを前提とした独自のソフトウェアGNSSエンジンの開発の必要性を述べました。

従来の受信機スタイルでは開発に時間がかかり、組み込み機器ではデバッグ環境構築が難しいことなどを挙げ、これまでに開発してきたソフトウェアGNSS受信機で対応してきた衛星、民生用信号の実績と、さら開発中の小型2周波受信機基板の実装についても紹介しました。

質疑応答の時間には6つの質問が出て、活発に意見交換が行われました。

QSUS懇親会

内閣府宇宙戦略室 守山宏道参事官

QSUS発表会(QZSS産学官利用拡大プラットフォーム会議)後に、同一会場で行ったQSUS懇親会には40名以上の出席者がありました。内閣府宇宙戦略室の守山宏道参事官が挨拶をした後、出席者全員が自己紹介をして、名刺交換も活発に行われました。

第4回は、詳細が決まりしだいQSUS会員向け電子メールやウェブサイト等でお知らせいたします。

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